クラスまるごと異世界転移

八神

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「…あれ?正門から入らないの?」

「手続きとか面倒くせーからな。俺は裏から入った方が楽」

「…そうなんだ」


馬車を降りて先を歩く俺についてくる深山が不思議そうに聞いてくるので理由を話すと納得したのか微妙な感じで呟く。


「ウミハラ殿、久しぶりですな」

「おう」

「おや?ウミハラ殿。もう戻られたんですか?」

「まあな」


裏庭を歩いていると巡回中の兵士達が挨拶したり話しかけて来るのを適当に返しながら進む。


「おっ、兄ちゃん帰って来てたのか!」


裏庭から城の中に入ると直ぐに料理長がやって来た。


「ちょっと色々あってな」

「お隣の可愛子ちゃんは新しいコレか?」

「えっ?」


料理長が深山を見ながら小指を立てるとそのサインを見た深山が驚いたように俺を見る。


「料理長…誤解されるような言い方はやめてくれよ」

「いやー、すまんすまん。歳を重ねるとどうも若者を茶化したくなるもんでな」

「あ、冗談だったんだ…海原くん、この人は?」

「ああ、この城の料理長。一応俺の料理の師匠でもある」

「えっ!?そうなんだ!凄い人じゃん!」

「おいおい…弟子にすーぐ追い越される師匠なんて格好がつかないだろうが」


俺の紹介に深山が驚くと料理長は人差し指で頬を掻きながら返して来た。


「まあそんな事より、新しい料理を作ってな。一人で作ると手間と時間がかかるんだがその分うめーんだ」

「へー、また新しいの作ったんだ」

「おう。あの嬢ちゃん達のおかげで身体の調子が常に絶好調でな!後からまた忙しくなるから今はまだ教えられそうにないが…」

「じゃあ手伝うよ。5人居ればいい?暇が出来たら教えといて」

「流石だな、兄ちゃん!いやー、助かるぜ。じゃあな」


俺は召喚した兵を料理長に預けて深山と共に佐藤の所へと向かう事に。


「あっ…海原戻って来てたんだ。って…隣のってもしかして、深山さん?」

「佐藤さん久しぶりー。前に会ったのって一ヶ月半ぐらい前だっけ?」


佐藤の部屋へと向かっていると廊下でばったりと会ってしまい、深山を見て驚いたように聞いてくると深山は嬉しそうに手を振る。


「なんで深山さんがココに…?聖女でしょ?」

「あー、話せば長く…は無いか。王様にムカついて売られた喧嘩を買ったらヤバくなって逃げて来た」

「…はあ?意味不明なんですけど。海原もしかして説明下手?」

「とりあえず分かりやすく言うなら…そうだな…あっちの国でやらかしてやべー事になったから戻って来た」

「はあ!?どうして?やらかしたって…あっち行ってまだ3日ぐらいでしょ!?」


佐藤の部屋へと向かうついでに歩きながら説明するも呆れられたので要約すると足を止めて驚愕された。


「えーっと…私がその原因、なんだけど…」

「え?」

「違う違う。確かに深山への話が始まりだったけど、やらかしたのは俺ら。特に柴と藤よ、ああなったほとんどの原因は」


深山が言いづらそうに小さく手を上げながら呟くので俺はフォローするために深山のその言葉を否定して藤原と柴田に責任を押し付ける。
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