クラスまるごと異世界転移

八神

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「じゃあこの一本あげる。サンプルって事で」

「!?い、いいのか!?」

「そりゃ買って後悔されてもアレだからね」


俺は最後の一本であるラフィ・マクシールの白の20年物を味見用としてテーブルの上に置いて空になったクーラーボックスを閉じる。


「で、では…!!」

「あ、でも俺から貰ったとか買ったってのは秘密にしといてよ。一応国交の問題が出てきたら面倒だし」

「分かった。口が裂けても、例え拷問されようとも墓まで持って行こう……っ!なんだ…?この、花畑のような…」


コルクを開けようとした王子に俺が口止めをすると真剣な顔で頷いた後にどこからかグラスを取り出し…


コルクを開けた後にワインを注いでテイスティングを始めると、王子は匂いを嗅いで驚愕したように目を見開く。


「食レポみたいなのはやめてくれ。長いし聞き飽きた」

「あ、ああ………す…素晴らしい…!なんたる味、なんたる香り…!こんなアイシェが…!」


俺が先に釘を刺すと王子は頷いた後に一口飲んで味わったかと思えばまたしても目を見開いて賞賛し始めた。


「で?確認はオッケー?」

「ああ!まさかこの世にこのような素晴らしいアイシェが存在したとは!まさに至高の味!誇張無しに噂通りの素晴らしいアイシェだ!」

「他には?『ド・ロゼリーシェ』とかは要らない?」

「ソコにあるアイシェ、全てを買い取ろう!いや、買わせて欲しい!」


俺の確認にハイテンションで応じる王子に最終確認をすると、テンションがハイになって判断力がおかしくなったのか王子は急に爆買いのように買い占め発言をし出す。


「まあいいけど…ってかもう一度言うけど、国交の問題があるから他の人には言うなよ?」

「ああ!大丈夫だ、分かっている!」

「…だといいんだけどさ…とりあえず料金は旗の代金から差し引くって事で良い?」

「うむ!このような素晴らしい取引、俺様もサービスせねば男が廃ると言うもの…この『聖域の旗』を割引して金貨30万枚で譲ろう!」


念のため再度釘を刺すもテンション上がり過ぎてキャラが微妙に変わっている王子を信用して良いのか迷うが、一応取引の話に持って行くと…


なんかやっぱり判断力が落ちているのか旗の値段をめっちゃ安くしてくれた。


「…まあ、そっちがソレで良いって言うんなら……はい」

「……うむ、確かに。いやー良き取引であった!」


俺がワインと金をテーブルの上に置くと王子は金額を数えた後に『聖域の旗』を差し出して部屋の外にいる兵を呼び、ワインを運ばせる。


「いやしかし流石と言うべきか…一体どのようにしてこのようなツテを?ウミハラ殿はまだ未成年であろう?」

「そりゃ…っと。ごめん、電話だ…もしもし?」


王子の感心したかのような感じでの問いに答えようとするとスマホに着信があったので俺は一言断ってから電話に出る。


「海原今どこ!?」

「どこって、モニクァだけど?」

「今すぐ戻って来れる?てかシュトッセンに直ぐ行ける?」

「シュトッセンって…帝国か?」

「帝国?何かあったのか?」


俺と佐藤の会話…というより俺の発言を聞いて王子が不思議そうに聞いてきた。
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