207 / 556
207
しおりを挟む
「そりゃあ、英雄とか呼ばれてるぐらいだし?」
「…ここまでの力があればあらゆる所から引く手数多だろう?なのに何故彼はフリーなんだ?」
「さあね。偉くなると責任とかが出てくるから面倒なんじゃないの?」
「…全くもって惜しい事だ…俺にこの力があれば…」
「まあ正直あんたが持ってても意味無いと思うけど。今まで無名だった奴がなんで急に英雄と呼ばれるようになったのか…もうちょっと考えてみたら?」
歩いてる最中に王子が藤原のスキルの良い面しか見ていない勘違い発言をしてくるので、俺は少しイラッときてキツい言葉で返した。
「どうかしたのか?」
「別に。今のを本人が聞いたら怒るだろうな、と思ってね」
「…なるほど。次からは気をつけよう」
王子の問いに俺が不機嫌を隠さずに嫌味を言うとソレで察したのか反省したように言う。
「…とりあえずココらへんでいっか」
「完成された『魔法農法』ならば場所は問わないだろうな…」
町から少し歩いた場所にある平原地帯を見て俺が言うと王子は伸びきった草を見ながら呟く。
「範囲はどれくらいが良い?」
「そうだな…5ヘクタール分の穀物があれば余るほどに十分だと思う」
「500mって相当だな…まあいいか」
俺は魔導兵を60体召喚して雨を降らす部隊と土の柵を作る部隊、そして畑を耕す部隊に分けて魔法を詠唱させる。
「多分雨靴履いた方が良いよ。はい、傘」
「そうしよう。助かる」
魔法の力で空に雲がどんどん出来て集まってくるので俺は雨靴に履き替えながら王子にもう一つの雨靴と傘を差し出す。
「…しかし、こうも簡単に応用魔法が使える兵をどうやって集めたんだ?」
「そりゃ王子の部下に教わったからね。俺の兵は力が無い分頭が良いみたいだし」
「…ソレは答えになっていないと思うが…まあいい。コレだけ有能な兵を集める事が出来るのならば魔法農法を完成させたと言うのも頷ける」
土砂降りのように大量の雨が降り注ぐ中での王子の疑問に俺がそう返すも微妙な顔でツッコまれた後に納得された。
「…こりゃ20ヘクタール分ぐらいは雨降ったかな?」
5分経っても一向に勢いの弱まらない雨に俺はちょっと予想外だったのでポツリと呟く。
「雨が降らずに干ばつで苦しんでいる中での豪雨だ。領民からすれば恵みの雨だろうな」
「え?こっちしか降らせてないけど…町にも降らせた方が良かった?」
「天候の範囲の固定化まで成功しているのか!?まさに神の所業…出来るのならば、是非ともお願いしよう」
「はいよ」
王子の言葉に確認すると驚かれて頼まれたので俺は軽く返事して兵達に雨雲を動かすよう魔法を詠唱させた。
ーーーーーー
「……コレが我々の研究が行き着く先か…」
「いやー、便利だよね。魔法農法って」
5ヘクタール分の大量の小麦畑に同じ面積分の芋畑、そして10ヘクタール分の果樹園を見て王子が呟くので俺はその研究を褒める。
「…僅か一時間ほどでコレとはな…成功例を見ると俄然やる気が漲るものだ」
「今回は楽するために種芋とか挿し木を使ったから品質はまだ良い方だと思う…良かったね」
「…トルツ王国王位継承順第四位、イスマイル・シュタッツ・トルツより国民を代表し心より感謝申し上げます」
王子はやる気を出して喜んだかと思えばおもむろに地面に片膝を着くと頭を下げながら堅苦しくお礼を言い始めた。
「…ここまでの力があればあらゆる所から引く手数多だろう?なのに何故彼はフリーなんだ?」
「さあね。偉くなると責任とかが出てくるから面倒なんじゃないの?」
「…全くもって惜しい事だ…俺にこの力があれば…」
「まあ正直あんたが持ってても意味無いと思うけど。今まで無名だった奴がなんで急に英雄と呼ばれるようになったのか…もうちょっと考えてみたら?」
歩いてる最中に王子が藤原のスキルの良い面しか見ていない勘違い発言をしてくるので、俺は少しイラッときてキツい言葉で返した。
「どうかしたのか?」
「別に。今のを本人が聞いたら怒るだろうな、と思ってね」
「…なるほど。次からは気をつけよう」
王子の問いに俺が不機嫌を隠さずに嫌味を言うとソレで察したのか反省したように言う。
「…とりあえずココらへんでいっか」
「完成された『魔法農法』ならば場所は問わないだろうな…」
町から少し歩いた場所にある平原地帯を見て俺が言うと王子は伸びきった草を見ながら呟く。
「範囲はどれくらいが良い?」
「そうだな…5ヘクタール分の穀物があれば余るほどに十分だと思う」
「500mって相当だな…まあいいか」
俺は魔導兵を60体召喚して雨を降らす部隊と土の柵を作る部隊、そして畑を耕す部隊に分けて魔法を詠唱させる。
「多分雨靴履いた方が良いよ。はい、傘」
「そうしよう。助かる」
魔法の力で空に雲がどんどん出来て集まってくるので俺は雨靴に履き替えながら王子にもう一つの雨靴と傘を差し出す。
「…しかし、こうも簡単に応用魔法が使える兵をどうやって集めたんだ?」
「そりゃ王子の部下に教わったからね。俺の兵は力が無い分頭が良いみたいだし」
「…ソレは答えになっていないと思うが…まあいい。コレだけ有能な兵を集める事が出来るのならば魔法農法を完成させたと言うのも頷ける」
土砂降りのように大量の雨が降り注ぐ中での王子の疑問に俺がそう返すも微妙な顔でツッコまれた後に納得された。
「…こりゃ20ヘクタール分ぐらいは雨降ったかな?」
5分経っても一向に勢いの弱まらない雨に俺はちょっと予想外だったのでポツリと呟く。
「雨が降らずに干ばつで苦しんでいる中での豪雨だ。領民からすれば恵みの雨だろうな」
「え?こっちしか降らせてないけど…町にも降らせた方が良かった?」
「天候の範囲の固定化まで成功しているのか!?まさに神の所業…出来るのならば、是非ともお願いしよう」
「はいよ」
王子の言葉に確認すると驚かれて頼まれたので俺は軽く返事して兵達に雨雲を動かすよう魔法を詠唱させた。
ーーーーーー
「……コレが我々の研究が行き着く先か…」
「いやー、便利だよね。魔法農法って」
5ヘクタール分の大量の小麦畑に同じ面積分の芋畑、そして10ヘクタール分の果樹園を見て王子が呟くので俺はその研究を褒める。
「…僅か一時間ほどでコレとはな…成功例を見ると俄然やる気が漲るものだ」
「今回は楽するために種芋とか挿し木を使ったから品質はまだ良い方だと思う…良かったね」
「…トルツ王国王位継承順第四位、イスマイル・シュタッツ・トルツより国民を代表し心より感謝申し上げます」
王子はやる気を出して喜んだかと思えばおもむろに地面に片膝を着くと頭を下げながら堅苦しくお礼を言い始めた。
0
お気に入りに追加
331
あなたにおすすめの小説

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています


初めての異世界転生
藤井 サトル
ファンタジー
その日、幸村 大地(ゆきむら だいち)は女神に選ばれた。
女神とのやり取りの末、大地は女神の手によって異世界へと転生する。その身には女神にいくつもの能力を授かって。
まさにファンタジーの世界へ来た大地は聖女を始めにいろんな人に出会い、出会い金を稼いだり、稼いだ金が直ぐに消えたり、路上で寝たり、チート能力を振るったりと、たぶん楽しく世界を謳歌する。
このお話は【転生者】大地と【聖女】リリア。そこに女神成分をひとつまみが合わさった異世界騒動物語である。


うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~
小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ)
そこは、剣と魔法の世界だった。
2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。
新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・
気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる