商人でいこう!

八神

文字の大きさ
上 下
93 / 208

92

しおりを挟む
「さ、さあ?手に入れた経緯までは…」

「ねえ、コレ…星いくつ見える?」

「…星?」


お姉さんが突然良く分からない事を聞いてくるので俺は一瞬、何言ってんだ?コイツ…?状態になったけど…


そういや骨董品とかを良く見ると星が見えたな…と思い出して絵を良く見た。


「……4つ、かな…」

「4つ?じゃあ本物だ。まさかこんな所にあったなんて…」


どうりで闇ルートで探しても見つからないはずだわ…と、何故かお姉さんは悔しそうに呟く。


「…欲しかったの?」

「まあね…こういう絵柄が好きなの」

「…へー」


俺は絵画を見て、こんな『アニメとか漫画っぽい書き方に肖像画みたいな要素を付け加えました』みたいな絵柄が、ねぇ…と思いながら呟く。


「でも知り合いの家にあるのならいつでも見に来れるし…無理して手に入れる必要はないかな」

「あ、あのー…そろそろ…」

「…あ、はい…」


結局気弱そうな男の名前を聞けないまま応接室のような部屋に案内された。


「…領主様は用事が済んだら直ぐに…」

「良く来てくださいました!」


俺達がソファに座ると気弱な男が出て行こうとしてドアがバン!と勢いよく開いてあの女の子が出迎えの挨拶をした。


「案内ご苦労様、仕事に戻っていただけます?」

「…あ、はい…」


女の子は気弱な男を追い出すとドアを閉める。


「…よろしいのですか?まだ…」

「奴隷は主人のもてなしが優先ですので」


ドアが少し開いて銀髪オールバックの青年が顔を覗かせて確認するも女の子はそう言ってドアを再度閉めた。


「…あの男は…シルバーブレット?なぜこんな所に…?」

「…シルバーブレット…銀の弾丸?」


青年が顔を覗かせたのは少しだったので俺は顔を良く見てないけど、何故かおじさんが反応した。


「奴は唯一無二の称号『銀の弾丸』を持つ男だ。ゆえに周りからはシルバーブレットと呼ばれている」

「へー、そんな称号もあるんだ」


異名とか二つ名とかと思いきや…どうやらそんな変な称号もあるみたいだ。


「…シルバーブレットは流浪の傭兵だった、って聞いたけど…」

「あの情報屋が引っ張って来たのか?だとしたら…」

「多分、何かあるわね」


お姉さんとおじさんが以心伝心かのような会話をするので俺にはどんな内容なのかさっぱりだ。


…おじさん達の会話に入れず、手持ち無沙汰なので周りを見てみるとまだドアの前に立ってる女の子と目が合った。


「…あ。遠い所ご足労をおかけして申し訳ございません…本来なら私の方から出向くべきなのですが…」

「え、ああ…気にしなくていいよ。どうせドラゴンでひとっ飛びだし」


ドレスとかロングスカートでも無いのに、なぜかスカートの端を少し持ち上げて軽く頭を下げながら言う女の子に俺は気を遣わせないようフォローするように返す。


…なんでスカートの端を持ち上げたんだろう…?


アレって普通は挨拶の時にやる動作じゃないの?


…ですが…と、女の子が何かを続けたような気もするけど俺はさっきの動作が気になって耳に入って来なかった。


「…領主としての仕事が忙しいんだろう?こいつはそんな事をいちいち気にするような狭量では無い」

「…器が広くて深いのか、それともただ常識や知識が無いから気にならないのか…」


知ってて受け入れるのと知らないで受け流すのはまた違うじゃない?と、何故かお姉さんが笑いながら俺を弄るように言う。


「…流石にバカにされたら俺も怒るよ?」

「誰も馬鹿になんてしてないでしょ。世の中には知らなくても良い事はたくさんあるんだから」

「…確かに。何でも知っていれば良い…というものでも無い」

「…つまりはどういうこと?」


イラッときてお姉さんに注意するも慣れたように流されておじさんも参戦して煙に巻こうとしてくる。


「今のままが素敵、ってこと。伝統や文化を重んじる事は大切だけど、それに流されて人間性や良心とかを蔑ろにしたら…ね」

「…常識に囚われない発想を持ってこそ真価を発揮するものだ」

「…私もそう思いますわ」

「…うーん…?」


…結局、良く分からない話になってしまい…お姉さんが俺を馬鹿にしてたのかどうか。はうやむやにされた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

幽霊が見えるので死霊術を極めます ~幽霊メイドが導く影の支配者への道~

雪窓
ファンタジー
【カクヨムで投稿したものを加筆修正して投稿し直したものです】 生まれつき幽霊が見える少年は物心ついた時からそのことを周囲に秘密にして過ごしてきた。 見えても見えないふりをして生活する日々。 ある日、近所の子供たちと郊外の”お化け屋敷”へ肝試しに行くことになる。 そこで大昔の魔術師の幽霊と出会うことで、少年の人生は激変する。 世間には知られていない希少な魔術である”死霊術”の継承者となり、大好きな魔術を思う存分修業する日々を送っていたのだが、次々に事件に巻き込まれ… 「僕はただ死霊術の修業ができれば満足なんだけどな」 そんな少年がいろんな出来事に巻き込まれていく様子を見守る物語。

異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ) そこは、剣と魔法の世界だった。 2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。 新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・ 気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

異世界に行けるようになったんだが自宅に令嬢を持ち帰ってしまった件

シュミ
ファンタジー
高二である天音 旬はある日、女神によって異世界と現実世界を行き来できるようになった。 旬が異世界から現実世界に帰る直前に転びそうな少女を助けた結果、旬の自宅にその少女を持ち帰ってしまった。その少女はリーシャ・ミリセントと名乗り、王子に婚約破棄されたと話し───!?

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

処理中です...