クラスまるごと異世界転移

八神

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「なるほど。いかに優れた技術を持っていても時間の制限の前には無力なものだな…本当に悲しい事だ」


コレほどの技術を存分に振るえないとは…と、お兄さんは誤解せずに俺の意図を汲み取ったらしく料理を食べながら料理長を憐れむかのように呟いた。


「いや、でも俺らが食ってるコレもアレもアレも元は全部あのシェフが作ったヤツだろ?俺はこんな料理や作り方を生み出したってだけで尊敬できるけどな」

「全くだ。同じ物を作れる海の兵もすげーが、ゼロからイチを生み出す奴の方が凄い…偉人だと俺ぁ思うぜ」


ちょっと湿っぽくなった雰囲気を変えるかのように柴田が料理長を褒め、藤原もソレに賛同する。


「…確かに。柴田殿と藤原殿のおかげで己の過ちに気づけた…礼を言う」

「どーでもいーけど、食事中にんな面倒なのはやめよーぜ?せっかくの料理の味が落ちるだろ」

「海の言う通り。美味い飯はもっと楽しく食わねーともったいねーぜ?」

「だな」


恥じたような事を言い出すお兄さんに俺が注意すると柴田と藤原も同意してきた。



…夕食後。



お兄さんは俺らに許可を取ってから拠点内を歩き回る。


「…ふーむ…佐藤殿の言う通りちょっとした町並みの広さだな。地面の起伏もほとんど見られず、立地条件も素晴らしい」

「だとよ。宿屋でも建てるか?海」

「別にテントだけで良くね?」

「確かにな。わざわざ建物を建てる必要性は感じねーわ」


戻って来たお兄さんの報告を聞いて柴田が弄るように言ってくるので俺が否定的に返すと藤原も俺の意見に賛同した。


「しかし…まさか一日も経たずにこんな安全な拠点を作り上げてしまうとは…海原殿がこんな偉業を簡単に成し遂げてしまうと先人達が浮かばれないぞ」

「元々は目隠しするだけの目的だったんだけど…思いついちまったからな。王子達の研究のおかげで」

「ははっ、先人達はあくまで過去の人間…現代の技術には敵わないか」


お兄さんが笑いながら過去の人達を引き合いに出すので、俺は現代の偉人達を引き合いに出して返すと良く分からない事を言われた。


「さて、俺は報告に行かないとな…海原殿、藤原殿、お願い出来るか?」

「おう。海」

「オッケ」

「では、また」


お兄さんのお願いに藤原が了承して合図を出すので俺も了承してスキルの連携で王都の移動拠点へと送る。


「アイツも意外と大変なんだな。今は王子直属の諜報員だっけ?」

「そーそー。飯と寝床と給料で王子が雇ったんだと」

「紹介したのが俺らとはいえ、王子は良くあんな奴を雇ったよな…しかもなんかめっちゃ上手く使ってるし」


藤原の問いに俺が返すと柴田は王子を評価して褒めるような事を言う。




「…ん?もしもし?」

「あ、海原今大丈夫?」

「おう」


あのお兄さんが王都に戻って一時間ぐらいすると佐藤から電話がかかってきた。


「海原と藤原にお願いがあるんだけど…」

「俺と藤にお願い?」

「あ?俺にもなんかあんの?」

「夜遅くにごめんだけど、ちょっとトルツとかワウシャープに行きたいから送ってくれない?」

「なんか佐藤がトルツとか行きてーんだと」

「オッケーオッケー」

「オッケーだと」


佐藤からのお願いの内容を言うと藤原は軽く了承するので俺はソレを伝える。
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