商人でいこう!

八神

文字の大きさ
上 下
100 / 208

99

しおりを挟む
…そんなこんな話してるうちに家についたので、俺の称号がどうとかの話は自然に消えた。


「はい。お土産」

「あ、ありがとうございます」

「あの有名なローレンスのチョコレートよ。やっぱり本場は値段が安い」

「え!あのローレンスの!?凄い…!都市部でも直ぐに売り切れるからずっと品薄状態だったのに…!」


お土産を渡すとメイド達とお姉さんがチョコレートの話題で盛り上がってるので俺は一足先に部屋に戻る。


…明日はどこに行こうかな…?流石に朝におじさんに釘を刺されたばっかだからここらへんでの商売は諦めた方がいいのか…?


…うーん…でもそろそろイモイモターンの量産が出来てる時期だと思うし…


 あの田舎にでも……ふあ……


ベッドの上で寝っ転がって考えてると眠くなって来たので着替えを持って風呂場へと向かう。


「…ふう…」

「…なんだ、入っていたのか」


風呂用の椅子に座って洗剤で髪を洗いお湯で流し終えて一息つくとおじさんが腰にタオルを巻いて入ってきた。


…うーむ…見るたびに思うけど…


とても4、50代とは思えないほどの引き締まった厚みのある身体だな。


俺の方から肩をぶつけても逆に弾き返されそうだ…


「…やはり風呂場でタオルを巻く、というのは未だに慣れんな」


違和感が拭えん…と、おじさんは風呂用の椅子に座った後になんとも言えない顔で呟く。


「そう?まあ、銭湯とか温泉でも気にせずすっぽんぽんの奴とかいたけど…」

「…あれ?やっぱりこの時間に入ってたんだ」


身体を洗い終わって湯船に浸かりながら返すと今度はお姉さんがタオルを持って最低限の隠し方をしながら入って来る。


「…他に人が入ってる時はタオルを巻く決まりだろう」

「別にいいじゃない…最低限は隠してるんだから。ねえ?」


そんなお姉さんを見ておじさんが呆れたように指摘するが気にしてないかのように俺に振った。


「…俺としては目のやり場に困るからちゃんと巻いて欲しい」

「うふふ、可愛い反応」


恥ずかしくてお姉さんの方を見れないので入口に背を向けて返すとからかうように笑う。


「…あの年頃の男をそんな風にからかうと後でどうなっても知らんぞ」

「あら、おじさまは慎みのある女がタイプかしら?」

「俺個人の好みの問題では無い。もっと自衛する事を意識したらどうだ?」

「自衛も何も…この家には好みの範疇しかいないから大丈夫だって」


もしもも歓迎、ウェルカム。と、お姉さんはおじさんの忠告をからかい混じりで受け流すかのように言うと身体を洗って俺の隣に入って来る。


「…なんで隣に?」

「向かい側でもいいの?」

「……やっぱり隣で」


こんな広い浴場のような湯船でわざわざ隣に座ってくるのを疑問に思って聞いたらお姉さんがザバーっと立ち上がる。


そこで俺はお姉さんなりの気遣いだったんだな…と気付いて前言撤回した。


…隣なら逆の方に視線を逸らせばなんとかなるけど向かい側だと目を瞑らないといけないからな…


…本当は見たいのに、恥ずかしくて見きれないこのジレンマ…!


色んな意味でのドキドキしたお風呂タイムを終え部屋に戻って一息つく。


そしてそのまま寝っ転がっていると睡魔が襲って来たので素直に眠りについた。


…翌朝。


朝食を食べた後にバーゼルに車とコンテナを運ばせていつもの田舎へ。


「やっほー、久しぶり!」


市場で商品をチェックしてると後ろから声をかけられた。


…こんな風にフレンドリーに話しかけてくる女の子はあのお姉さんを除いたら一人しかいないのでもはや振り向かずとも誰か分かる。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!! 僕は異世界転生してしまう 大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった 仕事とゲームで過労になってしまったようだ とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた 転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった 住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる ◇ HOTランキング一位獲得! 皆さま本当にありがとうございます! 無事に書籍化となり絶賛発売中です よかったら手に取っていただけると嬉しいです これからも日々勉強していきたいと思います ◇ 僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました 毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...