クラスまるごと異世界転移

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「…そうですね……シェフとウミハラ殿は前からの知り合い…？熟成に40年…しかし…熟成を早める方法が…？いや…でも…年齢が…」


王妃は意地悪な問題にもかかわらず真面目に真剣に考えながら呟く。


「……5年。ありえない事ですが、今ある情報から導き出される答えは5年以外ありません」

「ほう？根拠は兄ちゃんの年齢か？」

「ええ。最初に飲んだアイシェは5年物でした、ならばソレ以降は斬新で革新的な方法を確立できたと考えるのが妥当な線だと思いますが…どうでしょう？答えは？」

「なるほどな。素晴らしい推理だ…兄ちゃん、答えを」


王妃の答えと考えを聞いた料理長は驚いたように納得して急に俺に話を振る。


「えー。俺が言うの？」

「そりゃ実際に作った開発者の口から言うのが筋ってもんだろ」

「そんなもんか？まあ作り始めたのは昨日だよ」

「……え？」


俺の不満に料理長が笑って返すので呆れながら答えを言うと王妃は理解出来てないような反応をした。


「今から言う事にカケラも嘘はねぇ。兄ちゃんにアイシェの作り方を教えたのは俺…つまりは王妃がテイスティングしたアイシェ全てが24時間以内に作られた物だ」

「…は、ははは…そんな…そんな事を言われたら、もう笑うことしか…はは」


料理長がちゃんと説明すると王妃はキャパオーバーしたのか乾いた笑い方をする。


「ま、そうなるよな」

「とりあえず料理長と王妃が凄い事は分かったし、戻ろうか」

「おう」

「…お待ち下さい」


グラスや小瓶をテーブルの上から回収して保管庫に戻ろうとしたら王妃に呼び止められた。


「私に現場を見せてくれませんこと？」

「無理。ワインセラーなら良いけど」

「ワインセラー？」

「アイシェの貯蔵庫の事だ。兄ちゃんの所ではセラーと呼ぶらしい」

「…なるほど。ではそのセラーに連れて行ってくれませんか？」

「別に良いよ」


王妃の要求に俺は危ないから却下すると内容を変えて来たので軽く了承して三人で一緒に保管庫まで移動する。


「…ココ。隣の部屋で作ってるけど、危ないから勝手に入らないようにね」

「危ないとは？」

「部屋の中の気圧や磁場とかを色々弄って熟成期間を短縮させる実験をしてるから、勝手に入ると多分倒れるはず」


厨房を通って地下の保管庫の前で俺が注意すると王妃が不思議そうに聞いて来るので理解出来るかはさておき、一応説明した。


「…そんな方法が…！」

「でもこのセラーには勝手に入っても大丈夫。温度を下げてるだけだし」

「ははっ、ドアに『危険』というプレートがかかってんだ…勝手に入るバカはこの城にはいねぇだろ」


驚く王妃にセラーとして使ってる保管庫のドアを開けながら言うと料理長が笑いながら心配無用的な事を言い出す。