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「一応知り合い達が買ってくれたから10個は売れたんだけど…」
「…値段は?」
「この前と同じ2ゼベル50ベル」
在庫の捌けなさに値段が上がったのでは…?と思ったが、そんな事は無いらしい。
「最近お父さんが過労で倒れちゃってさ、回復するまでお母さんが側から離れられないから我が家はなかなかにピンチなのです」
「…うーん…在庫の量は?」
「!ちょっと待ってて…」
なかなかの重い話をまるで世間話のように軽い口調で茶化しながら話す女の子にそう問うと確認しに行った。
「…買うのか?確かに可哀想だとは思うが…」
「…意外と美味しいからね」
おじさんが仕事に私情を持ち込むのか?みたいな事を言ってくるが、俺は街で売れば儲かる事を知りつつも伏せて返す。
「全部で589個!」
…589か…えーと…2.5かける600…1200足す300…1500…引く10…25…
1475ゼベルか……約15万!?結構な値段だぜ。
「…えーと…じゃあ全部まとめ買いで1400ゼベルでどう?」
「ちょっと待って、計算する…」
俺が適当な暗算で値段を提示すると女の子は電卓で計算を始めた。
「…むむ!1450!」
「…1400」
「じゃあ1430!」
「…まとめ買いで1400」
「…うー…しょうがにゃい…じゃあ1400ゼベルでいいよ」
俺が譲らずに言い張ると女の子は少し考えて諦めたのか値引きした値段で手を打った。
「…じゃあ、はい」
「…うわ、直ぐにこんなにお金を出せるなんて…本当にホンモノ?」
女の子は俺をイジるようにニヤニヤしながら札束を数える。
「うーむ、見事にホンモノ…14枚、確かにいただきました」
女の子の確認が終わったので三人で段ボールをコンテナの中に積んでいく。
「値切ったんだからその分昼奢ってー!」
「…またか」
「良いでしょ、お金持ちなんだから…ケチケチしない!金は天下の回りモノ!」
女の子の強引さに押されて結局前回と同様に昼飯を奢る事に。
「最近都会で人気の『すいーつ』ってのを扱ってる店がついにこの村にも出来たんだよ!」
…昼飯だけではなく、なぜか両親へのお土産としてのデザートまで奢るハメになってしまった。
まさかケーキ屋で『ここからここまで全部』をやるとは…
人の金だからって好き放題やりやがって感は出たが、200ゼベルもいかなかったので指摘するのも微妙な金額だった。
…狙ってやっているとしたら策士だが、おそらく天然だと予想。
まあ『昼食代は一人200ゼベル以内』に設定した俺にも非があったと思う。
『一人200なら三人で600だよね?じゃあセーフだよね?』と確認を取られたらイエス以外返せないのである。
やはり天然で計算高い女は恐ろしい…
「送ってくれてありがと」
「なに、女の子一人で持てる量ではないからな」
女の子が自宅前でお礼を言うとおじさんがそう返す。
「…これ、見舞金」
「みまいきん?なにそれ……こんなに!?」
俺が別れ際に札束を渡すとソレを受け取った女の子は数えて驚く。
「受け取れないよ!こんな金額…!」
「…じゃあ、貸す。友達だから利子はいらない…いずれ返してくれれば」
「…いいの?ホントに?」
「…迷惑なら、返して?」
女の子の確認に俺は流石にいきなり1万ゼベルを渡したのはやりすぎか?と思って手を出した。
「いやいや、迷惑だなんてそんな!」
「…じゃあ、いずれ返してくれれば」
「うん!ありがと!見ててよ?いずれ利子つけて返してやるんだから!」
「…いや、利子はいらないって…」
「あはは!じゃあありがたく借りておくね!また遊びに来てね!」
俺が言いかけてる最中にも関わらず女の子は無理やり会話を打ち切って家の中へと帰って行く。
「…良いのか?二度と帰って来ないかもしれないぞ?」
「…その時は、その時…儲けがなくなるだけで、損はしない…」
「…そうか」
おじさんの心配したような言葉にどう転んでもマイナスにはならない事を告げると、それ以上は追求しなかった。
「…値段は?」
「この前と同じ2ゼベル50ベル」
在庫の捌けなさに値段が上がったのでは…?と思ったが、そんな事は無いらしい。
「最近お父さんが過労で倒れちゃってさ、回復するまでお母さんが側から離れられないから我が家はなかなかにピンチなのです」
「…うーん…在庫の量は?」
「!ちょっと待ってて…」
なかなかの重い話をまるで世間話のように軽い口調で茶化しながら話す女の子にそう問うと確認しに行った。
「…買うのか?確かに可哀想だとは思うが…」
「…意外と美味しいからね」
おじさんが仕事に私情を持ち込むのか?みたいな事を言ってくるが、俺は街で売れば儲かる事を知りつつも伏せて返す。
「全部で589個!」
…589か…えーと…2.5かける600…1200足す300…1500…引く10…25…
1475ゼベルか……約15万!?結構な値段だぜ。
「…えーと…じゃあ全部まとめ買いで1400ゼベルでどう?」
「ちょっと待って、計算する…」
俺が適当な暗算で値段を提示すると女の子は電卓で計算を始めた。
「…むむ!1450!」
「…1400」
「じゃあ1430!」
「…まとめ買いで1400」
「…うー…しょうがにゃい…じゃあ1400ゼベルでいいよ」
俺が譲らずに言い張ると女の子は少し考えて諦めたのか値引きした値段で手を打った。
「…じゃあ、はい」
「…うわ、直ぐにこんなにお金を出せるなんて…本当にホンモノ?」
女の子は俺をイジるようにニヤニヤしながら札束を数える。
「うーむ、見事にホンモノ…14枚、確かにいただきました」
女の子の確認が終わったので三人で段ボールをコンテナの中に積んでいく。
「値切ったんだからその分昼奢ってー!」
「…またか」
「良いでしょ、お金持ちなんだから…ケチケチしない!金は天下の回りモノ!」
女の子の強引さに押されて結局前回と同様に昼飯を奢る事に。
「最近都会で人気の『すいーつ』ってのを扱ってる店がついにこの村にも出来たんだよ!」
…昼飯だけではなく、なぜか両親へのお土産としてのデザートまで奢るハメになってしまった。
まさかケーキ屋で『ここからここまで全部』をやるとは…
人の金だからって好き放題やりやがって感は出たが、200ゼベルもいかなかったので指摘するのも微妙な金額だった。
…狙ってやっているとしたら策士だが、おそらく天然だと予想。
まあ『昼食代は一人200ゼベル以内』に設定した俺にも非があったと思う。
『一人200なら三人で600だよね?じゃあセーフだよね?』と確認を取られたらイエス以外返せないのである。
やはり天然で計算高い女は恐ろしい…
「送ってくれてありがと」
「なに、女の子一人で持てる量ではないからな」
女の子が自宅前でお礼を言うとおじさんがそう返す。
「…これ、見舞金」
「みまいきん?なにそれ……こんなに!?」
俺が別れ際に札束を渡すとソレを受け取った女の子は数えて驚く。
「受け取れないよ!こんな金額…!」
「…じゃあ、貸す。友達だから利子はいらない…いずれ返してくれれば」
「…いいの?ホントに?」
「…迷惑なら、返して?」
女の子の確認に俺は流石にいきなり1万ゼベルを渡したのはやりすぎか?と思って手を出した。
「いやいや、迷惑だなんてそんな!」
「…じゃあ、いずれ返してくれれば」
「うん!ありがと!見ててよ?いずれ利子つけて返してやるんだから!」
「…いや、利子はいらないって…」
「あはは!じゃあありがたく借りておくね!また遊びに来てね!」
俺が言いかけてる最中にも関わらず女の子は無理やり会話を打ち切って家の中へと帰って行く。
「…良いのか?二度と帰って来ないかもしれないぞ?」
「…その時は、その時…儲けがなくなるだけで、損はしない…」
「…そうか」
おじさんの心配したような言葉にどう転んでもマイナスにはならない事を告げると、それ以上は追求しなかった。
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