クラスまるごと異世界転移

八神

文字の大きさ
上 下
370 / 556

370

しおりを挟む
「そうそう。買って後悔しないように最初にレンタルして、実際に使ってから気に入ったり買う気になったらそのまま買えるやつ」

「レンタル…だって?武器をか?」

「そんなの聞いた事無いぞ」

「まあ利用するかしないかはお客さん次第だからね。一応利用規約はそこの看板に書いてあるから」


元の世界のサービスをパクった説明をすると男達が軽く驚いたような反応をするので俺は立て掛けてある看板を指差して背を向ける。


「…なるほど。試着の延長線みたいなものか」

「この剣のレンタリース代はいくらになる?」

「ココにある剣は一律で一日につき金貨600枚だよ」

「600…!それなら、そのサービスを利用させてくれ!」

「たった600枚で魔鉱石で出来た剣が使えるなら安いものだ!俺も」

「俺もだ!」

「まいどあり」


看板の利用規約を読んだ男達がレンタリースを利用するらしいので、俺は兵を召喚して対応させた。


「…なあ、海。アレ貸し出して良かったのか?」

「貸すより普通に売った方が良かったんじゃねーの?」


契約書にサインして剣を受け取り、喜んで去って行く男達を見て柴田と藤原がゲーム機から目を離して確認してくる。


「大丈夫大丈夫。消費者心理としては一回でも使ったら愛着が湧くから同じのを買いたくなるもんだし」

「でも中には新しいのを使いたがる奴もいるだろ?」

「手入れが面倒くせーとかでよ」

「まあソレもソレで良いんじゃね?武器が売り切れだった場合に余計面倒くさくなると思うけど」

「…あー…」

「確かに。ソレならまだ買った方が早いか」


心配そうにする柴田と藤原に俺が楽観的に話すと納得したように頷く。


「ソレにマジで買う金がねーかもしれんし」

「あー、依頼受けたいけど強い武器が無くて受けられない…そのための武器が欲しいけど依頼をこなせないと金が無い…の負のスパイラルか」

「おめー意外と優しいトコあんな。救済用のサービスかよ」


俺の予想に柴田がまるで経験があるような例を挙げると藤原が意外そうに言う。


「金遣いの荒い貧乏人を金持ちにして更に金を落とさせよう、っつー戦略だな」

「エグい考えしてんなー。ま、冒険者の質を上げるための救済措置にしとこうぜ?その方が受けが良いし」

「だな」

「俺は別にどっちでも良いんだが」


俺が本音を教えると柴田が笑いながら体裁を気にするような事を提案すると藤原が同意するので俺は適当に返した。


「…お。この剣は売り物か?」

「おやお客さん?いらっしゃい」

「ほう…中々に良い剣じゃないか。性能が高いだけじゃなく付加効果まであるとは」


昼前になって一人の男が店前で止まり、剣を見ながら尋ねてくるので俺が挨拶すると剣を手に取って褒める。


「値段は…金貨3万枚か。…よし、この剣を売ってくれ」

「まいどあり」


男は値段を見て少し考えると直ぐに購入を決断して紙幣を差し出してくるので兵に数えさせて剣を売った。


「…ほう…確かに良い剣だ。俺にも一つ売ってくれ」


さっきの男とのやりとりを見てたであろう別の男が剣を手に取って確認すると購入の意思を示すので兵に対応させる。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

初めての異世界転生

藤井 サトル
ファンタジー
その日、幸村 大地(ゆきむら だいち)は女神に選ばれた。 女神とのやり取りの末、大地は女神の手によって異世界へと転生する。その身には女神にいくつもの能力を授かって。 まさにファンタジーの世界へ来た大地は聖女を始めにいろんな人に出会い、出会い金を稼いだり、稼いだ金が直ぐに消えたり、路上で寝たり、チート能力を振るったりと、たぶん楽しく世界を謳歌する。 このお話は【転生者】大地と【聖女】リリア。そこに女神成分をひとつまみが合わさった異世界騒動物語である。

商人でいこう!

八神
ファンタジー
「ようこそ。異世界『バルガルド』へ」

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ) そこは、剣と魔法の世界だった。 2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。 新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・ 気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...