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「…なんだ?」
「誰だあの女は?」
「どこから入った?」
「なぜこんなところに?」
兵士達はお姉さんを見てザワザワとさっきとは違う感じで騒がしくなった。
「この堂々とした他国への侵略行為は我が国への宣戦布告…と受け取ってもよろしいのかしら?」
「なっ…!」
「バカ正直に国の紋章入りの鎧を着けてくるだなんて…証拠も撮ったし、言い逃れは出来ないわよ」
いきなりのお姉さんの発言に動揺が広がる中、一気に攻め立てる。
「…お前さん、正気か?この人数を相手に逃げ切れるとでも思ってるのか?」
証拠なんて隠滅すれば無かった事と同じ。と、兵士の一人が前に出て自分のこめかみに指を当てながらもう片方の手で剣の柄を握った。
「…この人数を相手に?あなた達こそ、たったそれっぽっちの人数で魔王軍に勝てるの?」
「…なんだと?」
お姉さんが嘲笑しながら煽るので前に出た兵士が怒ったような表情になり…
着々と俺の恐れていた展開へと進んでいるような気がする。
「…いいわ。面白い…魔王軍を倒した私達を相手にどれだけ戦えるか見てあげる」
「…あ」
ニヤリと悪い事を考えてるかのような笑い方をしながらお姉さんが挑発すると何故かそのタイミングでおじさんも出て行った。
「…!こ、こいつら…あの魔王軍を倒した部隊か…!」
「嘘つけ!たった二人だぞ!ハッタリだ!」
「馬鹿野郎!ハッタリならこの人数を前に一人で出て来れるか!部隊を危険な目に合わすような発言はするんじゃねえ!」
おじさんの登場とお姉さんの余裕たっぷりな態度と挑発に兵士達は動揺して混乱状態に陥る。
「落ち着け!こいつらが報告にあった部隊だとしたら、俺達が戦って勝てる相手では無い!どうやったらこの場を生きて切り抜けるか、ソレを考えるのが最優先だ!」
「やってみなきゃ分かんねぇだろ!ただのハッタリ野郎だったらどうすんだ!」
「あの魔王軍が倒されたのは事実だ!そして倒した奴らがこの国に居るって事も!ハッタリの可能性は低いだろうが!」
…兵士達は敵を目の前にしているのに本来なら内緒にしないといけない発言まで大きな声で伝達するぐらいのパニック状態に陥っていた。
「…私達も鬼じゃない。今すぐ撤退するなら見逃してあげる」
「…末端の兵士は上からの命令を忠実に遂行しているだけだからな」
「そういうこと。責任を取るのは上の役目でしょ?」
「………分かりました。我々は今すぐにこの場、この国から撤退します」
お姉さんとおじさんの逃げ道を用意するような話術に兵士達は少しの間考えて多分指揮官っぽい人が判断して撤退を指示する。
「いいか!手出しは無用!迅速に帰還する事が最優先事項だ!何を見ても、足を止めるな!」
指揮官っぽい人の命令に兵士達は声を揃えて大声で返事し、みんな同じよう動きで鉱山の出口に向かって進んで行く。
「…ふー…怖かった…」
「ね。大丈夫だったでしょ?」
「…かなり際どかったけどね」
「あの部隊は規則に厳しいから絶対に手出しはしなかったって」
兵士達が行軍のような動きで去って行き姿が見えなくなったところで俺が安堵の息を吐きながら顔を出すとお姉さんは楽観的に笑いながら返す。
「…でも、おじさまが出て来てくれたから展開が予想以上にスムーズに進んで助かったわ。ありがと」
本当はもう少しやり取りを挟む予定だったんだけど…と、お姉さんはおじさんに感謝の言葉を告げた後に予想していた段取りをザックリと話した。
「なに、礼など要らん。最善だと思った事をしただけだ」
それに…協力し合うのは当然の事だろう?と、おじさんは軽く首を振ってなにやらカッコ良さげな事を言う。
「おー、カッコいい」
「ほんと、惚れちゃいそう」
俺とお姉さんがニヤニヤしながら弄るように言うとおじさんはため息を吐いてスルーした。
「…で、この後どうするの?」
「…もう用は無いだろうから戻った方が良いとは思うが…」
「そうね。あと二ヶ所回らないといけないし」
俺の問いにおじさんが考えながら提案してお姉さんも賛同したので車へと戻る事に。
「誰だあの女は?」
「どこから入った?」
「なぜこんなところに?」
兵士達はお姉さんを見てザワザワとさっきとは違う感じで騒がしくなった。
「この堂々とした他国への侵略行為は我が国への宣戦布告…と受け取ってもよろしいのかしら?」
「なっ…!」
「バカ正直に国の紋章入りの鎧を着けてくるだなんて…証拠も撮ったし、言い逃れは出来ないわよ」
いきなりのお姉さんの発言に動揺が広がる中、一気に攻め立てる。
「…お前さん、正気か?この人数を相手に逃げ切れるとでも思ってるのか?」
証拠なんて隠滅すれば無かった事と同じ。と、兵士の一人が前に出て自分のこめかみに指を当てながらもう片方の手で剣の柄を握った。
「…この人数を相手に?あなた達こそ、たったそれっぽっちの人数で魔王軍に勝てるの?」
「…なんだと?」
お姉さんが嘲笑しながら煽るので前に出た兵士が怒ったような表情になり…
着々と俺の恐れていた展開へと進んでいるような気がする。
「…いいわ。面白い…魔王軍を倒した私達を相手にどれだけ戦えるか見てあげる」
「…あ」
ニヤリと悪い事を考えてるかのような笑い方をしながらお姉さんが挑発すると何故かそのタイミングでおじさんも出て行った。
「…!こ、こいつら…あの魔王軍を倒した部隊か…!」
「嘘つけ!たった二人だぞ!ハッタリだ!」
「馬鹿野郎!ハッタリならこの人数を前に一人で出て来れるか!部隊を危険な目に合わすような発言はするんじゃねえ!」
おじさんの登場とお姉さんの余裕たっぷりな態度と挑発に兵士達は動揺して混乱状態に陥る。
「落ち着け!こいつらが報告にあった部隊だとしたら、俺達が戦って勝てる相手では無い!どうやったらこの場を生きて切り抜けるか、ソレを考えるのが最優先だ!」
「やってみなきゃ分かんねぇだろ!ただのハッタリ野郎だったらどうすんだ!」
「あの魔王軍が倒されたのは事実だ!そして倒した奴らがこの国に居るって事も!ハッタリの可能性は低いだろうが!」
…兵士達は敵を目の前にしているのに本来なら内緒にしないといけない発言まで大きな声で伝達するぐらいのパニック状態に陥っていた。
「…私達も鬼じゃない。今すぐ撤退するなら見逃してあげる」
「…末端の兵士は上からの命令を忠実に遂行しているだけだからな」
「そういうこと。責任を取るのは上の役目でしょ?」
「………分かりました。我々は今すぐにこの場、この国から撤退します」
お姉さんとおじさんの逃げ道を用意するような話術に兵士達は少しの間考えて多分指揮官っぽい人が判断して撤退を指示する。
「いいか!手出しは無用!迅速に帰還する事が最優先事項だ!何を見ても、足を止めるな!」
指揮官っぽい人の命令に兵士達は声を揃えて大声で返事し、みんな同じよう動きで鉱山の出口に向かって進んで行く。
「…ふー…怖かった…」
「ね。大丈夫だったでしょ?」
「…かなり際どかったけどね」
「あの部隊は規則に厳しいから絶対に手出しはしなかったって」
兵士達が行軍のような動きで去って行き姿が見えなくなったところで俺が安堵の息を吐きながら顔を出すとお姉さんは楽観的に笑いながら返す。
「…でも、おじさまが出て来てくれたから展開が予想以上にスムーズに進んで助かったわ。ありがと」
本当はもう少しやり取りを挟む予定だったんだけど…と、お姉さんはおじさんに感謝の言葉を告げた後に予想していた段取りをザックリと話した。
「なに、礼など要らん。最善だと思った事をしただけだ」
それに…協力し合うのは当然の事だろう?と、おじさんは軽く首を振ってなにやらカッコ良さげな事を言う。
「おー、カッコいい」
「ほんと、惚れちゃいそう」
俺とお姉さんがニヤニヤしながら弄るように言うとおじさんはため息を吐いてスルーした。
「…で、この後どうするの?」
「…もう用は無いだろうから戻った方が良いとは思うが…」
「そうね。あと二ヶ所回らないといけないし」
俺の問いにおじさんが考えながら提案してお姉さんも賛同したので車へと戻る事に。
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