クラスまるごと異世界転移

八神

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「もはや馬では追いつけそうにもない速度だ」

「でもその代わりほぼ直線しか走れないからなぁ…しかもある程度綺麗な地面で街道に近い所じゃないとキツイ、ってのが欠点か」

「確かに。運用する前に道路を事前に調べて置かねば使えぬ、と言う点では馬の方が勝っているか…」

「しかも急に人が飛び出して来たら轢きかねないってのもちょっと…まあココは街道から少し離れてるし、こういう所に居る人ならあっちが避けるだろうからそういう心配は無いけど」


基本的にトラックの試作品を運用しているのはトルツだから俺らもあんまりトラックには乗った事が無いので…


実際にトラックに乗って、スピードが出た時の問題点とかを考えながら王子と話す。


「…しかし速いな。この速度ではチョモンまで一時間もかかるまい」

「ま、早く終わるならそれに越した事はないんじゃないの?」

「それもそうだ」


…車に乗ってる間はマジでやる事が無いので俺は王子と適当に世間話でもしながら時間を潰した。


「ん?もしもし?」

「あ、もしもし海原?今大丈夫?」


荷台に乗っている荷物を街で降ろしての帰り道で佐藤から電話が。


「一応は」

「今日の夜にみんなでナンホクナンに集まってパジャマパーティをやりたいんだけど…」

「みんなってのは俺らとか清水を含めてか?」

「もちろん。たこ焼きパーティーとか楽しそうじゃない?」


佐藤の用件に俺が確認すると認めた後に面白そうな提案をしてくる。


「…たこ焼きか…そういやココに来てからは食べてないな。でも鉄板とかあんのか?」

「うん。私が持ってる」

「んじゃ用意するのは材料だけってわけね…柴達は知ってんの?」

「多分斉藤さん達から聞いてると思う。海原だけ仕事に行ってるって聞いたから電話したんだけど」

「へー、オッケー。じゃあまた後でな」

「うん。よろしく」


俺の確認に佐藤は女子達で結構計画を進めてたかのような事を言うので俺は納得して電話を切った。


「…魔法による通信か?」

「いや、機械での通信…だね。俺らしか持ってないし、番号とか分からないと無意味だから仲間内だけの連絡手段ってとこかな」

「ほお…中々に興味深い」

「仕組み的にはギルドにある一日に一回しか使えないっていう連絡手段と同じって聞いたけど」

「…なるほど。アレの小型化か」


王子の問いに俺は一応携帯電話の事を軽く教えてからごまかすようにこの世界の技術を引き合いに出して答える。


「おっと、そろそろか…」

「往復で約二時間…積荷の積み下ろしを入れても二時間半といったところか」

「多分トルツの試作品よりは性能が上がってるんじゃない?」

「ああ、アレだと同じ距離で三時間はかかるだろう」


俺が景色を見ながら呟くと王子はトラックを減速させながら時間を予想するので、前のヤツと比較して聞くと賛同するように返した。


「まあ三時間でも馬車より大分早いか」

「積荷の量を考えても効率で言えば話にならんな」

「…とりあえず試運転は済んだし…仕事は終わりって事で良い?」

「ああ、報酬を準備させよう」


兵士達の誘導の下、倉庫に駐車した車から降りながら俺が聞くと王子は近くにいる兵に指示を出す。


「モーターはどんな感じ?」

「…熱による変形や摩耗は見受けられないですね」

「おー、回転数だけじゃなくて耐久力も上がってるんだ」

「ヒルミィ王子!お待ち致しました!」

「うむ、ご苦労。ではウミハラ殿、次もよろしく頼む」

「はいはい」


みんなで車の点検をしていると兵士達が報酬の入った袋を持って来るので俺はソレを受け取って帰宅した。
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