クラスまるごと異世界転移

八神

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「…ただいまー」

「おう。どうだった?」

「出来たら電話すんだと」

「…本当に出来んのか?」


俺がスキルの連携で帰宅して挨拶すると柴田が尋ねてくるのでそう報告すると藤原は疑うように聞く。


「さーな。ま、普通に考えたら無理だろ」

「…じゃあ魔鉱石とか渡して良かったのか?アレって一応かなりの貴重品だろ?」

「問題ねーだろ。『普通に考えたら』無理ってだけでアイツ普通じゃねぇし」

「…ソレは馬鹿にしてんのか?それとも信頼してんのか?だとしたら期待値高くねー?」


俺の適当な返しに柴田が心配したように聞いてくるので、沼内への期待を込めて言うと藤原は微妙な顔をしながら軽くツッコむように言う。


「もはや俺らの生活必需品になってる夢のマシーンを作った奴だぞ?期待すんな、ってのが無理な話だろ」

「…そりゃそうか」

「据え置きだけじゃなく携帯機まで作った奴だしな。確かにアイツならやってくれそうだ」

「んな新しい夢のマシーンが生まれんならスポンサーでもパトロンにでもなるだろ?」

「だな。協力を惜しめねーわ」

「おう」


俺が二人を懐柔するように話すとゲーム機の前例があるからかアッサリと落ちた。


「…にしても良く考えたらココ、ゲーム的な世界じゃん?」

「おう」

「そんな世界でVRのMMOとかやっても微妙なだけじゃね?」


藤原のふと思いついたような疑問に柴田が相槌を打つと沼内の考えを根本から否定するような事を言い出し始める。


「「…あー…」」

「いわばVRのゲームの中で更にVRのゲームをやるようなモンじゃねーの?」

「…確かに」

「そう言われたらそうだな」

「こんな世界なんだから普通に町の外に出るとかで魔獣と戦えばゲームの気分を味わえるんだから、わざわざVRでやる意味無いよな?」

「そうなるな」

「な」


藤原はガッツリ沼内の思想を否定していくが俺も柴田も何も返せないのでそのまま同意した。


「…まあ確かに藤の言う通りこんな世界でVRに魅力は無いな。3Dとかホログラムの方は面白そうだが」

「でも藤の言った通り外に出て戦えば良いんだからソレも微妙じゃねーか?」


俺が藤原の意見に同意しつつも沼内の考えを支持するように言うと柴田は否定的に言う。


「一応ゲームだと命の危険は無いワケじゃん?それにFPSとか狩ゲーとか部屋中に写すホログラムでやったら臨場感ヤバそうじゃね?」

「あー…」

「それは…確かに…」

「ホラーとか絶対やべーぜ」

「それはある」

「夜トイレに行けなくなるんじゃねーか?」


俺の意見を聞いて藤原と柴田が揺れるように呟くので更に興味を惹く例を挙げると同意し始めた。


「この世界と違って色んなゲームの世界に没入出来るってのはかなりの利点だと思うがな」

「…うーん…確かに…」

「でもソレってホログラムである必要あるのか?」

「そんなんやってみないと分かんねーだろ」

「…だよな…沼内が完成させるのを楽しみにしとくか」

「実際にやってみねー事には評価出来ねーしな」


…なんやかんや柴田と藤原は最終的に沼内の考えを肯定的に捉えてくれたらしい。
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