クラスまるごと異世界転移

八神

文字の大きさ
上 下
342 / 556

342

しおりを挟む
「ってかそんなんで良く嫌われねーな。そこまで人気ある理由が分かんねーんだけど」

「確かに。海の話聞いて俺の中のユキリンのイメージがやべー事になってんだけど」

「そりゃ周りから見てる分にはおもしれー女だからな。巻き込まれる方は堪ったモンじゃねーが」

「いやー、理由としては薄くね?」


柴田の疑問に藤原も幻滅したように返すので理由を軽く話すも、納得出来ないように否定的に返された。


「お嬢は子役として活動してたから金があるわけよ。んで、クラス会とかを良く提案しては費用を全額自分持ちで奢りとかやりだしてな」

「…マジか」

「そりゃすげーな」

「ライブとかあればクラス全員分の良い席のチケットとか配るし、芸能人のサインとか頼まれると快諾して貰ってきたり…」

「いや、ごめん。分かった。すげーわ、そりゃ…うん」


まだお嬢の好かれてる理由を話してる途中だと言うのに柴田は割って入ると謝り出して納得するように呟く。


「とりあえず良くも悪くもグイグイ引っ張ってく強引さとか、トラブルメーカーだけど最終的に一緒に居て楽しい、って所がみんなに好かれてる理由だな」

「はー…清濁合わせ飲んだ感覚か」

「にしても珍しく語るな、海」

「そりゃ俺のせいでお嬢の事を変に誤解されたり勘違いされたままじゃ嫌だからな」


理由を話し終えると藤原が納得したように呟き、柴田が笑いながら弄るように言うので俺はそう返した。


「…つーか金の使い方が派手じゃね?」

「そう!ソコがお嬢の悪い所の一つでな。買い物に付き合わされると服から靴からアクセサリーやらを大量に買うから…待たされたり、持たされる身にもなって欲しいぜ…」


まあ美味い飯を奢ってくれるけども。と、俺は悪い所ばかりじゃないこともしっかりと伝える。


「…お前も苦労してんだな」

「パセリが都合悪かったら次は俺だからな…二番目の被害者よ」

「まあ美味い飯奢ってくれんなら…断りづらいわな」

「だろ?上手くいけば昼飯と晩飯だから余計に断れねーんだ、コレが」


柴田が同情するようにしみじみと呟くので肯定するように返すと藤原も微妙な顔をしながら言い、俺は苦労話をするように返した。


「…でもそんな派手に金を使うのに、なんでアイドル辞めたんだ?もちろん枕営業が嫌だったんだろーけど…それでももっとやりようはあったんじゃね?」

「確かに…お偉いさん達の隠し事を暴露したら干されるのは分かりきってるハズなのにな」


柴田の疑問に藤原も賛同するように首を傾げる。


「簡単よ。お嬢への枕営業が事務所の他の女の子や同級生にまで及んだから」

「「…は?」」

「つまり『お嬢をもっと有名したいだろ?じゃあ分かってるよな?』って局のお偉いさん達があろう事か親衛隊の女子達に声をかけ出してな」

「いやいやいや!嘘だろ!?」

「そんなことある!?」


俺が当時の状況を説明すると柴田と藤原は信じられないようにツッコんできた。


「んで事務所にも『アイツをもっと売り出したいんなら分かってるよな?』って別の女の子への枕営業の斡旋を持ちかけて、ソレを知ったお嬢がブチ切れてみんなを守るために全部暴露した」

「「…マジか…」」

「そんでもう暴露した時は俺らみんな『すげぇ!お嬢、ヒーローみてぇ!』って大盛り上がりで、お嬢への好感度がうなぎ登りで爆上げよ」


俺の話を聞いてヒいてる二人に構わず俺は話を続ける。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

初めての異世界転生

藤井 サトル
ファンタジー
その日、幸村 大地(ゆきむら だいち)は女神に選ばれた。 女神とのやり取りの末、大地は女神の手によって異世界へと転生する。その身には女神にいくつもの能力を授かって。 まさにファンタジーの世界へ来た大地は聖女を始めにいろんな人に出会い、出会い金を稼いだり、稼いだ金が直ぐに消えたり、路上で寝たり、チート能力を振るったりと、たぶん楽しく世界を謳歌する。 このお話は【転生者】大地と【聖女】リリア。そこに女神成分をひとつまみが合わさった異世界騒動物語である。

商人でいこう!

八神
ファンタジー
「ようこそ。異世界『バルガルド』へ」

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

処理中です...