商人でいこう!

八神

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「…ちょっと待ってて」

「分かった」


情報屋の店の前に馬を繋ぎ、用心棒のおじさんは外で魔物と一緒に待機してもらう事に。


「…合言葉をどうぞ」

「…合言葉?」

「…情報屋の店に入るには、合言葉が必要なんだって…果実」

「…どうぞ」


少女に店へ入る方法を教えてから一緒に中に入った。


「…おや?お兄さんこの前はどうも…っと、その女の子は?」


ドアを開けると情報屋の男が新聞を読みながらコーヒーを飲んでいて、俺に気がつくと挨拶をして隣の少女について尋ねる。


「…えーと、奴隷の子…なんだけど…」

「奴隷?…ああ、この前買ってましたね。そう言えば」


なんて説明すれば良いのか分からないのでしどろもどろになると男は思い出したような感じで返す。


「…うーん…なんか、とりあえずこの子が復讐したい…とか言ってて…手伝ってもらえたりする?」


こんな事頼んで大丈夫かな…?と思いながら、一応俺なりに言葉を選びながら依頼してみた。


「……まあ、私ら情報屋ですからお金さえ頂ければ情報の提供というお手伝いは出来ますが…」


男は珍しく少し困ったような感じでOKともNGとも捉えられる返答をする。


「…あ、じゃあお願い…もしこれで足りなかったら、全部俺が出すから」


とりあえず今出せるだけの10万ゼベルをテーブルに置いてお願いした。


「…分かりました。足りない分はその都度請求し、余った分は責任を持って返還させていただきます」

「…じゃあ、俺は行くから…上手くいく事を祈ってるよ」

「ありがとうございます!」


男が息を吐いて了承してくれたので…あとは少女の問題だからと俺は仕事に戻る事に。


「…ありゃ」


情報屋の店から出るとなにやら魔物が珍しいのか街の人たちの注目を浴びていた。


そして何故か用心棒のおじさんが街の人たちの対応をしている。


「…戻って来たか。そういう事だ、そちらから手を出さなければ危険は無い」

「…こーんなおっきい魔物を捕まえるなんてねぇ…」


俺が車に乗り込むとおじさんも対応を切り上げて乗り込み、話してたおばさんが魔物を凝視しながら呟いた。


…街中で注目を集めるという事は、当然市場でも注目を集めるわけで…


「おいおい!にいちゃん凄ぇな!大きいコンテナの次は大きい魔物!?」

「…この市場で働いて長いが、こんな魔物に車を引かせるのを見るなんて初めてだ…!」

「…大丈夫、なんだよな?一応捕まえてるから、暴れたりしないんだよな?」

「凄いなぁ、運び屋でも聞いた事ないのに…本当に商人?」


市場で買い物をしてる最中にどんどん人が集まって来ては質問してくる。


…自分の店をほったらかしにしてまで魔物を見に来るなんて、みんな野次馬根性が凄い。


とりあえず買う物買って、次の場所に移動したけど…


この魔物、移動速度が半端じゃない。


景色の流れ方からして…おそらく車なら時速80kmはゆうに超えてるような速度で走り続ける。


しかもカーブはちゃんと減速して後ろのコンテナが倒れないように上手く曲がって行くし。


おかげで馬なら半日はかかるような村にも一時間ほどで到着した。


「…すげー…」

「…まさか、これほどとは…!」


村の中で車を降り、驚きのあまり呆然としてると続いて降りて来たおじさんも似たような反応をする。
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