クラスまるごと異世界転移

八神

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「…何の用だ?」


門のところにあったインターホンを押すと守衛とか警備員っぽい人がやって来て用件を尋ねてきた。


「…ちょっと話があってね。『英雄が来た』って伝えてくれる?」

「英雄…?…!か、かしこまりました!」


青年の名前とか立場を知らないので俺がふわっと曖昧に言うと男の人は少し怪しんだ後にすぐさま敬礼のポーズを取って走って行く。


「…アレで通じるもんなんだな」

「まあ普通に門前払いされる可能性もあったが…成功して良かったわ」

「おめーすげーな…」


藤原が微妙な顔で言うので俺は結果オーライ的な感じで返すと柴田も微妙な顔で呟いた。


「こんなんとりあえず適当にやって失敗したら失敗した時に考えりゃーいーんだよ」

「いや、普通は最初から失敗しないように考えて行動するだろ」

「なんだ?じゃあ俺やお嬢とかが考えなしで動いてるって言いてーのか?」

「…『朱に交われば赤くなる』っつーけどたまに出るおめーの無茶苦茶な行動はユキリン譲りかよ…」


俺の雑なアドバイスに柴田が否定的な反応をするので文句を言うと藤原が呆れたように呟く。


「ああ?俺はお嬢ほど…」

「お待たせ致しました。中で当主様がお待ちでございます」


藤原が聞き捨てならないことを言うので否定しようとしたら燕尾服を着た執事が頭を下げながら声をかけてくる。


「チッ…流石に俺はお嬢ほど酷くはねーからな」

「はいはい」

「分かった分かった」


門が開いたので執事について行きながら言い直すと柴田も藤原も適当に流すように返した。


「…こちらでございます」

「ありがとうございます。んじゃ失礼しまーす」

「…珍しいな、英雄達が訪ねてくるなど」

「いやー、この国に他に知り合いが居なくてね」


執事がドアをノックして開けるので俺がお礼を言って部屋の中に入るとあの青年が俺らを見て意外そうに言うので訪ねた理由を話す。


「それで?何の用件かな?」

「なんか災魔とかいう魔獣が皇帝に化けてるって話を聞いたから確かめに」

「なんだと!?そんな馬鹿な…」


青年の問いに俺が用件を話すと驚いてソファから立ち上がる。


「最近の戦争も皇帝の独断って話だったでしょ?怪しいから直接会って確かめてみたいんだけど…すぐ会える?」

「…他ならぬ英雄達の頼みとあっては断れんな。もしソレが真実だったのならば国全体に関わる問題にもなる」


すぐに謁見の許可を取り付けよう。と言って青年は部屋から出て行った。


「…なんか意外にすんなり話が進んだな」

「な。普通ならもっとこう…面倒なイベントとかがあるハズなのに」

「コレがコネの力よ。偉い人に恩を売ってっとこういういざと言う時に役に立つからな」


柴田がテーブルの上のお菓子を食いながら拍子抜けしたように言うと藤原もお菓子を食いながら同意するので、俺はスムーズに事が進んだ理由を教える。


「…まあでもおめーほど図々しくねーと出来ねー手段だろ」

「おいおいギブアンドテイクを図々しいって言い換えたら良いようにこき使われるだけだぜ?」

「…確かに。それじゃ奴隷や社畜になっちまうな…海の言う通り使えるモンは使える時に使っといた方が良いかもしれん」


藤原の弄るかのような発言に俺が否定的な意見を告げると柴田が賛同した。
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