クラスまるごと異世界転移

八神

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「…おいおい、全然釣れねーぞ」

「っかしいな…撒き餌には食いついてたから魚はいるはずなのに…」



俺らは港の堤防で一時間ほど釣りをするも未だに針に引っかかった魚の数はゼロ。


そんな柴田の言葉に藤原は水面を見ながら首を傾げながら呟く。


「エサがマズイんじゃね?」

「んな事ねーだろ。多分魚にバレてんのかもしれんな」

「じゃあ釣り漫画みたい動かして誘いをかけるとか?…ってうおっ!」


俺が聞くと藤原は否定して原因を予想し、柴田が適当に竿を上下に揺らすと浮きが一気に沈んで釣竿がしなった。


「んだコレ!引き強くね!?」

「ちょっと貸せ!」


リールがカラカラ回って釣り糸がどんどん流れて行く中、藤原が柴田から竿を奪う。


「ぐっ…!なんだ、この引き…!」

「おいおい大丈夫かよ」

「もしかしてかなりの大物か?」


藤原は立ち上がって腰を入れるように重心を後ろに置いて竿を引っ張り、リールを回しながら呟くので…


俺が心配しながら言うと柴田は期待した様子で興奮しながら聞く。


「う、おお…!経験者の力…舐めるなよー!おらあ!」

「「あ」」


藤原が勢いよく釣竿を引っ張ると急に大きな魚が空中に現れ…藤原は必死に余ったリールを巻き取る。


「いった!海、網!」

「はいよ。藤、お前スキル使ったな?」

「釣れればなんだっていーんだよ!」


水面に浮かんできた魚を見ながら指示してくるので兵士に網で魚を掬わせながら聞くと藤原は開き直って返した。


「ソレ、もう釣りじゃなくねー?まあ大物だから別にいいけど」

「でけーな。鯛かなんかか?」

「多分鯛だな。大きさは70cmってトコか」


柴田は疑問に思いながら聞くも兵士が持ってる魚を見ながら話題を逸らし、藤原が手慣れたように針を外す。


「んじゃ今日は鯛飯とアラ汁と刺身だな」

「おー、美味そう。まだ昼前だけど晩飯が楽しみになってきたな」

「よし、一匹釣ったし帰るか」


俺が夕飯の献立を言うと柴田が喜び藤原はなぜか帰り支度をする。



…それから3日後。



の夜。というよりもはや深夜の時間帯。


「んあ……マジか…」


巡回中の兵が一人消えたので俺は目を覚まして頭を掻き、ベッドの横のサイドテーブルに置いてある小型の警報機のボタンを押して柴田と藤原…そして永江を起こす。


「…ふあ~…客か?」

「…今深夜2時だぜ…?」

「俺の兵がやられた。永江、敵を探してくれ」

『承知した』


眠そうに歩いて来る柴田に時計を見て呟く藤原とエントランスで合流してから俺は暗闇に強い永江に指示を出した。
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