クラスまるごと異世界転移

八神

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「大丈夫大丈夫。おい永江、牙か爪を寄越せ」

「ちゃんと後で深山に治して貰えよ」

『分かった。だが袋を用意した方が良い』

「蛇の毒か?おらよ」


柴田は佐藤とは全く違う対応で上から目線で永江に命令するので俺が一応フォローして小袋を用意した。


「へー、その子永江って言うんだ。モデルみたいじゃん」

「まあコイツが黒幕のエキドナなんだけどな…藤、ほれ」

「おっ…と。海ナイス」


身長175cmでモデル体型の永江を見ながら褒める佐藤に俺は正体を告げてから『蛇神の牙』というアイテムが入った小袋を藤原に投げて渡す。


「え。…ちょっと待って、海原今なんて?」

「コイツが蛇神よ。昨日ちょうど倒してな」

「えー!嘘でしょ!?」

「うるせっ!…おい」

「もがっ!?もごご…!」


佐藤の確認に柴田が返すと急に叫ぶので俺は兵に指示して佐藤の口を塞がせる。


「おーい海、報酬貰ったぜ」

「んじゃ一旦帰るか。佐藤にも話しとかんといけんし」

「むがー!もごー!」

「佐藤少しは落ち着けよー」

「ぷはっ!落ち着けるわけないでしょ!」


藤原が戻って来るので暴れる佐藤を兵に運ばせてギルドを出ると柴田が宥めるようにそう言うも佐藤は無理やり拘束を逃れ興奮した様子で叫ぶ。


とりあえず俺らは帰り道で色々と説明して家に着いてからも説明を続けた。


「…話はだいたい分かったけど…それで報酬受け取るのってズルくない?」

「どこが?俺はちゃんと依頼書を確認してから受けたし、条件を達成してたから報告したじゃん?納得して報酬をくれたのは受付嬢だぜ?」


佐藤の納得いかないような問いに藤原はルール違反が無い事を説明する。


「それは、そうだけど…」

「一応討伐扱いになってっからその後は俺らの自由だろ」

「だから!それは分かってるって!でもそんなの納得できるわけないじゃん!『元凶を倒して』って言ったのに『倒しはしたけど殺しはしませんでした。仲間にします』だなんて結構な無理筋でしょうが」


藤原の発言に佐藤はなおも反発した。


「じゃあおめーは命乞いする魔獣をその場で斬り捨てる事が出来んのかよ?」

「いや、おめーら普通にバッサリ斬り捨てようとしてたじゃねーか」

「「う…」」


柴田の問いに俺が反論すると二人まとめて黙ってしまった。


「え?じゃあなんで…?柴田と藤原はちゃんと討伐しようとしてたんでしょ?もしかして海原が止めたの!?」

「なわけねーだろ、人の話はちゃんと聞けよ。さっきも言った通り服従の首輪で無害化するから見逃したってだけよ」


じゃなきゃコイツらがトドメ刺してたハズだし、と俺は意味不明にヘイトを向けてくる佐藤を適当にいなすような感じで返す。
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