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「とりあえず砦の中に入ってみない?」
「…何も無いと思うけど…」
「野菜や果物があればデザートになるじゃん?」
ゲームでおなじみのお宝があるかも…と思って提案するもお姉さんは面倒くさそうに呟く。
「…関所ってそのまま通過していいの?」
「…え?え、ええ…許可は下りてますので…」
未だに呆然としてる女の子に聞くと問題は無いみたいなので俺は徒歩で砦へと向かう。
…置いていったコンテナは魔物を食べ終えたドラゴンにお願いして砦の近くまで運ばせた。
「おおー…砦っぽい」
俺は木の板を張り合わせて作られた高い壁を見上げながら呟いて入口のドアを探す。
「…コレ、どうやって入るの?」
門のような大きな扉を押してみるも当然ビクともしないので開ける方法を聞いてみる。
「…中からかんぬきを外さないと開かないだろうが…頼めるか?」
「ええ…はい」
「…ふん!!」
おじさんが仕組みを説明しながら剣を抜くとお姉さんに何かを頼み…
刀身が薄く赤みがかると剣を振り上げ、扉の隙間を通すように振り下ろす。
「…流石です、師匠…!まさに針の穴を通すかのような繊細な技術力…!」
「…凄い技術だ…!」
ギイ…とわずかに開いた扉を押すと結構簡単に開いた。
その様子を見ていた女の子と銀髪の青年が驚きながら呟く。
「…あー、意外に疲れる…」
開き始めはよかったが…扉の片方を最後まで開くとなると結構力と踏ん張りが要る。
「…運動不足だな。最近は移動が楽だったからしょうがない事だが」
「…馬に乗ってた頃から考えたらそうかも」
今やもう座ってるだけ、と言うか寝転ぶレベルだし…と、おじさんの発言に俺は同意した。
「いや、普通なら商人に体力なんて必要無いでしょ」
「…まあ、商品を売り買いするだけだから…お」
お姉さんのツッコミに賛同しながら砦の中を見て回ってると真ん中あたりに唯一の建物が。
「…宿かな?」
「いや、武器庫か食料庫か…あるいはどちらも入れておける保管庫かもな」
ゲームとかで良く見る簡単な小屋みたいな建物を見ながら呟くとおじさんが否定して予想を話す。
「なんか良い武器はないかなー?」
期待して建物の中に入るも武器も食料も何も置かれておらず奥に続くドアしかなかった。
「…!誰だ!?」
奥の部屋のドアを開けると中には4人の子供がいて中央に置かれていた箱に入っていた食べ物を食べてる最中だった。
「…人居るじゃん」
「…お前らこんな所でなにをしている?即時の撤退命令が出てたはずだ」
俺たちを見て警戒した様子の子供達を見て呟くと銀髪の青年が前に出て問う。
「うるせー!どうせ死ぬんだ!なら腹一杯食べてから死んでやる!」
「ここにある食べ物は全部俺達の物だ!奪うってんなら…!」
『奴隷』と表示されてる子供達は意味の分からない勘違いをすると殺気立った目で剣を抜く。
「…ガキが。誰に剣を向けてやがる」
銀髪の青年は不快そうに吐き捨てるように言うと急に姿が消えた。
「「「「が…!?」」」」
銀髪の青年がいつ間にか部屋の奥に居た…と思ったら子供達が同時に床に倒れ込む。
「…血の気が多いなぁ…」
「…噂通りの早業だこと」
「気絶させただけだ。お嬢様に剣と殺意を向ける奴に容赦はしない」
俺とお姉さんが呟くと銀髪の青年は先にちゃんと手加減した事と手を出した理由を告げる。
「…奴隷の少年兵達か…様子を見る限りでは満足に食べる事も出来なかったらしいな」
「ふん。奴隷ならば誰しも同じ境遇だ…人に剣を向けて良い理由になどならん」
おじさんが憐れむように子供達を拘束してると銀髪の青年は同情を否定しながら手伝う。
「…砦ごと焼き払わなくて良かった…」
「撤退命令が出てるのに残ってる人が居るとは思わないもの」
お宝とか探索要素!という俺のゲーム的な感覚で助かった子供達を見ながら安心して呟くとお姉さんが巻き込んでも仕方ない…的な事を言う。
「……ん?コレって…」
おじさんと銀髪の青年が子供達を抱え、一旦関所に戻ろう…ってところで俺は床に落ちてる白い鳥かごのような物を見つけた。
「…どうしたの?」
「…コレってもしかして、あのオーパーツってやつ?」
拾うために屈み込んだ俺を見てお姉さんが不思議そうに聞いてくるので、この前オークションで競り落としに負けたアイテムかどうかを尋ねる。
「…ちょっと貸して?……可能性は高いけど…なんでこんなところに?」
「…さあ?」
お姉さんに白くて小さい籠を渡すと調べるように見ながら首を傾げた。
「せっかくだし、貰ったら?」
「え。…いいの?」
「いいんじゃない?戦場に放棄されていった物だし」
お姉さんの提案に戸惑うも、ゲームの世界だからコレはアイテムを拾った事になるのか…?と思いながら返してもらう。
「…何も無いと思うけど…」
「野菜や果物があればデザートになるじゃん?」
ゲームでおなじみのお宝があるかも…と思って提案するもお姉さんは面倒くさそうに呟く。
「…関所ってそのまま通過していいの?」
「…え?え、ええ…許可は下りてますので…」
未だに呆然としてる女の子に聞くと問題は無いみたいなので俺は徒歩で砦へと向かう。
…置いていったコンテナは魔物を食べ終えたドラゴンにお願いして砦の近くまで運ばせた。
「おおー…砦っぽい」
俺は木の板を張り合わせて作られた高い壁を見上げながら呟いて入口のドアを探す。
「…コレ、どうやって入るの?」
門のような大きな扉を押してみるも当然ビクともしないので開ける方法を聞いてみる。
「…中からかんぬきを外さないと開かないだろうが…頼めるか?」
「ええ…はい」
「…ふん!!」
おじさんが仕組みを説明しながら剣を抜くとお姉さんに何かを頼み…
刀身が薄く赤みがかると剣を振り上げ、扉の隙間を通すように振り下ろす。
「…流石です、師匠…!まさに針の穴を通すかのような繊細な技術力…!」
「…凄い技術だ…!」
ギイ…とわずかに開いた扉を押すと結構簡単に開いた。
その様子を見ていた女の子と銀髪の青年が驚きながら呟く。
「…あー、意外に疲れる…」
開き始めはよかったが…扉の片方を最後まで開くとなると結構力と踏ん張りが要る。
「…運動不足だな。最近は移動が楽だったからしょうがない事だが」
「…馬に乗ってた頃から考えたらそうかも」
今やもう座ってるだけ、と言うか寝転ぶレベルだし…と、おじさんの発言に俺は同意した。
「いや、普通なら商人に体力なんて必要無いでしょ」
「…まあ、商品を売り買いするだけだから…お」
お姉さんのツッコミに賛同しながら砦の中を見て回ってると真ん中あたりに唯一の建物が。
「…宿かな?」
「いや、武器庫か食料庫か…あるいはどちらも入れておける保管庫かもな」
ゲームとかで良く見る簡単な小屋みたいな建物を見ながら呟くとおじさんが否定して予想を話す。
「なんか良い武器はないかなー?」
期待して建物の中に入るも武器も食料も何も置かれておらず奥に続くドアしかなかった。
「…!誰だ!?」
奥の部屋のドアを開けると中には4人の子供がいて中央に置かれていた箱に入っていた食べ物を食べてる最中だった。
「…人居るじゃん」
「…お前らこんな所でなにをしている?即時の撤退命令が出てたはずだ」
俺たちを見て警戒した様子の子供達を見て呟くと銀髪の青年が前に出て問う。
「うるせー!どうせ死ぬんだ!なら腹一杯食べてから死んでやる!」
「ここにある食べ物は全部俺達の物だ!奪うってんなら…!」
『奴隷』と表示されてる子供達は意味の分からない勘違いをすると殺気立った目で剣を抜く。
「…ガキが。誰に剣を向けてやがる」
銀髪の青年は不快そうに吐き捨てるように言うと急に姿が消えた。
「「「「が…!?」」」」
銀髪の青年がいつ間にか部屋の奥に居た…と思ったら子供達が同時に床に倒れ込む。
「…血の気が多いなぁ…」
「…噂通りの早業だこと」
「気絶させただけだ。お嬢様に剣と殺意を向ける奴に容赦はしない」
俺とお姉さんが呟くと銀髪の青年は先にちゃんと手加減した事と手を出した理由を告げる。
「…奴隷の少年兵達か…様子を見る限りでは満足に食べる事も出来なかったらしいな」
「ふん。奴隷ならば誰しも同じ境遇だ…人に剣を向けて良い理由になどならん」
おじさんが憐れむように子供達を拘束してると銀髪の青年は同情を否定しながら手伝う。
「…砦ごと焼き払わなくて良かった…」
「撤退命令が出てるのに残ってる人が居るとは思わないもの」
お宝とか探索要素!という俺のゲーム的な感覚で助かった子供達を見ながら安心して呟くとお姉さんが巻き込んでも仕方ない…的な事を言う。
「……ん?コレって…」
おじさんと銀髪の青年が子供達を抱え、一旦関所に戻ろう…ってところで俺は床に落ちてる白い鳥かごのような物を見つけた。
「…どうしたの?」
「…コレってもしかして、あのオーパーツってやつ?」
拾うために屈み込んだ俺を見てお姉さんが不思議そうに聞いてくるので、この前オークションで競り落としに負けたアイテムかどうかを尋ねる。
「…ちょっと貸して?……可能性は高いけど…なんでこんなところに?」
「…さあ?」
お姉さんに白くて小さい籠を渡すと調べるように見ながら首を傾げた。
「せっかくだし、貰ったら?」
「え。…いいの?」
「いいんじゃない?戦場に放棄されていった物だし」
お姉さんの提案に戸惑うも、ゲームの世界だからコレはアイテムを拾った事になるのか…?と思いながら返してもらう。
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