クラスまるごと異世界転移

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「やっぱり果物で果樹園の鉄板っつったらリンゴ、オレンジ、桃あたりだろ」

「あー…でもなんかありきたりじゃない？」

「いやいや、おめー初心者なんだから最初は手堅くいけや。コッチが上手く行ってから次んとこで挑戦すりゃあ良いだろーが」

「そう？」

「お嬢様、私もウミハラ殿の意見に賛同致します。先ずは成功を体験し、そこから色んな経験を積み重ねて成長していくのがよろしいかと」


悩む佐藤に俺が選択肢を挙げるもアホみたいな事を言うので呆れながらアドバイスをすると執事のおじさんも全面的に同意する。


「…確かに」

「じゃあほら看板」

「…ココにリンゴ、あっちに桃。残った最後の畑にオレンジ…っと」


納得した佐藤に看板を渡すと位置を決めながら名称を書いて行くので俺は兵に看板を設置させた。


「海原、どれくらいかかりそう？」

「大根と小麦はまあ一時間ぐらいかな。果物も収穫するだけなら同じ時間ぐらいだろ」

「…一時間って…この前と同じく魔法を使うんだろうけど、ホントにそんな短時間で出来る？」

「あくまで目安だろ？『一時間以内に終わらせ』っつーんなら報酬を1.5倍にしてもらわないとな」


佐藤の問いに予想で返すとなんとも言えない顔で疑うように聞いてくるので俺は確認した後に賃金交渉をする。


「…いや、別に数日とか一週間でもとてつもなく早いから特に時間指定はしないけど…ってか15万払えば一時間で終わるの？」

「終わらすだけなら、な。品質についてはまた金次第よ」

「うーわ、出た。詐欺っぽいけど詐欺じゃない騙し案件」


俺が魔導兵を大量に召喚して作業を開始すると佐藤が交渉を拒否して尋ねてくるのでそう答えると嫌そうな顔で返す。


「騙してもねぇだろ。気を利かせて欲しいならそれなりの誠意を金に変えて報酬に色をつけるとかするべきじゃね？」

「守銭奴じゃん」

「失礼な。世の中ギブアンドテイクだろーが。俺が気を利かせた分お前はなんか気を利かせてくれんのかよ？」

「…む」

「ま、そこら辺は婚約者の王子から学んだ方が良いぜ。人間社会では金を出し渋るケチな奴より気前の良い奴の方が色々と得をするからな」


俺はこの世界での経験談を説教のように佐藤に話しながらアドバイスをした。


「…ホントに～？大盤振る舞いしてたら直ぐに金欠にならない？」

「ソコのバランス感覚を学べっつってんだよ。考えなしで誰彼構わず大盤振る舞いしてたらそりゃ金がいくらあっても足りねーわ」

「むう…」

「でもおめーみてーにケチくさく節制して金を貯めるのは良い事だぜ？普通の庶民なら、な」


金は命の次の次ぐらいに大事だし…と、俺はこの前の事を思い出して一応佐藤の考えが間違っていない事を伝えつつフォローする。


「命の次の次って…優先順位低くない？」

「あくまで俺の中の価値観では、だからな。柴とか藤なら『金は命より重い』とか言うんじゃね？」

「…うーん…」


佐藤の疑問に柴田や藤原を例に挙げて説明するも納得してないかのように呟く。


「夢や目標、目的があってソレに大金が必要なら必然的に優先順位は上がんだろ。今んとこ俺はただ食うに困らなければソレだけで良いし」

「あー…なるほどね。じゃあ命の次に大事なのってなに？」

「そりゃ人間関係よ。衣食住の世話をしてくれる友達ができれば金なんか要らなくね？」

「…それじゃただのヒモじゃん」


俺が自分の考えを話すと佐藤がツッコミを入れるように返してきた。