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「…こりゃあ驚いた…しっかりアイシェになってやがる…」
料理長はワインを一口飲んだ後に信じられないかのように呟く。
「おっ。マジで?」
「ああ。それも5年ほど熟成させたような味だ」
「へー、じゃあだいたい一時間で一年半ぐらいか。もっといけそうだな」
「…一体どうやってこの短時間であのブドウジュースをこんなワインに仕上げたんだ?」
料理長の感想に俺が考えながら返すと不思議そうに聞いてくる。
「ん?ああ、それは…」
俺は料理長にトルツの魔法農法や魔法を使った研究の事を話す事にした。
ーーーーーー
「なんてこった…そんなことが…!」
「ま、信じる信じないは任せるけど」
「だったらこんなことをしてる場合じゃねぇ!兄ちゃん、是非俺にもそのアイシェ作りを協力させてくれ!」
料理長の呟きに俺が投げやりに返したら、なんか知らんがワイン作りに協力してくれるらしい。
「マジで?」
「ああ!こいつぁアイシェ通としても料理人としても見逃せねぇイベントだ!」
「まあ俺はめっちゃありがたいけど、多分時間かかるよ?」
「構わねぇ。厨房は若い者に任せる、いつまでも俺に頼りっきりじゃ一人前にはなれねぇからな」
「…いや、せめて待ち時間の時ぐらいは厨房に顔出してくれ」
流石にいきなり料理長が居なくなると料理のレベルが下がってしまうので王様達の事を思って俺は呆れたように返した。
「環境は兄ちゃんの兵で用意できる…ならば最初にやる事は一つ。素材の選別だ」
「あー、確かに」
「王都の市場はデカイ。上等なブドウも揃ってるはずだ」
さっそく行くぞ!と料理長はテンション高めで部屋を出ると廊下を走って厨房へと戻って行く。
「…隣の空き部屋はワインセラーにする。実験は続行で」
俺は10体の魔導兵と5体の兵に指示を出してからのんびりと料理長を追いかけた。
…そして市場で料理長と共にワイン用のブドウを買い、保管庫に戻ると直ぐにブドウジュースを作って発酵させ、タルへと詰め込んで魔法で熟成をさせる。
…それから城に泊まっての翌日。
「…さて。どんなものか…」
保管庫の隣の部屋に置いてあるタルの前で料理長は唾を飲み込んで蛇口をひねり中の液体をワイングラスに注ぐ。
「…!コレは…!この上品な香り、なめらかな舌触り…そしてこの上質な味…!完璧だ!コレぞまさにラフィロゼーシャの20年物!」
「なにそれ?」
「1本で金貨3000枚はくだらないと言われている高級白アイシェだ。水みたいにサラッと飲める軽さで一番人気が高い」
「へー」
「そしてラフィロゼーシャの赤。それも40年物…コレは俺も一度しか飲んだ事はないが…」
料理長はたかがワインにめっちゃテンションが高く興奮しながら他のタルの中身も試飲していく。
料理長はワインを一口飲んだ後に信じられないかのように呟く。
「おっ。マジで?」
「ああ。それも5年ほど熟成させたような味だ」
「へー、じゃあだいたい一時間で一年半ぐらいか。もっといけそうだな」
「…一体どうやってこの短時間であのブドウジュースをこんなワインに仕上げたんだ?」
料理長の感想に俺が考えながら返すと不思議そうに聞いてくる。
「ん?ああ、それは…」
俺は料理長にトルツの魔法農法や魔法を使った研究の事を話す事にした。
ーーーーーー
「なんてこった…そんなことが…!」
「ま、信じる信じないは任せるけど」
「だったらこんなことをしてる場合じゃねぇ!兄ちゃん、是非俺にもそのアイシェ作りを協力させてくれ!」
料理長の呟きに俺が投げやりに返したら、なんか知らんがワイン作りに協力してくれるらしい。
「マジで?」
「ああ!こいつぁアイシェ通としても料理人としても見逃せねぇイベントだ!」
「まあ俺はめっちゃありがたいけど、多分時間かかるよ?」
「構わねぇ。厨房は若い者に任せる、いつまでも俺に頼りっきりじゃ一人前にはなれねぇからな」
「…いや、せめて待ち時間の時ぐらいは厨房に顔出してくれ」
流石にいきなり料理長が居なくなると料理のレベルが下がってしまうので王様達の事を思って俺は呆れたように返した。
「環境は兄ちゃんの兵で用意できる…ならば最初にやる事は一つ。素材の選別だ」
「あー、確かに」
「王都の市場はデカイ。上等なブドウも揃ってるはずだ」
さっそく行くぞ!と料理長はテンション高めで部屋を出ると廊下を走って厨房へと戻って行く。
「…隣の空き部屋はワインセラーにする。実験は続行で」
俺は10体の魔導兵と5体の兵に指示を出してからのんびりと料理長を追いかけた。
…そして市場で料理長と共にワイン用のブドウを買い、保管庫に戻ると直ぐにブドウジュースを作って発酵させ、タルへと詰め込んで魔法で熟成をさせる。
…それから城に泊まっての翌日。
「…さて。どんなものか…」
保管庫の隣の部屋に置いてあるタルの前で料理長は唾を飲み込んで蛇口をひねり中の液体をワイングラスに注ぐ。
「…!コレは…!この上品な香り、なめらかな舌触り…そしてこの上質な味…!完璧だ!コレぞまさにラフィロゼーシャの20年物!」
「なにそれ?」
「1本で金貨3000枚はくだらないと言われている高級白アイシェだ。水みたいにサラッと飲める軽さで一番人気が高い」
「へー」
「そしてラフィロゼーシャの赤。それも40年物…コレは俺も一度しか飲んだ事はないが…」
料理長はたかがワインにめっちゃテンションが高く興奮しながら他のタルの中身も試飲していく。
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