105 / 208
104
しおりを挟む
…そして残された書類を渡されたので、書き方を教えて貰いながら記入する。
「…えーと、この書類はココとココを…」
「…意外と書くの多いね」
「保険や修理、整備等に必要になりますので…」
言われるがままに4枚目の書類を書き込みながら呟くと事務の女性が申し訳なさそうに理由を説明した。
…そんなこんなで一時間後。
ようやく書類を書き終えて事務の女性の確認も終わった。
…マジで車が完成して受け取った後じゃなくて良かった…手に入った直後に書類記入でこんなに時間取られるとか怠すぎる。
「…あと二時間かぁ…」
「あ、じゃあさ。お土産買いにいかない?」
「…そうだね」
時計を見て呟くとお姉さんが提案してきたので俺はこんな所に居るよりはマシか…と賛成した。
「ちゃんとこの国の美味しい物を調べて来たから…まずはどこから行こう…?」
「…女は食べる事ばかりだな…」
ガイドブックを片手に行き先に迷うお姉さんを見ておじさんが呆れたように呟く。
「あら。どうせ食べるなら美味しい物を食べたいでしょう?」
「…確かにそうだが…」
「男は強くなる事しか頭にないんだから…そんな事よりももっと人生を楽しんだ方が良いんじゃない?」
お姉さんの言い分におじさんは反論しようと口を開いたが雰囲気を悪くしないために配慮したのかそのまま口を閉じて黙った。
…色んな町に行って色んなお土産を大量に買い込む事、2時間後。
「…どう?」
本社に戻って来ると建物の前で担当のおっさんがうろうろしていたので経過を尋ねる。
「あ!ちょうど良いタイミングでお戻りになられましたね!最終チェックも無事終わって納入準備も完了しました!」
「お、ようやく。楽しみねぇ…」
「全くだな」
「ぜひ工場の方へお寄り下さい。こちらです」
おっさんの報告にお姉さんもおじさんも嬉しそうに呟き、案内されるがままに工場へと向かう。
「…お、来たな」
「…コレが?」
「ああ、なんとか納期に間に合わせたぜ…」
おかげでもうヘトヘトだ…と、現場担当の男が座り込んだまま笑う。
「…本当は俺が中を案内したいところだが…部長、お願いしてよろしいですか?」
「任せろ。ご苦労だった…ちゃんと休め」
男はおっさんに車の説明を頼むと倒れ込んだ。
…そんな疲れるぐらいに頑張ったんだ…職人って大変だな。
心の中で作ってくれた人達に感謝しながら車内の案内と説明を受ける。
…10分後。
「…以上で大まかな説明は終わりになります。もし不明な点があれば取り扱い説明書、または本社の方までご連絡下さい」
「あ、はい」
「では最後に…料金の支払いがございますので本社の先ほどの会議室までお越し下さい」
…案内と説明が終わったのでもう帰るだけだ…と思いきや最後にまだ何かあるらしい。
さっきの会議室へと移動して中に入ると…
担当のおっさんと事務の女性、現場にいた職人の男…それ以外の知らない人が5人増えていて椅子に座っていた。
「で、では…確認致します…こちらの200万ゼベル。特注品の代金で間違いないですね?」
「…え?」
「ええ。間違いないわ」
部屋に入るや否や座る前に急によくわからない確認が始まったので困惑してるとお姉さんが肯定する。
「…えーと……こ、こちらの50万ゼベルは我が社の労働者への、報酬としての支払いで間違いありませんね?」
「あ、うん…ついでにコレも」
「…え?」
事務の女性の再度の確認に俺は肯定した後に自分で持ってた袋とおじさんに持たせていた袋をテーブル上に置く。
「終わったあとでアレなんだけど…差し入れ?」
「うお!マジか…!金だけじゃなく、食べ物もくれるのかよ…!」
最高の品質になるよう頑張って良かったー!と、現場担当の男は袋の中身を見ながら喜ぶ。
「金持ちってのはケチな野郎しかいないと思っていたぜ」
「…この度は我が社をご利用頂き誠に嬉しく思います。私は社長の…」
「あ、凄い!トラインのシュークリームだけじゃなくてデュールーのロールケーキまである!」
おそらくこの会社で一番偉いであろう爺さんが喋ってる最中にも関わらず事務の女性が袋の中身を見て喜んだ。
「ち、ちょっと君…!社長が喋ってる最中だぞ…!」
「オホン!」
「あ…!す、すみません…!」
やはりおっちょこちょいなのか担当のおっさんが慌ててフォローに入るも爺さんが不機嫌そうに咳払いをする。
「…あ、やっぱりアレで良かったんだ」
「でしょ?女は甘い物が好きだから外れは無いんだって」
「…作業員はほとんど男だったが…まあ、疲れた身体には甘い物が効くとはいうからな…」
事務の女性がやらかした事で部屋の雰囲気がちょっと緩んだような気がするので一応フォローするように雑談に持っていく。
「…えーと、この書類はココとココを…」
「…意外と書くの多いね」
「保険や修理、整備等に必要になりますので…」
言われるがままに4枚目の書類を書き込みながら呟くと事務の女性が申し訳なさそうに理由を説明した。
…そんなこんなで一時間後。
ようやく書類を書き終えて事務の女性の確認も終わった。
…マジで車が完成して受け取った後じゃなくて良かった…手に入った直後に書類記入でこんなに時間取られるとか怠すぎる。
「…あと二時間かぁ…」
「あ、じゃあさ。お土産買いにいかない?」
「…そうだね」
時計を見て呟くとお姉さんが提案してきたので俺はこんな所に居るよりはマシか…と賛成した。
「ちゃんとこの国の美味しい物を調べて来たから…まずはどこから行こう…?」
「…女は食べる事ばかりだな…」
ガイドブックを片手に行き先に迷うお姉さんを見ておじさんが呆れたように呟く。
「あら。どうせ食べるなら美味しい物を食べたいでしょう?」
「…確かにそうだが…」
「男は強くなる事しか頭にないんだから…そんな事よりももっと人生を楽しんだ方が良いんじゃない?」
お姉さんの言い分におじさんは反論しようと口を開いたが雰囲気を悪くしないために配慮したのかそのまま口を閉じて黙った。
…色んな町に行って色んなお土産を大量に買い込む事、2時間後。
「…どう?」
本社に戻って来ると建物の前で担当のおっさんがうろうろしていたので経過を尋ねる。
「あ!ちょうど良いタイミングでお戻りになられましたね!最終チェックも無事終わって納入準備も完了しました!」
「お、ようやく。楽しみねぇ…」
「全くだな」
「ぜひ工場の方へお寄り下さい。こちらです」
おっさんの報告にお姉さんもおじさんも嬉しそうに呟き、案内されるがままに工場へと向かう。
「…お、来たな」
「…コレが?」
「ああ、なんとか納期に間に合わせたぜ…」
おかげでもうヘトヘトだ…と、現場担当の男が座り込んだまま笑う。
「…本当は俺が中を案内したいところだが…部長、お願いしてよろしいですか?」
「任せろ。ご苦労だった…ちゃんと休め」
男はおっさんに車の説明を頼むと倒れ込んだ。
…そんな疲れるぐらいに頑張ったんだ…職人って大変だな。
心の中で作ってくれた人達に感謝しながら車内の案内と説明を受ける。
…10分後。
「…以上で大まかな説明は終わりになります。もし不明な点があれば取り扱い説明書、または本社の方までご連絡下さい」
「あ、はい」
「では最後に…料金の支払いがございますので本社の先ほどの会議室までお越し下さい」
…案内と説明が終わったのでもう帰るだけだ…と思いきや最後にまだ何かあるらしい。
さっきの会議室へと移動して中に入ると…
担当のおっさんと事務の女性、現場にいた職人の男…それ以外の知らない人が5人増えていて椅子に座っていた。
「で、では…確認致します…こちらの200万ゼベル。特注品の代金で間違いないですね?」
「…え?」
「ええ。間違いないわ」
部屋に入るや否や座る前に急によくわからない確認が始まったので困惑してるとお姉さんが肯定する。
「…えーと……こ、こちらの50万ゼベルは我が社の労働者への、報酬としての支払いで間違いありませんね?」
「あ、うん…ついでにコレも」
「…え?」
事務の女性の再度の確認に俺は肯定した後に自分で持ってた袋とおじさんに持たせていた袋をテーブル上に置く。
「終わったあとでアレなんだけど…差し入れ?」
「うお!マジか…!金だけじゃなく、食べ物もくれるのかよ…!」
最高の品質になるよう頑張って良かったー!と、現場担当の男は袋の中身を見ながら喜ぶ。
「金持ちってのはケチな野郎しかいないと思っていたぜ」
「…この度は我が社をご利用頂き誠に嬉しく思います。私は社長の…」
「あ、凄い!トラインのシュークリームだけじゃなくてデュールーのロールケーキまである!」
おそらくこの会社で一番偉いであろう爺さんが喋ってる最中にも関わらず事務の女性が袋の中身を見て喜んだ。
「ち、ちょっと君…!社長が喋ってる最中だぞ…!」
「オホン!」
「あ…!す、すみません…!」
やはりおっちょこちょいなのか担当のおっさんが慌ててフォローに入るも爺さんが不機嫌そうに咳払いをする。
「…あ、やっぱりアレで良かったんだ」
「でしょ?女は甘い物が好きだから外れは無いんだって」
「…作業員はほとんど男だったが…まあ、疲れた身体には甘い物が効くとはいうからな…」
事務の女性がやらかした事で部屋の雰囲気がちょっと緩んだような気がするので一応フォローするように雑談に持っていく。
0
お気に入りに追加
420
あなたにおすすめの小説
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!!
僕は異世界転生してしまう
大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった
仕事とゲームで過労になってしまったようだ
とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた
転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった
住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる
◇
HOTランキング一位獲得!
皆さま本当にありがとうございます!
無事に書籍化となり絶賛発売中です
よかったら手に取っていただけると嬉しいです
これからも日々勉強していきたいと思います
◇
僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました
毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる