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…その夜。
城でトルツの第四王子の歓迎パーティーが開かれいつも通り俺が手伝う代わりに…と、アイツらを招待する事に。
「…聖女ミヤマ様、お初お目にかかります。私は『イスマイル・シュタッツ・トルツ』と申します」
「え?あ、はあ……海君、この方は?」
「トルツの第四王子。周りにはイスマールとか呼ばれてたような気がする」
王子が深山に自己紹介をすると困惑したように俺に聞いてくるので簡単な説明をした。
「へー」
「ちなみにこの人研究者でな。かなり凄い人よ?」
「…トルツ…?…あー!コイツか!あの『魔法農法』の!」
「マジで!?ガチの偉人じゃん!」
俺の補足に柴田が王子を指差して驚き、藤原もソレを聞いて驚いたように王子を見る。
「…あなた方は?」
「俺は柴田。深山や海の友達ってとこかな」
「俺ぁ藤原。柴に同じ」
「…シバタ、フジワラ……!まさか『英雄シバタ』と『英雄フジワラ』殿か!君達が、あの…生ける伝説と呼ばれている…!」
不快さも不機嫌さもなく不思議そうに尋ねた王子に柴田と藤原が自己紹介をすると何かを思い出したかのように驚愕した。
「…なんかおめーらの評判どんどんヤバくなってね?」
「みたいだな。別に特に何をしたわけでもねーのに」
「伝説とか言われっとまーた功名目当てのアホ共に絡まれるから正直やめて欲しいんだけどな」
俺がなんとも言えない顔で聞くと藤原も同じ顔で返し、柴田はうんざりしたような呆れた感じで言う。
「…聖女様。実は折り入ってお願いがあるのですが…」
「お願い、ですか?私に出来る事なら」
「我が国の王…父上の体調が数年前から思わしくなく、つい先日補佐をしていた第一王子である兄上も病にかかり倒れてしまったようなのです」
「それは…大変ですね。助けてあげたい気持ちはあるのですが…」
イスマール王子の言葉を聞いて深山は心配そうに言うもどうにも出来ないような感じで呟く。
「もし…もし都合がつくようであれば何卒我が国に来訪してはもらえないでしょうか!もちろんお礼の方は十分に用意させてもらいます!」
「…えーと…」
「どうする?王子を送りに行く時に一緒に行くか?」
床に両膝を着いて必死になって頼み始める王子に深山が困ったように俺を見るので軽く確認する。
「大丈夫なの?」
「トルツにも家はあるからな。ちょうど良いし終わったらみんなで観光にでも行くか?」
「うん!じゃあサリーとスミーにも教えてくるね!」
「ウミハラ殿…!」
「タイミングが良かったね。ちょうどこの前家を貰ったばっかだから…ギルバート王子に感謝した方が良いかもよ?」
俺が深山を説得すると王子が感激したような目を向けて来るので面倒な事にならないように第一王子の方にも恩を感じるよう仕向けた。
「ああ…ああ!」
「…んだ?どっか行くのか?」
「なんか観光っつってなかったか?」
王子は同意しながら立ち上がってどっかに歩いて行き、ソレを見送った柴田と藤原がメシを食いながら話半分で聞いてたような事を言って確認してくる。
城でトルツの第四王子の歓迎パーティーが開かれいつも通り俺が手伝う代わりに…と、アイツらを招待する事に。
「…聖女ミヤマ様、お初お目にかかります。私は『イスマイル・シュタッツ・トルツ』と申します」
「え?あ、はあ……海君、この方は?」
「トルツの第四王子。周りにはイスマールとか呼ばれてたような気がする」
王子が深山に自己紹介をすると困惑したように俺に聞いてくるので簡単な説明をした。
「へー」
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「…トルツ…?…あー!コイツか!あの『魔法農法』の!」
「マジで!?ガチの偉人じゃん!」
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「…あなた方は?」
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不快さも不機嫌さもなく不思議そうに尋ねた王子に柴田と藤原が自己紹介をすると何かを思い出したかのように驚愕した。
「…なんかおめーらの評判どんどんヤバくなってね?」
「みたいだな。別に特に何をしたわけでもねーのに」
「伝説とか言われっとまーた功名目当てのアホ共に絡まれるから正直やめて欲しいんだけどな」
俺がなんとも言えない顔で聞くと藤原も同じ顔で返し、柴田はうんざりしたような呆れた感じで言う。
「…聖女様。実は折り入ってお願いがあるのですが…」
「お願い、ですか?私に出来る事なら」
「我が国の王…父上の体調が数年前から思わしくなく、つい先日補佐をしていた第一王子である兄上も病にかかり倒れてしまったようなのです」
「それは…大変ですね。助けてあげたい気持ちはあるのですが…」
イスマール王子の言葉を聞いて深山は心配そうに言うもどうにも出来ないような感じで呟く。
「もし…もし都合がつくようであれば何卒我が国に来訪してはもらえないでしょうか!もちろんお礼の方は十分に用意させてもらいます!」
「…えーと…」
「どうする?王子を送りに行く時に一緒に行くか?」
床に両膝を着いて必死になって頼み始める王子に深山が困ったように俺を見るので軽く確認する。
「大丈夫なの?」
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「うん!じゃあサリーとスミーにも教えてくるね!」
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「タイミングが良かったね。ちょうどこの前家を貰ったばっかだから…ギルバート王子に感謝した方が良いかもよ?」
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「ああ…ああ!」
「…んだ?どっか行くのか?」
「なんか観光っつってなかったか?」
王子は同意しながら立ち上がってどっかに歩いて行き、ソレを見送った柴田と藤原がメシを食いながら話半分で聞いてたような事を言って確認してくる。
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