クラスまるごと異世界転移

八神

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「ま、とりあえずコレで終わりだな」

「え?…あ」


指定された畑は魔導兵の魔法で全て耕し終えたので俺がそう言うと佐藤は今気づいたかのように均された畑を見る。


「…早くない?だってまだ30分も経ってないじゃん」

「そりゃ魔法を使ったからな。どっかの国の研究に感謝するこった」


時計を取り出した佐藤が驚きながら聞いてくるので俺は今まで話題に挙がっていた国に功績を押し付けた。


「そだね。王都に帰ったら調べてお礼の品でも送っとく」

「んじゃ、コレで仕事は終わりだな」

「うん、ありがと。あとは種を蒔いて水撒きして育つのを気長に待つ!」


俺が依頼の達成を確認すると佐藤はお礼を言って予定を立て始める。


「お嬢様。失礼ながら…ここら一帯の土地は塩害により不毛の地と呼ばれておりまして…」

「大丈夫大丈夫。ある程度塩分があった方が美味しい物が育つって」


今まで影のように黙って存在感を消していた執事のおじさんも流石にコレは黙ってられなかったのか、困った様子で佐藤に教えるもポジティブに解釈された。


「…佐藤おめーもしかして理科苦手じゃね?」

「え?全然苦手じゃないけど?なんで?」

「嘘つけ!塩害について知らねーとかお前流石にソレはやべーだろ」

「つーか海がせっかく耕したのに塩漬けの土とか無駄な労力じゃねーか!」


俺の問いに佐藤が素で否定すると柴田と藤原がツッコむ。


「塩漬け……あっ!塩害って塩の事だったの!?えっ?ウソでしょ!?」

「「「ええー…」」」


今土地の問題点に気づいて慌て始める佐藤に俺らは言葉が出ずにヒいた。


「干ばつとか土が固いとかそんな問題だと思ってたのに…」

「いや、今更勘違いって無理があるだろ」

「さっき思いっきり『塩分がある方が育つ』とか言ってたしな」

「う…そうだよ!土壌の塩の影響は今指摘されるまで忘れてました!これでいい!?」


なんとかごまかそうとする佐藤に俺と藤原がツッコむと何故か逆ギレされる。


「ちょっと待ってよ…じゃあせっかく耕したのに全部無駄だった、ってこと…?お金の無駄使い…?」

「耕したのは俺だけどな」

「「確かに」」


佐藤の絶望したような呟きに俺が雰囲気を明るくしようとツッコむと柴田と藤原も察してか俺の言葉に頷く。


「う…手間かけてゴメン。一応お金は払うから…次もお願い」

「そんな落ち込むなよ。追加報酬を払えばなんとか出来るぜ?」

「「「え?」」」


うなだれながらしおらしく謝ってきた佐藤に俺がそう返すと柴田と藤原も一緒に驚いた。
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