クラスまるごと異世界転移

八神

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「そのどっかの国の王子が王都に来てた時に依頼で研究を手伝わされてな」

「あー、なるほどね。一気に納得できたわ」

「そういやおめー雑用の依頼は全部受けてたしな…」

「ってか魔法でこんな事出来るんだったらみんなやらない?なんで実用化とか普及してないの?」


俺の発言に柴田と藤原が納得して冷静になると佐藤が疑問を聞いてくる。


「人材が居ないんだと」

「なんで?魔法使える人なんて冒険者とかならそこら中に掃いて捨てるほど居るでしょ?」

「『掃いて捨てるほど』て…捨て駒扱いかよ」


別の畑に移動しながら返すと佐藤は更に疑問を聞いて来てその表現に藤原が呆れたように軽くツッコむ。


「揚げ足取らないでよ」

「へーへー、すいませんね」


佐藤が不機嫌そうに言うと藤原はふざけたように謝った。


「で、なんで?」

「えーと…ああ。戦闘用の魔法だと威力や出力が高すぎてそういうのには向かないんだと…あと生活に使えるように調整とか制御できんのは『応用魔法』って呼ばれてて難易度が高いらしいな」


佐藤の疑問に俺は兵から紙を受け取り、この前に講義のように聞いた事が書かれてるのをそのまま読み上げる。


「えー…そうは思えないけどなー」

「いやでも海の言う通りじゃね?普通の魔法で出来んのならこの方法が一般化しててもおかしくないだろ」

「あー…そっか。確かに」


俺の説明に納得できないような佐藤も藤原のフォローで理解出来たのか納得出来たように呟いた。


「じゃあなんでその応用魔法?ってのを使える人が少ないの?」


難易度が高いにしてもこんな便利だったらみんなやりそうなものじゃない?と、佐藤は新たな疑問を聞いてくる。


「簡単だろ。金が稼げねーからだよ」

「…だな。魔法使える奴がみんな冒険者になるってのはそーいう事だろーし」

「あのどっかの国は国が人材育成のために補助金を出してるみたいだけど『金の無駄使いだ』的な批判とかがすげーみてーだしな」

「そうなんだ…こんなに便利なのに」


俺と柴田の言葉に佐藤は魔法で均された4つ目の畑を見ながら納得いかないように呟く。


「…ねえ、もしこの国から補助金を出して人材育成したらその応用魔法とかを使える人は増えると思う?」

「どーだかな…現状ではやっぱり魔法使えたら冒険者で魔獣退治してた方が稼ぎは良いから難しいんじゃね?あの国みたいに絶対批判されるだろーし」


佐藤の質問に俺はどっかの国の王子が言ってた事を思い出しながら答えた。


「批判されるかな?」

「されるだろ。『そんな金があるなら冒険者を支援して安全を確保しろ』って一般人にキレられる、って聞いたぜ?」


佐藤がふてくされたような顔で聞くので俺は断言してどっかの国の王子の体験談を話す。


「あー…まあ食べ物も大事だけど目先の安全が一番大事だよな…」

「…農業なんてわざわざ魔法でやらなくても出来るわけだしな」


その発言を聞いた柴田と藤原もなんともいえない微妙な顔で同意する。
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