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しおりを挟む「…何をしているんだ?」
午後もおやつの時間が近づいてきたぐらいの時間帯にドロウィンの第一王子がやって来た。
「ん?おー、いらっしゃい。見ての通りだよ」
「…武器屋、か?」
「そうそう」
俺の返答に王子が微妙な顔をしながら尋ねるので俺は肯定する。
「…『金に困って剣を売っている』という情報がまさか本当だったとは…」
「他の国に出稼ぎに行くっていう案もあったんだけど…魔鉱石で武器を作って冒険者の質を上げた方が良い、って言われたから」
「なるほど。金を稼げて拠点も発展させる事が出来る…まさに妙案だ」
「『一石二鳥』『一挙両得』ってやつだね」
困ったように顔に手を当ててため息を吐きながら呟く王子にそう返すと驚いたように納得するので俺は現状を表すことわざを使った。
「んで?何の用?」
「ああ…アカリに用があるんだが」
「佐藤って家ん中に居たっけ?」
「さあ?深山達と教会に行ってんじゃね?」
「昼飯食った後に深山達と出て行ってたような気がすっけど…どうだったかな…?」
「ちょっと待ってて」
佐藤の居場所を柴田に聞いたが、藤原もあまり気にしてなかったのか分からないようなので…
俺は家を掃除させてる兵に指示を出して部屋を確認させる。
「…あ、居ないわ。だとしたら多分教会に居るハズ」
「分かった。助かる」
俺の報告に王子は礼を言って教会の方へと歩いて行った。
「わざわざ本人が行かなくても部下に行かせりゃいいものを」
「逆に部下が忙しくて本人が空いてんじゃね?」
「それか本人が身体を動かしたいか、だな」
王子を見送った藤原の言葉に柴田が予想するので俺も予想で返す。
「すまない」
「ん?いらっしゃい」
すると長い髪を後ろで束ねた昔の武士みたいな顔と髪型の男が話しかけてきた。
「槍が欲しいのだが…特注で作ってはもらえないだろうか?」
「…特注なら鍛冶屋行ったら?そこの剣を買って打ち直して貰えば良いと思うけど」
「その手も考えたのだが…特注はやはり無理であろうか?」
男の確認に俺が拒否るように他の案を出すも、男は食い下がるように再度確認してくる。
「うーん…定価の一割増しで買うなら良いよ」
「!本当か!金はある。ぜひ作ってくれ!」
「んじゃ、どんな形で作れば良い?」
「コレに近い形だとありがたいが…」
俺の出した条件に男は即決するように頼んでくるので形状を尋ねると持ってる槍を差し出した。
「じゃあちょっと借りるよ」
「あい分かった」
俺はその槍を受け取ると兵に渡して家の中まで持って行かせ、魔法鍛法で同じ物を作るよう指示する。
「型が出来るまで少し時間かかるから、5分から10分ぐらい待っててね」
「承知した」
俺が断りを入れると男はアッサリと受け入れて頷く。
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