商人でいこう!

八神

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おじさんの提案通り近道を進んだおかげか暗くなる前に予定の街に到着。


なので、市場が閉まる前になんとか特定の野菜や果物を売る事が出来た。


でも時間的に売り物が少なく、買うのは明日の朝イチになってしまったが。


…まあ、今日中に売れただけありがたいからそれ以上は流石に贅沢なんだろうけど。


とりあえずやる事はやったので、おじさんと夕飯を食べて宿に泊まる。


…本来なら用心棒は食べ物と宿は自己調達との事。


俺は金に困ってないから期間中は全額工面するつもりだけど、貰った給料がどんどん減っていくなんて…なんとも世知辛い世の中だ。






…そして翌朝。


宿屋の食堂でおじさんと朝ご飯を食べたあとに市場へと向かう。


…なるべくなら今から向かう炭鉱町?的な所で高く売れる物を買いたいが…


当然ながらソコから近いこの町にそんな都合の良い物は売っていなかった。


「…うーん…」

「あ!お、お兄さん偶然ですねぇ!」


少しでも利益率の高い物を…と市場の商品を物色してるとどこからか声をかけられる。


「?…あ」


誰の事だろう…と一応振り向いてみると情報屋の男が息を切らして立っていた。


「いやぁ、本当に偶然で…ところでお願いがあるんですけど…」

「…お願い?」


男は頭を掻きながら低姿勢でよく分からない話を切り出す。


「…どーしても、今、早急にお金が必要になりまして…お宝情報があるんですけど…一万ゼベルで買ってくれませんか?」


周りに内容を聞かれなくないのか男は小声で商売を始める。


「一万……どんなの?」

「いやぁ、内容の方は買ってもらわないと…」


俺の問いに男は周りを気にしながらヘヘッと笑う。


「お願いします!私を助けると思って!ぜひ!もうお兄さんしかいないんです!」


他の人たちには断られて!と、男は周りの目を気にせずに手を合わせて頼み出した。


…一万かぁ…一万ゼベルって日本円で100万だからなぁ…本当に100万円の価値があるのか?


「お願いします、この通り!」


俺が内心怪しんでると男は更に押してくる。


「…お宝情報って本当にそれだけの価値ある?」

「後悔はさせません。そこだけは保証します」

「…分かった、買う」


質問に答えてはくれなかったものの、流石にここまで頼まれてしまったら断り辛い。


なので失敗したら授業料という事で買う事にした。


「…用心棒の俺が口を挟むのも何だが、怪しいからやめておいた方が…」
「ありがとうございます!じゃあこちらへ!」


おじさんが苦言を呈するように口を挟んで来たが、男はかぶせるようにお礼を言って案内するように手招く動作をする。


「…じゃあ、周りに人が居ないか見張っておいて下さいね」


人気の無い所まで来ると男は用心棒のおじさんにそう告げた。


「ではお金を…………はい、確かに…お買い上げ、本当に…本っ当にありがとうございます!」


料金の先払いを催促してくるので数えて払うと念のためか男も数えてお礼を言って頭を下げる。
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