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「…どうだった?」
「材料が足りないから直ぐは無理だって」
「…そ、そうか…ソレは…しょうがない、な…」
ワクワクしたような王子の期待を込めての確認に俺がそう伝えると王子は肩を落として露骨にガッカリしながら呟く。
「一応後から俺が行くって言ったから、早ければ明日の朝には持って来れる…ハズ」
「本当か!?」
「…材料を集めても作るのはアイツだからねぇ…どれくらい時間かかるのかは正直分からない」
「しかし手には入るのだろう?」
「多分」
「では一週間ほどまでなら問題あるまい!それ以上かかるのならばソレはもはや失敗と同義と考えねばならんからな!」
俺が適当に話すと王子はなんか気分を良くしたような感じになる。
「一週間もかかるもんかね…ま、材料の集まり具合にもよるか」
「早いに越した事は無いが過剰な期待の反動は重いものだ」
「そりゃそうだ」
俺の独り言に王子が警告的な事を言い出すので賛同して返し…
あとは大使館的な建物に着くまで適当な雑談をした。
…そして研究を手伝う事、数時間後。
「…んじゃ、実験してみようか」
「ほう…ソレが『魔結晶』か。まるで宝石のように綺麗な物だな」
昼過ぎに俺が魔結晶を取り出すと王子がソレを見ながら意外そうに言う。
「多分加工すればインテリアとか装飾品としても使えると思うけど…そこまで無駄で余裕のある贅沢な使い方をしたら周りからめっちゃ凄い目で見られるんじゃない?」
良くも悪くも色んな意味で…と、俺は王子の意見に微妙な顔をしながら返した。
「はっはっは!確かに!実用性の高い希少な品を装飾品として扱えば権威を誇示し威光を示す事も出来ようが、逆に無能の謗りを受ける事も避けられんな!」
「まあ普通にすげーって思うけど、冷静に考えたら逆の意味ですげー…ってなっちゃうからね。研究員や開発者からすると特に」
豪快に笑いながら同意する王子に俺も蛇足のように同じ事を繰り返して話す。
「そういえば我が父君の側室も昔、魔石をペンダントやイヤリングにしたい…とほざいていた事があったな。真価が分からぬ者が持っていても仕方がないだろうに」
「俺らの所ではそういうのは『猫に小判』『豚に真珠』って言ってた」
「…ふ…ははは!なるほど!ははは!なんとも…上手い、例えよ!ははは!」
王子の笑い話に俺がその状況を表すことわざを挙げると、ツボに入ったのか…腹を抱えて笑い始める。
「…ふう。…ここまで笑えたのは久方ぶりだな」
「そう?まあ面白いなら良かったよ。じゃあとりあえず始めようか」
「ああ」
俺は王子の笑いが収まるのを待って兵に新型のモーターに黄色の魔結晶を加工して取り付けるよう指示した。
「…なんと。冶金技術に秀でているワウシャープでさえ魔結晶の加工は難しい、と聞いたが…」
「ま、普通にやったらそうだろうね」
「なるほど。魔法の応用か…確かトルツの秘匿研究の一つに似たようなのがあったな…」
5分もかからずに終わった作業を見て驚きながら呟いた王子に俺が軽く返すと思い当たる事があるように正解を呟く。
「意外と『秘匿』とか『最重要国家機密』とかでも漏れるモンなんだね」
「…研究を進めれば実験やテストは避けられまい。ソコから漏れてしまうのだ」
とはいえあくまで噂でしかなく、研究の外枠しか知らんがな。と王子は俺の疑問に口元に手を当てて考えながら答えてくれる。
「材料が足りないから直ぐは無理だって」
「…そ、そうか…ソレは…しょうがない、な…」
ワクワクしたような王子の期待を込めての確認に俺がそう伝えると王子は肩を落として露骨にガッカリしながら呟く。
「一応後から俺が行くって言ったから、早ければ明日の朝には持って来れる…ハズ」
「本当か!?」
「…材料を集めても作るのはアイツだからねぇ…どれくらい時間かかるのかは正直分からない」
「しかし手には入るのだろう?」
「多分」
「では一週間ほどまでなら問題あるまい!それ以上かかるのならばソレはもはや失敗と同義と考えねばならんからな!」
俺が適当に話すと王子はなんか気分を良くしたような感じになる。
「一週間もかかるもんかね…ま、材料の集まり具合にもよるか」
「早いに越した事は無いが過剰な期待の反動は重いものだ」
「そりゃそうだ」
俺の独り言に王子が警告的な事を言い出すので賛同して返し…
あとは大使館的な建物に着くまで適当な雑談をした。
…そして研究を手伝う事、数時間後。
「…んじゃ、実験してみようか」
「ほう…ソレが『魔結晶』か。まるで宝石のように綺麗な物だな」
昼過ぎに俺が魔結晶を取り出すと王子がソレを見ながら意外そうに言う。
「多分加工すればインテリアとか装飾品としても使えると思うけど…そこまで無駄で余裕のある贅沢な使い方をしたら周りからめっちゃ凄い目で見られるんじゃない?」
良くも悪くも色んな意味で…と、俺は王子の意見に微妙な顔をしながら返した。
「はっはっは!確かに!実用性の高い希少な品を装飾品として扱えば権威を誇示し威光を示す事も出来ようが、逆に無能の謗りを受ける事も避けられんな!」
「まあ普通にすげーって思うけど、冷静に考えたら逆の意味ですげー…ってなっちゃうからね。研究員や開発者からすると特に」
豪快に笑いながら同意する王子に俺も蛇足のように同じ事を繰り返して話す。
「そういえば我が父君の側室も昔、魔石をペンダントやイヤリングにしたい…とほざいていた事があったな。真価が分からぬ者が持っていても仕方がないだろうに」
「俺らの所ではそういうのは『猫に小判』『豚に真珠』って言ってた」
「…ふ…ははは!なるほど!ははは!なんとも…上手い、例えよ!ははは!」
王子の笑い話に俺がその状況を表すことわざを挙げると、ツボに入ったのか…腹を抱えて笑い始める。
「…ふう。…ここまで笑えたのは久方ぶりだな」
「そう?まあ面白いなら良かったよ。じゃあとりあえず始めようか」
「ああ」
俺は王子の笑いが収まるのを待って兵に新型のモーターに黄色の魔結晶を加工して取り付けるよう指示した。
「…なんと。冶金技術に秀でているワウシャープでさえ魔結晶の加工は難しい、と聞いたが…」
「ま、普通にやったらそうだろうね」
「なるほど。魔法の応用か…確かトルツの秘匿研究の一つに似たようなのがあったな…」
5分もかからずに終わった作業を見て驚きながら呟いた王子に俺が軽く返すと思い当たる事があるように正解を呟く。
「意外と『秘匿』とか『最重要国家機密』とかでも漏れるモンなんだね」
「…研究を進めれば実験やテストは避けられまい。ソコから漏れてしまうのだ」
とはいえあくまで噂でしかなく、研究の外枠しか知らんがな。と王子は俺の疑問に口元に手を当てて考えながら答えてくれる。
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