クラスまるごと異世界転移

八神

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「!これはルドラ王子!このような作業場にまでお越し下さるなんて…!」


カーン!カーン!と鉄を打つような音が鳴り響く作業場の中に入ると…


作業中の職人の一人が王子に気づくと作業の手を一旦止めて床に膝を着いて頭を下げ始める。


「楽にしてよい。作業を止めず、続けるのだ」

「「「はっ!王子の心遣い、心より感謝いたします」」」


ソレに気づいた職人達が次々と同じ行動をし出すと王子は呆れたように言い、職人達は一斉に感謝の言葉を述べて作業を再開した。


「…こういうのが続くとマジで大変そうだ」

「…実際、ちょっと大変」

「まあ王とか王子って国の象徴みてーなモンだからな…蔑ろにすると示しがつかねーってか『自分達の誇りがー』的な感じになるからしょうがねぇっちゃあしょうがねーが…」


俺んトコはこんな感じじゃなくて良かった…と、王子の気苦労を感じつつ自分が日本生まれである事をちょっとだけ感謝しながら呟く。


「…そうか。ウミハラ殿にも、当然生まれ故郷はあるのか…」

「ま、そんなどうでもいい事はさて置き。あの魔鉱石を使ってココの炉を改修だか強化だかしようか」

「…ん」


…俺らの世界の日本の事を話しても王子には理解してもらえなさそうなので適当に流してさっさと本題に入る。


「…と言ってはみたものの…炉の強化ってどうやんの?剣とか鎧にやるみたいに加工した魔石を使って魔法強化する感じ?」

「…強化するのは炉の火力の部分だから…内側に、こんな感じで…」

「…あ、なるほど。そんな感じで良いんだ」


俺の確認に王子は新しい炉の設計図を取り出して見せながら説明するので俺は魔導兵を召喚しながら納得した。


「…と言ってもまずは、この魔鉱石の加工から…」

「ほいよ」


王子が赤色の綺麗な結晶のような魔鉱石を取り出すので俺はソレを受け取って兵に渡し、魔法を使うよう指示する。


「…っ!!??」

「なっ…!!?」

「コレでオッケー?」


俺の魔法鍛法を見たのは初めてだったのか、直ぐに終わった作業に王子と職人のおっさんがえらく驚くが俺は特に気にせず確認した。


「一体、何を…!?あの魔鉱石を…こんな、簡単に…!」

「何って『魔法鍛法』だよ。この前資料渡したじゃん」

「……え?アレ、魔鉱石にも…?」


王子が驚きながら聞いて来るが俺の返答にキョトンとしたような反応をする。


「あ、ちゃんと読んでなかったんだ」

「…ごめん。帰ったらちゃんと隅々まで読む事にする…」


俺の呆れたような言葉に王子は目を泳がしながら謝った。


「まあ読んでも実際使えるようになるにはトルツの研究が必要だし…あんま意味は無いか」

「お、王子…この、兄さんは、一体…何者なんですか?」

「…ただの一般人だ。冒険者でも専門家でも職人でもなく、民間の」

「な、なん…こんな逸材が今まで埋もれてた国ってのは…一体どんな魔境なんだ…?」


おっさんが俺を見ながら王子に尋ねると少し考えて答え、ソレを聞いて驚愕しながら呟く。
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