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…市場に行くと当然さっきと同じように驚かれながら、高い物は売って安い物は買い占める。
「…これなら、下手したらこの地域の端から端まで…一日で行けちゃう?」
「…可能性はあるな」
今までなら遠くて一度しか行った事ないような場所にも…
この魔物がいれば普通に往復出来るかもしれない。
…つまり、もっと簡単に儲かる事が出来るワケだ!
一番儲かる物を、最安値の街や村で買い…最高値の街や村で売る。
普通なら行き帰り含めて何日もかかるところを…まさかの日帰り。
そんなゲームのようなアホみたいな事が現実に出来るかもしれない。
「…この魔物凄いなぁ…」
「流石だ、金と苦労をかけただけはある」
命を賭けたかなりのハイリスクだったが、それに見合うハイリターンだ…と、おじさんは俺の呟きに賛同した。
「…え?」
「…この魔物はバーゼルという。あの時…この魔物が手負いでなければ確実に俺達は全滅していただろう」
そんなに危なかったの?と思いながら聞いたら用心棒のおじさんは険しい顔をして思い出しながら話し始める。
「こいつは『荒野の死神』の異名を持ち…かつてたった一頭で国を滅ぼしかけた事もあるほどだ」
「…そうなの?」
「…あの情報屋は分かっていたはずだが…あの時にテイムできなければ俺は追撃に命を捨てる覚悟だった」
「…ええ…」
そんな危なかった事を今知らされても…と思いながらおじさんが決死の覚悟だった事を今更知って軽くヒく。
「用心棒や傭兵が依頼主のために命を捨てる事はなにも珍しい事ではない」
むしろ護衛対象を守って死ぬのは誇り高き事だ。と、俺には理解できない価値観を言い出す。
「…俺じゃ傭兵にはなれないな…」
「傭兵とはあくまで金を稼ぐ最後の手段だ、ならないならそれに越した事はない」
命大事で逃げ出しそうな俺には務まらない…的な感じで言うとおじさんは優しげな笑顔でそう諭した。
「…そうだね」
なんて返したらいいのか分からないので俺は適当に同意して流す。
…とりあえずこの村は一部の野菜が安いので魔物のご飯用に5kgほど購入。
今度は街の物が一番高く売れる街に移動し…
その後に自由に使える金に余裕が出て来たので肉類が安い村へと移動した。
「…今日はここが最後かな」
「時間的にまだ行けそうだが…」
豚だか牛だか鶏だか…よく分からない肉をとりあえず10kgずつ買ったあと、予定を立てるとおじさんが腕時計を見ながら呟く。
「…うーん…足りる?」
用心棒のおじさんの言葉に考えつつ魔物に肉の量が大丈夫か聞いたら首を横に振るので…
豚肉っぽいやつの一頭分丸々売られてる物を追加購入。
その後、美味しい自然水が湧き出る山へと移動してもらう。
「…ほう、こんな場所があるとはな…」
「…へぇ…透明度が凄い」
コンテナが通れる道を探して移動してもらったのでかなり時間はかかったが…
着いた場所では綺麗な湧き水が大量に流れる川の上流だった。
「…こんなところになんの用だ?」
「…この魔物にご飯をあげようと思って」
おじさんの問いに俺はコンテナの中から大量の野菜と肉を取り出しながら答える。
「それなら別に帰宅してからでも良かったのでは?」
「なんか水をいっぱい飲むみたいだし…やっぱり、こういう綺麗な自然水が大量にある場合の方が良いかな?って…」
「…なるほど。魔物の事を考えてか…魔物を気遣うなど珍しい」
だがその優しさ、俺は嫌いではない。とおじさんは俺の行動に賛同してくれた。
「ほら、全部食べていいよ」
おじさんと一緒にコンテナから食材を出してそう言ったら魔物はウォーン!と遠吠えをしてから凄い勢いで食べ始める。
「…あれ、もしかして全部食べ切る…?」
…野菜や穀物、肉類を合わせて100kgにもなりそうな量がもの凄い勢いでガンガン減っていく。
「…これなら、下手したらこの地域の端から端まで…一日で行けちゃう?」
「…可能性はあるな」
今までなら遠くて一度しか行った事ないような場所にも…
この魔物がいれば普通に往復出来るかもしれない。
…つまり、もっと簡単に儲かる事が出来るワケだ!
一番儲かる物を、最安値の街や村で買い…最高値の街や村で売る。
普通なら行き帰り含めて何日もかかるところを…まさかの日帰り。
そんなゲームのようなアホみたいな事が現実に出来るかもしれない。
「…この魔物凄いなぁ…」
「流石だ、金と苦労をかけただけはある」
命を賭けたかなりのハイリスクだったが、それに見合うハイリターンだ…と、おじさんは俺の呟きに賛同した。
「…え?」
「…この魔物はバーゼルという。あの時…この魔物が手負いでなければ確実に俺達は全滅していただろう」
そんなに危なかったの?と思いながら聞いたら用心棒のおじさんは険しい顔をして思い出しながら話し始める。
「こいつは『荒野の死神』の異名を持ち…かつてたった一頭で国を滅ぼしかけた事もあるほどだ」
「…そうなの?」
「…あの情報屋は分かっていたはずだが…あの時にテイムできなければ俺は追撃に命を捨てる覚悟だった」
「…ええ…」
そんな危なかった事を今知らされても…と思いながらおじさんが決死の覚悟だった事を今更知って軽くヒく。
「用心棒や傭兵が依頼主のために命を捨てる事はなにも珍しい事ではない」
むしろ護衛対象を守って死ぬのは誇り高き事だ。と、俺には理解できない価値観を言い出す。
「…俺じゃ傭兵にはなれないな…」
「傭兵とはあくまで金を稼ぐ最後の手段だ、ならないならそれに越した事はない」
命大事で逃げ出しそうな俺には務まらない…的な感じで言うとおじさんは優しげな笑顔でそう諭した。
「…そうだね」
なんて返したらいいのか分からないので俺は適当に同意して流す。
…とりあえずこの村は一部の野菜が安いので魔物のご飯用に5kgほど購入。
今度は街の物が一番高く売れる街に移動し…
その後に自由に使える金に余裕が出て来たので肉類が安い村へと移動した。
「…今日はここが最後かな」
「時間的にまだ行けそうだが…」
豚だか牛だか鶏だか…よく分からない肉をとりあえず10kgずつ買ったあと、予定を立てるとおじさんが腕時計を見ながら呟く。
「…うーん…足りる?」
用心棒のおじさんの言葉に考えつつ魔物に肉の量が大丈夫か聞いたら首を横に振るので…
豚肉っぽいやつの一頭分丸々売られてる物を追加購入。
その後、美味しい自然水が湧き出る山へと移動してもらう。
「…ほう、こんな場所があるとはな…」
「…へぇ…透明度が凄い」
コンテナが通れる道を探して移動してもらったのでかなり時間はかかったが…
着いた場所では綺麗な湧き水が大量に流れる川の上流だった。
「…こんなところになんの用だ?」
「…この魔物にご飯をあげようと思って」
おじさんの問いに俺はコンテナの中から大量の野菜と肉を取り出しながら答える。
「それなら別に帰宅してからでも良かったのでは?」
「なんか水をいっぱい飲むみたいだし…やっぱり、こういう綺麗な自然水が大量にある場合の方が良いかな?って…」
「…なるほど。魔物の事を考えてか…魔物を気遣うなど珍しい」
だがその優しさ、俺は嫌いではない。とおじさんは俺の行動に賛同してくれた。
「ほら、全部食べていいよ」
おじさんと一緒にコンテナから食材を出してそう言ったら魔物はウォーン!と遠吠えをしてから凄い勢いで食べ始める。
「…あれ、もしかして全部食べ切る…?」
…野菜や穀物、肉類を合わせて100kgにもなりそうな量がもの凄い勢いでガンガン減っていく。
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