商人でいこう!

八神

文字の大きさ
上 下
56 / 208

55

しおりを挟む
「…そうか」


家の前に着いたところで、用心棒のおじさんは何故か立ち止まる。


「もし、魔物と戦う事になるのなら…いや、戦わなくても近くに行くのならせめて防具だけでも揃えた方が良い」


魔物の範囲攻撃や万が一、という事もあるからな…とおじさんに言われて納得した俺は門から中に入らずにそのまま街へと戻った。


…防具か…魔物との戦いなんて全く想定してなかったから、なんか新鮮な気分…


どうせ危ない目には合わないだろう…と、軽い気持ちでワクワクしながらおじさんの案内の下、防具屋へと向かう。


…そして防具屋にて。


「…うわ、重っ…」


なんか硬くて防御力の高そうな鉄製の鎧を見つけたので試着してみるも…


持った時と着けた時の重さの違いにびっくりして思わず呟きが漏れる。


「ははは、商人では鎧は無理だ」

「…いや、これ…ほかの職業でも無理でしょ…」


おじさんがまるで田舎者をからかうように笑うのでちょっと反抗するように返す。


「装備は職業によって着ける事が出来る物と出来ない物に別れている」

「…いや、でもコレ着て動ける…?」

「重く感じるのは『装備不可』だからだ。『装備可能』ならば普段着と変わらん軽さになる」


世の中には装備不可を筋力で無理やり解決して戦う猛者もいると聞くが…と、一応例外が存在する事を付け足す。


「…武器も?」

「ああ、だが…装備可能でもその者の筋力次第では扱えない武器もあるから気をつけた方が良い」


流石は歴戦の猛者の称号を持つだけあって分かりやすく説明してくれた。





…防具を買い揃えてから2日後。


俺は情報屋が連れて来た10人のギルドの人達と共に山へ魔物を捕まえに行き…


半日かけてなんとか捕まえる事に成功した。


…いやー、大変だったね。


基本的に俺は回復アイテムを渡すか、罠を仕掛けるか…で魔物とは離れた場所で支援に徹してたけど。


ちなみに回復アイテムも罠も情報屋が用意してくれていた。


結構な数で、中々のグレードのやつを2万ゼベルで譲ってくれて…


ギルドの人達も壁役の重戦士が二人、囮役の戦士が一人…


魔術師が三人に聖職者が二人で射手が二人…というなんともバランス良い感じのパーティを用意してくれたとか。


…今回紹介された時に思ったけど…なぜか表示は漢字なのに、言葉にするとカタカナになったりする不思議。


『魔術師』はそのまま『まじゅつし』なのに『聖職者』は『クレリック』。


『射手』は『アーチャー』とか『シューター』だし、『戦士』は『ファイター』だったりする。


しかも最初は魔術師ってそのまま読んだかと思えば戦ってる最中になると『マジシャン』とか『メイジ』で…呼び方が違う。


…まあそこらへんはあまり気にしなくてもいい問題なのかもしれないけど…


普通に生きてたら無縁な言葉がこんな風に身近に出てくるとやっぱり不思議に思ってしまう。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!! 僕は異世界転生してしまう 大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった 仕事とゲームで過労になってしまったようだ とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた 転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった 住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる ◇ HOTランキング一位獲得! 皆さま本当にありがとうございます! 無事に書籍化となり絶賛発売中です よかったら手に取っていただけると嬉しいです これからも日々勉強していきたいと思います ◇ 僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました 毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...