185 / 556
185
しおりを挟む
「…この置き方は…分かりました」
王妃はテーブルの上に並べられたグラスと小瓶の配置を見て何かを察したように得意げに笑う。
「では王妃。右側の手前からテイスティングを」
「ふふっ…みくびらないで下さる?」
料理長の言葉に王妃は笑いながら言うと小瓶を開けて中身を少量グラスの中に入れた。
「…コレは…トルシャル…?…でも…5年物かしら。…こちらはトルシャルの10年物ね。…こちらもトルシャル?コレは…30年物でしょうね」
俺には良く分からないが王妃は香りと味で判断して銘柄を予想していく。
「…!コレは…ラフィロゼーシャ!?それも20年物の…!」
4本目のワインの匂いを嗅いだ時点で王妃は驚いたような反応をして少し飲んだ後に料理長を見る。
が、料理長は笑ったまま肩をすくめて何も言わない。
「…!!こちらの赤アイシェもラフィロゼーシャ…!それも、コレは幻の40年物…!?」
「さすが、全問正解だ。体調の悪化の影響は微塵も無いようだな」
「ふふっ、最初に言ったでしょう?『みくびらないで』と」
「へー。やっぱ通ともなると少し飲むだけでも分かるんだ…すげー」
やっぱり俺には良く分からんまま王妃が全部言い当てたらしいので感心して呟いた。
「だが残念な事に全てハズレだ」
「…どういうこと?」
意地悪そうに笑った料理長の指摘に王妃は笑顔を消して少し不機嫌そうに聞く。
「最初の三本、トルシャルと予想していたが答えはハズレ。コレは兄ちゃんがアイシェの知識がゼロの状態で作った試作品だからな」
「…なるほど。自作…」
「しかし、数あるアイシェの中から似ている銘柄を選んだ判断は俺と同じ。そしてこの問題の意図は熟成期間…つまり問題としては正解だ」
「意地悪な問題ですこと」
料理長の答え合わせに流石の王妃も苦笑いしながら言う。
「そしてこのラフィロゼーシャ。実はコレも俺と兄ちゃんで作った物で、正確には同じ味の偽物だ」
「…え…?」
「この赤の40年物も同様。俺たちの自作で味が同じなだけの偽物だ…しかし、銘柄は違えど味は同じ。つまりは問題としては正解でな」
「……流石はシェフ。アイシェ作りまで一流とは…!」
料理長がネタバラシをすると王妃は驚いた後に尊敬するかのような目を向けながら褒める。
「…さて、次の問題だ。このアイシェを作った期間はどのくらいだと思う?」
料理長は俺を見ながら複雑そうな苦笑いみたいな笑い方をした後に気を取り直したように更に意地悪な問題を出す。
王妃はテーブルの上に並べられたグラスと小瓶の配置を見て何かを察したように得意げに笑う。
「では王妃。右側の手前からテイスティングを」
「ふふっ…みくびらないで下さる?」
料理長の言葉に王妃は笑いながら言うと小瓶を開けて中身を少量グラスの中に入れた。
「…コレは…トルシャル…?…でも…5年物かしら。…こちらはトルシャルの10年物ね。…こちらもトルシャル?コレは…30年物でしょうね」
俺には良く分からないが王妃は香りと味で判断して銘柄を予想していく。
「…!コレは…ラフィロゼーシャ!?それも20年物の…!」
4本目のワインの匂いを嗅いだ時点で王妃は驚いたような反応をして少し飲んだ後に料理長を見る。
が、料理長は笑ったまま肩をすくめて何も言わない。
「…!!こちらの赤アイシェもラフィロゼーシャ…!それも、コレは幻の40年物…!?」
「さすが、全問正解だ。体調の悪化の影響は微塵も無いようだな」
「ふふっ、最初に言ったでしょう?『みくびらないで』と」
「へー。やっぱ通ともなると少し飲むだけでも分かるんだ…すげー」
やっぱり俺には良く分からんまま王妃が全部言い当てたらしいので感心して呟いた。
「だが残念な事に全てハズレだ」
「…どういうこと?」
意地悪そうに笑った料理長の指摘に王妃は笑顔を消して少し不機嫌そうに聞く。
「最初の三本、トルシャルと予想していたが答えはハズレ。コレは兄ちゃんがアイシェの知識がゼロの状態で作った試作品だからな」
「…なるほど。自作…」
「しかし、数あるアイシェの中から似ている銘柄を選んだ判断は俺と同じ。そしてこの問題の意図は熟成期間…つまり問題としては正解だ」
「意地悪な問題ですこと」
料理長の答え合わせに流石の王妃も苦笑いしながら言う。
「そしてこのラフィロゼーシャ。実はコレも俺と兄ちゃんで作った物で、正確には同じ味の偽物だ」
「…え…?」
「この赤の40年物も同様。俺たちの自作で味が同じなだけの偽物だ…しかし、銘柄は違えど味は同じ。つまりは問題としては正解でな」
「……流石はシェフ。アイシェ作りまで一流とは…!」
料理長がネタバラシをすると王妃は驚いた後に尊敬するかのような目を向けながら褒める。
「…さて、次の問題だ。このアイシェを作った期間はどのくらいだと思う?」
料理長は俺を見ながら複雑そうな苦笑いみたいな笑い方をした後に気を取り直したように更に意地悪な問題を出す。
0
お気に入りに追加
321
あなたにおすすめの小説
金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!
夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!!
国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。
幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。
彼はもう限界だったのだ。
「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」
そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。
その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。
その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。
かのように思われた。
「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」
勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。
本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!!
基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。
異世界版の光源氏のようなストーリーです!
……やっぱりちょっと違います笑
また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
元勇者で神に近い存在になった男、勇者パーティに混じって魔王討伐参加してたら追い出されました。
明石 清志郎
ファンタジー
昔とある世界で勇者として召喚され、神に近い存在になった男ジン。
新人研修の一環として同胞の先輩から、適当に世界を一つ選んでどんな方法でもいいから救えと言われ、自分の昔行った異世界とは別の世界を選び、勇者四人の選定も行った。
自分もそこで勇者として潜入し、能力を隠しつつ、勇者達にアドバイスなんかを行い後方支援を行い、勇者を育てながら魔王討伐の旅にでていた。
だがある日の事だ。
「お前うるさいし、全然使えないからクビで」
「前に出ないくせに、いちいちうぜぇ」
等と言われ、ショックと同時にムカつきを覚えた。
俺は何をミスった……上手くいってる思ったのは勘違いだったのか……
そんな想いを抱き決別を決意。
だったらこいつらは捨ててるわ。
旅に出て仲間を見つけることを決意。
魔王討伐?一瞬でできるわ。
欲しかった仲間との真の絆を掴む為にまだよく知らない異世界を旅することに。
勇者?そんな奴知らんな。
美女を仲間にして異世界を旅する話です。気が向いたら魔王も倒すし、勇者も報復します。
料理人がいく!
八神
ファンタジー
ある世界に天才料理人がいた。
↓
神にその腕を認められる。
↓
なんやかんや異世界に飛ばされた。
↓
ソコはレベルやステータスがあり、HPやMPが見える世界。
↓
ソコの食材を使った料理を極めんとする事10年。
↓
主人公の住んでる山が戦場になる。
↓
物語が始まった。
元勇者パーティの料理人〜追放されたけど料理スキルがカンストしている俺は王都1を目指して料理店始めます〜
月乃始
ファンタジー
「ロイズ、すまんが抜けてくれ」
魔王討伐から数ヶ月が経った朝、勇者ボイドから衝撃の言葉を伝えられる。
「資金不足なの」
勇者パーティに唯一残っている魔法使いのラナから現実を突きつけられて、たかが料理人、戦闘用員でもない俺ロイズは、名高い勇者パーティを追放された。
「これからどうするか」
数年ぶりに戻ってきた王都はなにやら活気がない。
スリや犯罪も横行している。
記憶とあまりに違う王都に困惑しながらも、不思議な声に導かれ、日銭を稼ぐため一から冒険者になることに。
冒険者登録をしに行ったギルドで今の王都がどれだけ酷い状況なのかを知る。
『街の料理店には料理人がいないから回復もバフも貰えず元気がない』
『誰もが料理人を求めている』
昔から要らないと言われ続けた料理人が今はこんなに必要とされていたなんて…
ギルドで出会った謎の酒女ドラカから自分の料理店を経営すること、そして王都で1番の料理人になることを条件に、衣食住の保証はしてもらえることに。
何だかんだ好きなことで平和に暮らせるならいいか。
なんて軽く考えていたら……。
え?まさかのお客さまだらけで本当に大丈夫か?
★ドタバタほのぼの飯テロファンタジー★
※第16回ファンタジー大賞参加中
応援よろしくお願いします!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
とあるオタが勇者召喚に巻き込まれた件~イレギュラーバグチートスキルで異世界漫遊~
剣伎 竜星
ファンタジー
仕事の修羅場を乗り越えて、徹夜明けもなんのその、年2回ある有○の戦場を駆けた夏。長期休暇を取得し、自宅に引きこもって戦利品を堪能すべく、帰宅の途上で食材を購入して後はただ帰るだけだった。しかし、学生4人組とすれ違ったと思ったら、俺はスマホの電波が届かない中世ヨーロッパと思しき建築物の複雑な幾何学模様の上にいた。学生4人組とともに。やってきた召喚者と思しき王女様達の魔族侵略の話を聞いて、俺は察した。これあかん系異世界勇者召喚だと。しかも、どうやら肝心の勇者は学生4人組みの方で俺は巻き込まれた一般人らしい。【鑑定】や【空間収納】といった鉄板スキルを保有して、とんでもないバグと思えるチートスキルいるが、違うらしい。そして、安定の「元の世界に帰る方法」は不明→絶望的な難易度。勇者系の称号がないとわかると王女達は掌返しをして俺を奴隷扱いするのは必至。1人を除いて学生共も俺を馬鹿にしだしたので俺は迷惑料を(強制的に)もらって早々に国を脱出し、この異世界をチートスキルを駆使して漫遊することにした。※10話前後までスタート地点の王城での話になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる