91 / 208
90
しおりを挟む「…あ。そういえばどこの領主だっけ?住んでるところとか知ってる?」
コンテナと車の掃除も終わり、いざ出発!ってなった時に俺はふと思い出して聞く。
「…えーっと…ほら、あの山沿いのところじゃなかった?」
「…ソレは別のところだ。ちょっと地図を見せてくれないか?」
「…はい」
用心棒のおじさんが場所を知ってるらしいので車に常備品として置いてあるいくつかの中から一冊と一枚を渡す。
「…いや、世界地図じゃなくてだな……あった。確かココだ」
折りたたまれた一枚の世界地図は返され、本の方を開くと隣国のページを探して場所を指差す。
「へー…この枠内が領土?」
「今も変わってなければ」
「結構広いのね…」
点線で囲まれた場所を見て俺がそう聞くとお姉さんも意外そうに呟く。
「ほんと、この地域一帯の何倍ぐらい?4倍?」
「…それぐらいはあるだろうな」
「そんな広い領土をあの歳で治めるなんて…ほんとに大丈夫?」
「…さあ?でも情報屋は有能な大人達がサポートするって言ってたし……え?あ、お願い」
お姉さん達と喋ってたらドラゴンが飛行の確認を取ってきたので目的地を伝えてお願いする。
「…うーん…コンテナとか必要だったかな?」
「荷物にならなければ無いよりはあった方がマシだろう」
「…なんか、この移動方法に慣れてくるともっと快適な車が欲しくならない?」
長時間の移動だと楽に足が伸ばせるベッドとか…と、お姉さんはテーブルの上に足を伸ばして置きながら提案してきた。
「…流石にこれ以上を望むのは強欲過ぎないか?」
「そう?…そう、かも…ダメね。人間、一度楽を覚えると…あとは堕ちる一方だもの…」
おじさんの言葉にお姉さんは少し考えたあとに足をテーブルからどけて、反省したかのように姿勢を正して呟く。
「…でも、言うことは一理あるかも…コレはドラゴンを捕まえる前に買ったやつだし…」
今ならどっかの国でオーダーメイドで作って貰えるんじゃない?と、俺はお姉さんの発言に賛同するようにおじさんに聞く。
「…むう、雇い主にそう言われたら俺からはなんとも…」
「でしょ!君もそう思うよね!?」
おじさんが目を瞑って考えるように否定出来ない…ような感じで言うので…
お姉さんはコレ幸い。とテーブルに手を着いて身を乗り出しながら同意を求めてきた。
「…帰りに寄ってみる?」
「賛成!あっちにも情報屋はいるでしょうし…車を作ってる最大手の会社の情報を聞いてこないと…!」
「…いや、そんな飯屋に寄る。みたいな感覚で国と国を移動するのか…?」
新しい車が欲しいのは俺も一緒なので提案するとお姉さんがテンション高めに手を上げる。
そんな俺らの会話を聞いておじさんはちょっと呆れたような様子でツッコむように呟く。
「…ドラゴンでの移動が楽になると、ホント居なくなったら…と思うと怖いね」
「…もはやテイムされて強化されたこのドラゴンに勝てる奴は人類ではあるまい。その心配は杞憂に過ぎないと思うぞ」
俺が何気なくポツリと呟くとおじさんはありえん。と速攻で反論した。
…そんなこんなで雑談してると目的地である町に到着する。
「…あー、ココかぁ」
「来た事あるの?」
ごく最近仕事で立ち寄った事があったので俺が場所を理解したように呟くとお姉さんが意外そうに聞いてきた。
「うん、二日前ぐらいだっけ?」
「ああ。だがまさかこの地域一帯の領土を治めていたとはな…」
「へー…私は何回か通ったぐらいでしかないんだけど、この領土って国内でも結構栄えてる方よね?」
「…さあ?」
お姉さんが周りを見ながら聞いてきたけど、そんな事を言われても分からないので疑問形で返す。
0
お気に入りに追加
412
あなたにおすすめの小説
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎
って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!
何故こうなった…
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
そして死亡する原因には不可解な点が…
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。
料理人がいく!
八神
ファンタジー
ある世界に天才料理人がいた。
↓
神にその腕を認められる。
↓
なんやかんや異世界に飛ばされた。
↓
ソコはレベルやステータスがあり、HPやMPが見える世界。
↓
ソコの食材を使った料理を極めんとする事10年。
↓
主人公の住んでる山が戦場になる。
↓
物語が始まった。
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
クラスまるごと異世界転移
八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。
ソレは突然訪れた。
『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』
そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。
…そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。
どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。
…大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても…
そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。
俺のチートが凄すぎて、異世界の経済が破綻するかもしれません。
埼玉ポテチ
ファンタジー
不運な事故によって、次元の狭間に落ちた主人公は元の世界に戻る事が出来なくなります。次元の管理人と言う人物(?)から、異世界行きを勧められ、幾つかの能力を貰う事になった。
その能力が思った以上のチート能力で、もしかしたら異世界の経済を破綻させてしまうのでは無いかと戦々恐々としながらも毎日を過ごす主人公であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる