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「せ、聖女様…!これは、いったい…!?」
「…行こ」
「うん」
目の前の光景に驚愕しながら聞いてくる男を無視して深山達は先に病室から出て行った。
「これで分かったか?やれと言われたらさっさとやりゃあいーんだよ」
「最後まで煽るんじゃねーよ。行くぞ」
「おう」
藤原が男を煽るので俺は呆れながら注意して深山達を追いかける。
「…にしてもマジで凄かったな。手足の無かった奴らに気づいたら生えてたし」
「生えるってか戻るだろ?…いや、治るだから生えるでいいのか?」
城の廊下を歩きながら呟く藤原に柴田がツッコむように返すも疑問に思ったように訂正した。
ーーーーーー
…そして深山が改築完了した俺らの家に泊まっての翌日。
朝食を食べた後にみんなで城に移動していると…
城門前の広場に大量の人達が殺到していてみんな『聖女様聖女様』と叫んでいた。
「…私に何かご用ですか?」
「おお聖女様!腰が痛くてどうしようもないのです!治してください!」
「聖女様!ウチの息子は右腕が動かないのです!」
「聖女様!うちの娘が…」
一応俺らがいつでも直ぐ逃げられるような態勢を取りながらアイコンタクトをして頷いた深山が尋ねると…
大勢の人達は急に地面に膝を着いて祈りのポーズを取りながら懇願し始める。
「こんなに…大丈夫かな?」
「どこまでが範囲内なのか俺らには分からんけど、とりあえず真ん中に移動すればある程度まで届くんじゃね?」
「そだな。おら!退け!聖女様のお通りだ!治して欲しけりゃ通せ!」
「道を空けろ!聖女様が通れねーじゃねーか!おめーら本当に治してもらう気あんのか?ああ?」
心配する深山に俺が適当な案を出すと柴田と藤原がまるでチンピラのように人混みをかき分けていく。
「…ここまで来れば」
多分群衆の真ん中辺りに着いたであろう判断をした深山がスキルを使う。
「おお…!」「奇跡だ…!」「聖女様の奇跡の力だ…!」
「ありがたやありがたや…!」
スキルの効果で治った人達が驚きながら立ち上がるも直ぐに地面に膝を着き祈りのポーズを取って深山を崇め始めた。
「だーかーらー!邪魔だって言ってんだろ!通せやこのクソボケどもが!」
「おい藤。もうそのキャラはいいんじゃね?」
「そうか?」
「聖女様!ご無事ですか!?」
藤原が罵倒しながら人混みをかき分け城門の前まで辿り着くと衛兵達が慌てた様子で駆け寄ってくる。
「…聖女様、王様がお呼びです」
「王様が?」
城の中に入ると即座に宰相のようなおっさんがやって来て用件を言う。
「当然俺らも一緒でいーんだよな?」
「女子を一人で呼び出す王様なんざ勘違いされてもしょーがねーしなぁ?」
「…今回は特別に許可しよう」
藤原と柴田の確認に宰相はため息を吐いて額に手を当てると許可を出す。
「おめーらすげーな…」
「そうか?こんなん普通だろ。な?藤」
「おう。海もパーティ組めばこんくらい余裕よ」
俺は皮肉で言ったにも関わらず二人にはそのまま褒め言葉として受け取られてしまう。
「…行こ」
「うん」
目の前の光景に驚愕しながら聞いてくる男を無視して深山達は先に病室から出て行った。
「これで分かったか?やれと言われたらさっさとやりゃあいーんだよ」
「最後まで煽るんじゃねーよ。行くぞ」
「おう」
藤原が男を煽るので俺は呆れながら注意して深山達を追いかける。
「…にしてもマジで凄かったな。手足の無かった奴らに気づいたら生えてたし」
「生えるってか戻るだろ?…いや、治るだから生えるでいいのか?」
城の廊下を歩きながら呟く藤原に柴田がツッコむように返すも疑問に思ったように訂正した。
ーーーーーー
…そして深山が改築完了した俺らの家に泊まっての翌日。
朝食を食べた後にみんなで城に移動していると…
城門前の広場に大量の人達が殺到していてみんな『聖女様聖女様』と叫んでいた。
「…私に何かご用ですか?」
「おお聖女様!腰が痛くてどうしようもないのです!治してください!」
「聖女様!ウチの息子は右腕が動かないのです!」
「聖女様!うちの娘が…」
一応俺らがいつでも直ぐ逃げられるような態勢を取りながらアイコンタクトをして頷いた深山が尋ねると…
大勢の人達は急に地面に膝を着いて祈りのポーズを取りながら懇願し始める。
「こんなに…大丈夫かな?」
「どこまでが範囲内なのか俺らには分からんけど、とりあえず真ん中に移動すればある程度まで届くんじゃね?」
「そだな。おら!退け!聖女様のお通りだ!治して欲しけりゃ通せ!」
「道を空けろ!聖女様が通れねーじゃねーか!おめーら本当に治してもらう気あんのか?ああ?」
心配する深山に俺が適当な案を出すと柴田と藤原がまるでチンピラのように人混みをかき分けていく。
「…ここまで来れば」
多分群衆の真ん中辺りに着いたであろう判断をした深山がスキルを使う。
「おお…!」「奇跡だ…!」「聖女様の奇跡の力だ…!」
「ありがたやありがたや…!」
スキルの効果で治った人達が驚きながら立ち上がるも直ぐに地面に膝を着き祈りのポーズを取って深山を崇め始めた。
「だーかーらー!邪魔だって言ってんだろ!通せやこのクソボケどもが!」
「おい藤。もうそのキャラはいいんじゃね?」
「そうか?」
「聖女様!ご無事ですか!?」
藤原が罵倒しながら人混みをかき分け城門の前まで辿り着くと衛兵達が慌てた様子で駆け寄ってくる。
「…聖女様、王様がお呼びです」
「王様が?」
城の中に入ると即座に宰相のようなおっさんがやって来て用件を言う。
「当然俺らも一緒でいーんだよな?」
「女子を一人で呼び出す王様なんざ勘違いされてもしょーがねーしなぁ?」
「…今回は特別に許可しよう」
藤原と柴田の確認に宰相はため息を吐いて額に手を当てると許可を出す。
「おめーらすげーな…」
「そうか?こんなん普通だろ。な?藤」
「おう。海もパーティ組めばこんくらい余裕よ」
俺は皮肉で言ったにも関わらず二人にはそのまま褒め言葉として受け取られてしまう。
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