クラスまるごと異世界転移

八神

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「…魔獣が…」

「つーか満身創痍だけど回復薬とかねーの?」

「…無い」

「もしあれば真っ先に使っている」

「…それもそうか」

「ほらよ」


俺の問いに両側の部下っぽい兵士が答えるので納得すると柴田と藤原が回復薬を渡した。


「…助かった。英雄殿、礼を言う」


青年は回復薬を二つ飲むと元気になって立ち上がり、柴田と藤原に頭を下げながらお礼を言う。


「他に生存者が居ないか捜索にあたる!万が一魔獣と遭遇した時の事を考え二人一組でペアを組め」

「「「「はっ!」」」」


青年が指示を出すと博物館の中に居た兵士達が一斉にポーズを取って返事をする。


「ソレはやめといた方がいいぜ」

「そーそー、無駄足になるだけだからな」

「…それは、つまり…!」

「まあそういう事」


柴田と藤原の制止に青年は察したように呟くので俺が肯定した。


「なんという事だ…帝都が、たった一日で…」

「アウエロス様。こんな素性の知れぬ者の言葉を鵜呑みにするつもりですか?」

「素性の知れぬ…だと?帝国民の恩人である『生ける伝説』と呼ばれる英雄達を前に、もう一度言ってみろ」

「「「!!??」」」


絶望したように床に膝を着いて呟く青年に兵士の一人が困惑したように聞くと青年は怒ったように柴田と藤原の素性を明かすように紹介し…その場に居た人達全員が驚愕する。


「こ、これは失礼しました!状況が状況とはいえ、とんでもない失言を…!」

「…次からは気をつけろよ」

「は、はっ!」


さっきの兵士が慌てて謝ると藤原がめんどくさそうに俺らを見るので、柴田もめんどくさそうな感じで適当に返すと兵士はポーズを取って返事をした。


「…兵への寛大な措置、感謝致します。部下の失態は上司の失態…」

「あー、はいはい。とりあえず今はそんなんしてる場合じゃねーから後でな」

「…海」

「また俺かよ。…とりあえず聖女を連れて来たいんだけど、みんな生き返ってもまた戦争でまた魔獣の襲撃…ってのは避けたいワケ」


藤原が謝る青年の言葉を遮って強制的に話を打ち切ると柴田が俺に話を進めるよう促すので率直に現状の課題を伝える。


「今度は帝都を手薄にするような真似はしない。私の権限を最大限使用してでも帝都の守りは堅くするつもりだ」

「いや帝都の守りうんぬんより『戦争をやめろ』と言いたいんだけど」

「…確かに」

「しかしソコは陛下の裁量次第…いくら高貴士のアウエロス家とはいえそこまで権限が及ぶものでしょうか…?」


青年の誓うような言葉に俺が訂正するように返すと少し考えて賛同するもさっきの兵が問題点を確認してきた。


「俺らが偉い人を探してた理由はソコ。戦争反対派の平和主義者をトップにするために今の皇帝の代わりを探してんの」

「皇帝陛下の…」
「代わりに、だと!?」
「そんなバカな事が…!」
「いやでも今回の失態は間違いなく皇帝陛下の責任」
「いや、皇帝陛下は既に亡くなっているだろう?」
「だが聖女ならば死人さえも生き返らせると…」


俺が計画的なのを話すと周りの人達が驚いてザワザワと騒がしくなる。
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