404 / 556
404
しおりを挟む
…翌日。
「ん?トルツの家に王子が来てんな」
「トルツ?…魔法農法のか」
「なんか久しぶりに聞いたな」
朝食後に野郎三人でゲームをしてると、アッチの家に王子が来た事を伝えると柴田と藤原は思い出すように返す。
「アッチで研究の引き継ぎがどうとか言ってた気がする。藤、コッチに送って欲しいって言ってっけど」
「オッケー」
「やーやー、久しぶりだね」
「第二の拠点が出来た時以来か…フジワラ殿、感謝します」
王子が兵にお願いするので俺が藤原に伝えてスキルの連携でコッチへ移動させ、挨拶すると王子は藤原に軽く頭を下げてお礼を言う。
「んで?これからは他の王子達と同じように本格的にココで腰を据えようと?」
「ああ。ようやく引き継ぎが終わった…とは言え、無論ココでも研究は続けるつもりだが」
「…よく考えたらよ。第一王子が王の代理として補佐とかサポートしてんだろ?でも実際第一王子ってドロウィンのヤツしか来てなくね?」
「…あー、確かに。他の国は第二だったり第三だったりだよな…それで大丈夫なのか?」
俺の確認に王子が肯定的に返すと藤原が疑問を聞いてきて柴田もそれに乗っかるように聞いてくる。
「ドロウィンとか教国は王妃が書類仕事までサポート出来るから第一王子が居なくても回せるけど、他の国の王妃は基本的に外交の方に力入れてっからな…第一王子が居ないと回らないから中々抜けられねーのよ」
「へー。お前詳しいな」
「そりゃ王子と付き合いがあれば詳しくもなるだろ」
「…ウミハラ殿の言う通り新大陸の開発は急務ですが、内政の方がより重要なので…あまり長い間は国から離れられないのです」
俺が説明すると柴田が納得したように呟いて弄るように言うので理由を話すと王子も俺に賛同するように内情を話し始めた。
「でも海と付き合いあるのって基本開発畑の奴らだろ?どちらかといえば研究者を送るより内政が得意な王子を送った方が良かったんじゃねーの?」
「逆逆。『新大陸では研究者とか開発者の知識が必要かも』って考えで、あえて実績のある信用信頼も出来る凄腕を送ってんの」
「…だとしたらドロウィンはなんで第一王子を?」
「いや、割と早い段階で歯車の研究をしてる第三王子も来てたぞ。お前らが知らなかっただけじゃね?」
「…マジ?」
「マジ」
「マジか。知らなかった…」
「な」
藤原と柴田の疑問に答えていくと二人の納得したような反応をする。
「…ウミハラ殿、少しよろしいだろうか?」
「なに?」
「アイシェの件で…」
「あー、じゃあちょっくら行って来るわ」
「おう」
「行ってら」
話が一段落着いたところで王子がワインの売買を持ちかけて来るので、俺は柴田と藤原に断りを入れてトルツの大使館的な所に移動した。
「んで?どれくらい買うの?」
「購入出来る分全て売って貰えるとありがたいのだが」
歩いてる最中に俺が確認すると王子は大人買いならぬ富豪買い…貴族買い?的な事を言い出す。
「じゃあコレ」
「……なるほど。公平を期すための購入制限か…確かに一理ある」
「ちなみにコレをやらなかったら早い者勝ちになるから今回品切れになってたよ」
ワイン購入にあたっての注意書きが書かれた紙とワインの種類と値段の書かれた注文表を渡すと、中身を見て納得したように呟くので俺は補足するように話した。
「なんと…いや、考えてみれば当たり前の事か」
「特に霊水のヤツはねぇ…材料が希少過ぎる事もあって流す数が少ないから市場に出すと毎回争奪戦がえらい事になってるみたいだし」
「…アレは既に金の問題では無く運の問題となっているからな…ウミハラ殿というツテが無い者にとっては垂涎ものであり、喉から手が出るほどの品だろう」
私もありとあらゆる手段を駆使しているが未だに正規で買えた試しは無い…と、王子は意外な事実を口にする。
「ん?トルツの家に王子が来てんな」
「トルツ?…魔法農法のか」
「なんか久しぶりに聞いたな」
朝食後に野郎三人でゲームをしてると、アッチの家に王子が来た事を伝えると柴田と藤原は思い出すように返す。
「アッチで研究の引き継ぎがどうとか言ってた気がする。藤、コッチに送って欲しいって言ってっけど」
「オッケー」
「やーやー、久しぶりだね」
「第二の拠点が出来た時以来か…フジワラ殿、感謝します」
王子が兵にお願いするので俺が藤原に伝えてスキルの連携でコッチへ移動させ、挨拶すると王子は藤原に軽く頭を下げてお礼を言う。
「んで?これからは他の王子達と同じように本格的にココで腰を据えようと?」
「ああ。ようやく引き継ぎが終わった…とは言え、無論ココでも研究は続けるつもりだが」
「…よく考えたらよ。第一王子が王の代理として補佐とかサポートしてんだろ?でも実際第一王子ってドロウィンのヤツしか来てなくね?」
「…あー、確かに。他の国は第二だったり第三だったりだよな…それで大丈夫なのか?」
俺の確認に王子が肯定的に返すと藤原が疑問を聞いてきて柴田もそれに乗っかるように聞いてくる。
「ドロウィンとか教国は王妃が書類仕事までサポート出来るから第一王子が居なくても回せるけど、他の国の王妃は基本的に外交の方に力入れてっからな…第一王子が居ないと回らないから中々抜けられねーのよ」
「へー。お前詳しいな」
「そりゃ王子と付き合いがあれば詳しくもなるだろ」
「…ウミハラ殿の言う通り新大陸の開発は急務ですが、内政の方がより重要なので…あまり長い間は国から離れられないのです」
俺が説明すると柴田が納得したように呟いて弄るように言うので理由を話すと王子も俺に賛同するように内情を話し始めた。
「でも海と付き合いあるのって基本開発畑の奴らだろ?どちらかといえば研究者を送るより内政が得意な王子を送った方が良かったんじゃねーの?」
「逆逆。『新大陸では研究者とか開発者の知識が必要かも』って考えで、あえて実績のある信用信頼も出来る凄腕を送ってんの」
「…だとしたらドロウィンはなんで第一王子を?」
「いや、割と早い段階で歯車の研究をしてる第三王子も来てたぞ。お前らが知らなかっただけじゃね?」
「…マジ?」
「マジ」
「マジか。知らなかった…」
「な」
藤原と柴田の疑問に答えていくと二人の納得したような反応をする。
「…ウミハラ殿、少しよろしいだろうか?」
「なに?」
「アイシェの件で…」
「あー、じゃあちょっくら行って来るわ」
「おう」
「行ってら」
話が一段落着いたところで王子がワインの売買を持ちかけて来るので、俺は柴田と藤原に断りを入れてトルツの大使館的な所に移動した。
「んで?どれくらい買うの?」
「購入出来る分全て売って貰えるとありがたいのだが」
歩いてる最中に俺が確認すると王子は大人買いならぬ富豪買い…貴族買い?的な事を言い出す。
「じゃあコレ」
「……なるほど。公平を期すための購入制限か…確かに一理ある」
「ちなみにコレをやらなかったら早い者勝ちになるから今回品切れになってたよ」
ワイン購入にあたっての注意書きが書かれた紙とワインの種類と値段の書かれた注文表を渡すと、中身を見て納得したように呟くので俺は補足するように話した。
「なんと…いや、考えてみれば当たり前の事か」
「特に霊水のヤツはねぇ…材料が希少過ぎる事もあって流す数が少ないから市場に出すと毎回争奪戦がえらい事になってるみたいだし」
「…アレは既に金の問題では無く運の問題となっているからな…ウミハラ殿というツテが無い者にとっては垂涎ものであり、喉から手が出るほどの品だろう」
私もありとあらゆる手段を駆使しているが未だに正規で買えた試しは無い…と、王子は意外な事実を口にする。
0
お気に入りに追加
331
あなたにおすすめの小説

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています


初めての異世界転生
藤井 サトル
ファンタジー
その日、幸村 大地(ゆきむら だいち)は女神に選ばれた。
女神とのやり取りの末、大地は女神の手によって異世界へと転生する。その身には女神にいくつもの能力を授かって。
まさにファンタジーの世界へ来た大地は聖女を始めにいろんな人に出会い、出会い金を稼いだり、稼いだ金が直ぐに消えたり、路上で寝たり、チート能力を振るったりと、たぶん楽しく世界を謳歌する。
このお話は【転生者】大地と【聖女】リリア。そこに女神成分をひとつまみが合わさった異世界騒動物語である。


うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~
小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ)
そこは、剣と魔法の世界だった。
2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。
新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・
気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる