クラスまるごと異世界転移

八神

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…その後、宰相っぽいおっさんに案内されて着いた部屋は長くて赤い絨毯と玉座のある謁見室だった。


「聖女ミヤマよ、突然の招集による足労感謝するぞ」

「いえ…」

「聖女ミヤマよ。そなた、我々に何か隠し事をしておらぬか?」

「…隠し事?いいえ、なにも」

「本当か?昨日、今日…先程の報告は受けておる。そなたの聖女としての力…『奇跡』は『一日に一回一人のみ』ではなかったのか?まさか我らを謀ろうとしているのではあるまいな」


王様はめっちゃ偉そうな態度で何故か深山に疑惑の目を向けながら責めるように言う。


「そんなことは…」

「では何故嘘を?理由次第では…」

「あー、あー…ったく、これだからよぉ…なあ?藤?」


深山が否定するも王様は更に責めるように威圧しながら聞いてくるので柴田が頭をガシガシ掻きながら割って入る。


「全くだな…海。だから言っただろ?俺らこーゆー奴ら嫌いなんだよ」

「貴様ら!王に向かってなんと無礼な!」

「無礼はお互い様じゃね?先に無礼を働かれたのは俺らなんですけど」


話を振られた藤原も呆れたようにため息を吐くと宰相っぽいおっさんが怒鳴り、近衛兵のような兵士達が動こうとするので…


とりあえず俺は場を収めようと喧嘩両成敗的な事を言う。


「なんだと?」

「深山は優しさでこの国の人を治してたんだぜ?それでなんで今責められねーといけねーんだよ。どのツラ下げて言ってんの?」

「そーそー。普通なら一人治して貰えるだけでもありがてー話なのに、一気にたくさんの人を治したら隠し事だあ?お前の頭大丈夫かよ?」


王様が不機嫌そうに聞くと柴田と藤原も不機嫌そうに文句を言う。


「貴様ら…我らが王に対しての侮辱の数々…覚悟は出来ているのであろうな」

「おー、良いぜ。来るなら来いよ」

「おい藤。お前ちゃんと女子を逃がせよ」

「ったりめーよ。佐藤んとこでも行くか?」


宰相っぽいおっさんの言葉に周りにいた近衛兵達が近づいて来ると柴田が喧嘩腰で答え、俺は藤原に指示をして逃げる算段を整える。


「近衛兵よ!その不敬なる愚か者どもを捕まえよ!」

「「「はっ!!」」」


王様は玉座から立ち上がると臨戦態勢の近衛兵達に号令をかけた。


「はっはー!おい、海!」

「おうよ。柴頼むぜ」 

「任せときんしゃい」

「「「えっ?ええっ!?」」」


案の定の戦闘開始に藤原が笑いながら俺の名前を呼ぶので俺は大量の兵を召喚して壁兼囮に展開しながら柴田に指示を出す。


そして困惑している女子三人を兵に担がせて俺らはダッシュで逃げた。


「とりあえず柴、チケット頼むぜ」

「おうおう。合流は?」

「普通に家でいいんじゃね?」

「オッケー」


藤原のスキルでパッパッと擬似ワープをしながら城門前の広場に出た俺らは一旦柴田と別れて兵の追跡を撒き、後は普通に家へと帰る。
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