クラスまるごと異世界転移

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夕食後。


「じゃあ藤、頼むわ」

「はいよ」


俺は藤原とのスキルの連携でとりあえずガライアの家へと移動してから沼内の居るアトリエへと向かう事に。


「よー、遅くなって悪ぃ」

「あれ、夕食後って言ってたのに結構早いね。俺はこれからなのに」

「ま、人それぞれだからな…で？材料はどれだけ必要なんだ？」


店の中をそのまま突っ切ってアトリエの中に入り挨拶すると沼内が時間を見て意外そうに言うので俺は適当に返して確認する。


「一応コレが試作品を作った時の材料」

「…ほー、どれも流通してるヤツばっかで良かったぜ」

「…いつもそうだけど、なんで必要以上の種類と量の材料をくれるの？いや、こっちからしたらとってもありがたいんだけど…」


沼内から渡された紙の内容を見た後に兵を召喚して昼間に集めさせた鉱石やシリコンっぽい材料とかを床に置かせると、沼内は微妙な表情で理由を聞いてきた。


「そりゃお前に良い物を作ってもらいたいからに決まってんだろ。それだけ期待してんだよ」

「でもお金とか大丈夫？これだけでも結構な額だと思うけど…」

「これでも集めた量の1/3ぐらいだけどな。どれだけ必要になるか分からんからとりあえず買い溜めさせてるし」

「…これで1/3って…この量だと15個ぐらいは余裕で作れるって…」

「んじゃ10個ぐらい頼む。いくらになる？」


俺が理由を話すと呆れたように呟くので、俺はとりあえず他の国の王子が欲しがった時の事も考えて余裕を持った量を要求して金額を尋ねる。


「こんだけ材料があればタダでもいいかな。余った分は貰って自由に使っても良いんだよね？」

「おう。俺には必要無いからな…好きに使ってくれ」

「じゃあとりあえず改良型を作るとして…あ！あの黄色の魔鉱石は？アレが無いと…」


沼内の確認に俺がそう返すと何かを考えるようにブツブツと呟いて重要な材料が無い事に気づく。


「おっとそうだ。どれぐらい必要になる？」

「えーと…これぐらいかな」


兵に魔結晶を床に置かせて沼内に選ばせると10個中の3つを取ったので残りは片付けさせた。


「…流石に魔鉱石は好きなだけ、ってワケにもいかないんだ」

「まだ数は結構あるけど、用途が広すぎてあんまり無駄遣いはしたくなくてな。また採りに行くのも面倒だし」

「まあ本当は二つあれば十分だし…一つは返した方が良い？」

「いや？お前が使うのは無駄にはならんからな。好きなだけ使えよ」

「…そう言ってもらえると助かるよ」


沼内の発言に俺が理由を話すとソレを聞いて遠慮したように言い出すので否定するように返すとホッと安心したように呟いた。


「とりあえず明日まではかかりそうか？」

「急ぎなら試作品のままで今すぐ出来るけど、改良するんなら明日の朝ぐらいかな？」

「んじゃ、明日の朝食後にまた来るわ」

「ん」


俺が確認すると沼内がそう返すので一旦出直す事を告げると別れの挨拶として手を振る。


「…あっと、そうだ。忘れてた」

「他にもなんかある？」

「コレ、差し入れってヤツだ。他の人と一緒に食うか一人で食うかは任せる」

「…なにこれ？」

「チョコレートケーキとマフィンと普通のチョコ。あとお湯で溶かす粉末のコーヒー」

「おお！マジ！？ありがとう！」

「じゃあな」


俺は沼内のやる気を引き出すためと労いの意味を込めて兵に新大陸で採れた新しいチョコとコーヒー豆を使った差し入れを渡させて帰宅した。