クラスまるごと異世界転移

八神

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…翌日。


「ん?トルツの家に王子が来てんな」

「トルツ?…魔法農法のか」

「なんか久しぶりに聞いたな」



朝食後に野郎三人でゲームをしてると、アッチの家に王子が来た事を伝えると柴田と藤原は思い出すように返す。


「アッチで研究の引き継ぎがどうとか言ってた気がする。藤、コッチに送って欲しいって言ってっけど」

「オッケー」

「やーやー、久しぶりだね」

「第二の拠点が出来た時以来か…フジワラ殿、感謝します」


王子が兵にお願いするので俺が藤原に伝えてスキルの連携でコッチへ移動させ、挨拶すると王子は藤原に軽く頭を下げてお礼を言う。


「んで?これからは他の王子達と同じように本格的にココで腰を据えようと?」

「ああ。ようやく引き継ぎが終わった…とは言え、無論ココでも研究は続けるつもりだが」

「…よく考えたらよ。第一王子が王の代理として補佐とかサポートしてんだろ?でも実際第一王子ってドロウィンのヤツしか来てなくね?」

「…あー、確かに。他の国は第二だったり第三だったりだよな…それで大丈夫なのか?」


俺の確認に王子が肯定的に返すと藤原が疑問を聞いてきて柴田もそれに乗っかるように聞いてくる。


「ドロウィンとか教国は王妃が書類仕事までサポート出来るから第一王子が居なくても回せるけど、他の国の王妃は基本的に外交の方に力入れてっからな…第一王子が居ないと回らないから中々抜けられねーのよ」

「へー。お前詳しいな」

「そりゃ王子と付き合いがあれば詳しくもなるだろ」

「…ウミハラ殿の言う通り新大陸の開発は急務ですが、内政の方がより重要なので…あまり長い間は国から離れられないのです」


俺が説明すると柴田が納得したように呟いて弄るように言うので理由を話すと王子も俺に賛同するように内情を話し始めた。


「でも海と付き合いあるのって基本開発畑の奴らだろ?どちらかといえば研究者を送るより内政が得意な王子を送った方が良かったんじゃねーの?」

「逆逆。『新大陸では研究者とか開発者の知識が必要かも』って考えで、あえて実績のある信用信頼も出来る凄腕を送ってんの」

「…だとしたらドロウィンはなんで第一王子を?」

「いや、割と早い段階で歯車の研究をしてる第三王子も来てたぞ。お前らが知らなかっただけじゃね?」

「…マジ?」

「マジ」

「マジか。知らなかった…」

「な」


藤原と柴田の疑問に答えていくと二人の納得したような反応をする。


「…ウミハラ殿、少しよろしいだろうか?」

「なに?」

「アイシェの件で…」

「あー、じゃあちょっくら行って来るわ」

「おう」

「行ってら」


話が一段落着いたところで王子がワインの売買を持ちかけて来るので、俺は柴田と藤原に断りを入れてトルツの大使館的な所に移動した。


「んで?どれくらい買うの?」

「購入出来る分全て売って貰えるとありがたいのだが」


歩いてる最中に俺が確認すると王子は大人買いならぬ富豪買い…貴族買い?的な事を言い出す。


「じゃあコレ」

「……なるほど。公平を期すための購入制限か…確かに一理ある」

「ちなみにコレをやらなかったら早い者勝ちになるから今回品切れになってたよ」


ワイン購入にあたっての注意書きが書かれた紙とワインの種類と値段の書かれた注文表を渡すと、中身を見て納得したように呟くので俺は補足するように話した。


「なんと…いや、考えてみれば当たり前の事か」

「特に霊水のヤツはねぇ…材料が希少過ぎる事もあって流す数が少ないから市場に出すと毎回争奪戦がえらい事になってるみたいだし」

「…アレは既に金の問題では無く運の問題となっているからな…ウミハラ殿というツテが無い者にとっては垂涎ものであり、喉から手が出るほどの品だろう」


私もありとあらゆる手段を駆使しているが未だに正規で買えた試しは無い…と、王子は意外な事実を口にする。
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