クラスまるごと異世界転移

八神

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…翌朝。


日が昇り始めたぐらいのまだ早い時間にワウシャープの王子が訪ねてきた。


「珍しいね。こんな朝早くに」

「…少し試したい事があって…ワウシャープに送ってくれない?」

「…今?」

「うん」


俺が出迎えると直ぐに用件を言うのでその内容に困惑しながら確認すると頷かれる。


「…まだ藤は寝てっからなぁ……まあいいか」

「…え…?」


俺は頭を掻いて面倒くせぇ…と思いながら少し考えて了承して兵を召喚し、王子をお姫様抱っこで抱えさせてワウシャープの家へと再召喚した。


「…ん?あ、俺にも用だったんだ…まあ朝食後に行くか」


あっちで王子が兵に仕事の依頼をしてくるので俺は独り言を呟きながら兵にソレを伝えさせる。


「…あ、おはよう…」

「お、はよー」

「おはよー。海原君もう起きてたんだ、早いね」

「あんま疲れてねーからな」

「おはよー」

「おはよう」


リビングに戻ろうとしたら高木と斎藤が起きて来て挨拶を返すと住吉、深山と女子達が起きて来た。




「…はよー…」

「はよー…ふあぁ…」


それから30分ぐらいして柴田と藤原が眠そうな顔で起きて来て挨拶する。


「あっとそうだ…俺、飯食ったらワウシャープに行くから、午前中は兵に武器屋を任せる事になりそう」

「ワウシャープ?なんかあったのか?」


柴田と藤原が顔を洗ってリビングに来たので俺が予定を告げると柴田は不思議そうに聞いてきた。


「王子がなんか閃いたから試してー事があるんだと」

「へー。で、王子はいつ来んの?」

「さっき来てたから王子だけ先にアッチに送った」

「えっ、そんな朝早くから来たん?」

「えっ!?」


藤原の疑問に俺がさっきの出来事を教えると柴田が驚いたように聞き、藤原は驚愕したような顔をする。


「…なんで驚いてんだよお前。さっき海に起こされたんだろ?」

「いや…俺ふつーに寝てたけど…」

「…え?…どゆこと?」

「流石にあんな朝早くから藤を起こすのは悪いと思ってな。くっそ面倒だからホントはあんまやりたくねーんだけど、スキルの応用でアッチに送った」

「「…あー…」」


柴田が状況が理解出来てないように聞いて来るので軽く説明すると藤原共々納得したように呟く。


「ってか物だけじゃなくて人まで送れんの?ソレ」

「みたいだな。この前委員長のパーティとダンジョン行ったじゃん?あの時気づいた」

「あー…あのクソアホがやらかした時ね」

「そういや海が魔法使いの女の子を逃したんだっけ?そん時のか」

「やっぱ人間死ぬ気になるとなんか覚醒するみてーだな。普通に生きてたらこんな使い方とか絶対思いつかねーし」

「いや、笑えねーって」


俺の笑い話にするような言い方に柴田が思わずツッコむ。
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