111 / 208
110
しおりを挟む
「…私も…私も連れて行って貰えませんか?」
「…え?」
「領主として、ご主人様達を危険な前線に送って私だけ遠く安全な場所で報告を待つ…そんな卑怯な真似はしたくありません」
出発の準備をしていると女の子が同行を申し出て来た。
「お願いします!邪魔はしません!邪魔にもならないよう気をつけます…もし私が足手まといだと判断したら、その時はバッサリと切り捨てて構いません!」
「…どうする?俺は護衛が増えるから構わないけど…」
女の子の必死の頼み込みにその実力を知ってる俺は許可を出してお姉さんとおじさんの判断を仰ぐ。
「私も別に構わないわよ?死地に赴くわけでも無いし」
「俺もだ。むしろ領主ならば従える兵が赴く戦場や環境といった現場を知る必要がある」
ソレが人の命を背負う領主の責任だろう…と、おじさんが中々ヘビーな言い方をして同行を勧めた。
「…!ありがとうございます!」
「じゃあ行こうか」
「待ってくれ。お嬢様がついて行くと言うのなら、俺も行く」
お嬢様が危険な場所に赴くのならば護衛が必要だ!と、何故か銀髪の青年も同行を申し出る。
「…まあ、好きにしたら良いんじゃない?ただし。先に言っておくけど…車内では土足厳禁だから靴はちゃんと靴箱に入れること」
守れないなら馬にでも乗って来るしかないから。と、俺は先に車内ルールを説明した。
「分かりました。ご主人様の言う事に従います…よろしいですね?」
女の子が直ぐに頷いてルールを守る事を告げると銀髪の青年に睨むような視線を向ける。
「…承知した」
「じゃあ乗っていいよ」
銀髪の青年も頷いたので俺は乗車の許可を出して先に車に乗り込む。
「…なんと…!外見からは想像出来ない広さ…!」
「…もはや、車ではなく、家じゃないか…!!」
女の子と銀髪の青年は靴箱に靴を入れて車内に入ると内装と広さを見て驚く。
「一応二階建てだから上もあるのよ」
「二階建てだと!?外見ではただのコンテナだったはずだろ…!?」
「じゃあ、しゅっぱーつ」
おじさんが最後に乗ってドアを閉めて鍵をかけたので俺はドラゴンにお願いして運んでもらう。
「多分すぐ着くからあんまりくつろげないと思うけど…好きにしてていいよ」
いつも通り揺れを全然感じずに景色が変わって行くのでソファに座って女の子と銀髪の青年に声をかけた。
「…それにしても広すぎる…長さは大体15mといったところだろう…幅は5mまでいかなそうだが…」
「…なんか数字で聞くといまいちピンと来ないね」
「そうだな。まあ普通の家よりも少し大きいぐらいだと思うが」
銀髪の青年が車内を歩いて距離を測りながらブツブツと呟くので…
俺はソレを聞いておじさんに言うと賛同した後に想像しやすそうなモノを引き合いに出した。
「ベッドにソファ、テーブルやタンスだけでなく…トイレにお風呂、キッチンに冷蔵庫…生活に必要な物が全てありますわ」
「長距離の移動を考えての特注品だからね」
「なんと、トイレは二階にもあるのよ?」
銀髪の青年とは違った着眼点で驚く女の子に説明するとお姉さんがからかうように告げる。
「トイレが二つも…!?なぜ?」
「いやー…風呂は一緒に入ればいいけど、トイレはそうもいかないじゃん?」
だから二つ付けてもらった。と俺は女の子の疑問に答えた。
「…何人で乗る事を想定してるんですの?」
「…さあ?生活するなら10人ぐらい…じゃ狭いかな?」
「この広さじゃ10人でも余ると思うぞ」
女の子の問いに定員は考えてなかったので予想で答えるとおじさんにツッコまれる。
「そう?…あ、着いたみたい」
…特にドラゴンを急がせたわけでもないのに5分ほどで戦場になってる隣の領土の関所近くへと到着した。
「…え?」
「領主として、ご主人様達を危険な前線に送って私だけ遠く安全な場所で報告を待つ…そんな卑怯な真似はしたくありません」
出発の準備をしていると女の子が同行を申し出て来た。
「お願いします!邪魔はしません!邪魔にもならないよう気をつけます…もし私が足手まといだと判断したら、その時はバッサリと切り捨てて構いません!」
「…どうする?俺は護衛が増えるから構わないけど…」
女の子の必死の頼み込みにその実力を知ってる俺は許可を出してお姉さんとおじさんの判断を仰ぐ。
「私も別に構わないわよ?死地に赴くわけでも無いし」
「俺もだ。むしろ領主ならば従える兵が赴く戦場や環境といった現場を知る必要がある」
ソレが人の命を背負う領主の責任だろう…と、おじさんが中々ヘビーな言い方をして同行を勧めた。
「…!ありがとうございます!」
「じゃあ行こうか」
「待ってくれ。お嬢様がついて行くと言うのなら、俺も行く」
お嬢様が危険な場所に赴くのならば護衛が必要だ!と、何故か銀髪の青年も同行を申し出る。
「…まあ、好きにしたら良いんじゃない?ただし。先に言っておくけど…車内では土足厳禁だから靴はちゃんと靴箱に入れること」
守れないなら馬にでも乗って来るしかないから。と、俺は先に車内ルールを説明した。
「分かりました。ご主人様の言う事に従います…よろしいですね?」
女の子が直ぐに頷いてルールを守る事を告げると銀髪の青年に睨むような視線を向ける。
「…承知した」
「じゃあ乗っていいよ」
銀髪の青年も頷いたので俺は乗車の許可を出して先に車に乗り込む。
「…なんと…!外見からは想像出来ない広さ…!」
「…もはや、車ではなく、家じゃないか…!!」
女の子と銀髪の青年は靴箱に靴を入れて車内に入ると内装と広さを見て驚く。
「一応二階建てだから上もあるのよ」
「二階建てだと!?外見ではただのコンテナだったはずだろ…!?」
「じゃあ、しゅっぱーつ」
おじさんが最後に乗ってドアを閉めて鍵をかけたので俺はドラゴンにお願いして運んでもらう。
「多分すぐ着くからあんまりくつろげないと思うけど…好きにしてていいよ」
いつも通り揺れを全然感じずに景色が変わって行くのでソファに座って女の子と銀髪の青年に声をかけた。
「…それにしても広すぎる…長さは大体15mといったところだろう…幅は5mまでいかなそうだが…」
「…なんか数字で聞くといまいちピンと来ないね」
「そうだな。まあ普通の家よりも少し大きいぐらいだと思うが」
銀髪の青年が車内を歩いて距離を測りながらブツブツと呟くので…
俺はソレを聞いておじさんに言うと賛同した後に想像しやすそうなモノを引き合いに出した。
「ベッドにソファ、テーブルやタンスだけでなく…トイレにお風呂、キッチンに冷蔵庫…生活に必要な物が全てありますわ」
「長距離の移動を考えての特注品だからね」
「なんと、トイレは二階にもあるのよ?」
銀髪の青年とは違った着眼点で驚く女の子に説明するとお姉さんがからかうように告げる。
「トイレが二つも…!?なぜ?」
「いやー…風呂は一緒に入ればいいけど、トイレはそうもいかないじゃん?」
だから二つ付けてもらった。と俺は女の子の疑問に答えた。
「…何人で乗る事を想定してるんですの?」
「…さあ?生活するなら10人ぐらい…じゃ狭いかな?」
「この広さじゃ10人でも余ると思うぞ」
女の子の問いに定員は考えてなかったので予想で答えるとおじさんにツッコまれる。
「そう?…あ、着いたみたい」
…特にドラゴンを急がせたわけでもないのに5分ほどで戦場になってる隣の領土の関所近くへと到着した。
0
お気に入りに追加
412
あなたにおすすめの小説
破滅する悪役五人兄弟の末っ子に転生した俺、無能と見下されるがゲームの知識で最強となり、悪役一家と幸せエンディングを目指します。
大田明
ファンタジー
『サークラルファンタズム』というゲームの、ダンカン・エルグレイヴというキャラクターに転生した主人公。
ダンカンは悪役で性格が悪く、さらに無能という人気が無いキャラクター。
主人公はそんなダンカンに転生するも、家族愛に溢れる兄弟たちのことが大好きであった。
マグヌス、アングス、ニール、イナ。破滅する運命にある兄弟たち。
しかし主人公はゲームの知識があるため、そんな彼らを救うことができると確信していた。
主人公は兄弟たちにゲーム中に辿り着けなかった最高の幸せを与えるため、奮闘することを決意する。
これは無能と呼ばれた悪役が最強となり、兄弟を幸せに導く物語だ。
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎
って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!
何故こうなった…
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
そして死亡する原因には不可解な点が…
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!
夜間救急事務受付
ファンタジー
仕事中、気がつくと知らない世界にいた 佐藤 惣一郎(サトウ ソウイチロウ)
安く買った、視力の悪い奴隷の少女に、瓶の底の様な分厚いメガネを与えると
めちゃめちゃ強かった!
気軽に読めるので、暇つぶしに是非!
涙あり、笑いあり
シリアスなおとぼけ冒険譚!
異世界ラブ冒険ファンタジー!
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。
料理人がいく!
八神
ファンタジー
ある世界に天才料理人がいた。
↓
神にその腕を認められる。
↓
なんやかんや異世界に飛ばされた。
↓
ソコはレベルやステータスがあり、HPやMPが見える世界。
↓
ソコの食材を使った料理を極めんとする事10年。
↓
主人公の住んでる山が戦場になる。
↓
物語が始まった。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる