クラスまるごと異世界転移

八神

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「…降りる」

「降りんのかよ!男ならー」

「ああ?じゃあコールだ!ツーペア」

「俺もツーペア…数字は…ぐわっ!負けたー!」


…この勝負で藤原のチップが0になったので俺の完全勝利である。


「くぅ…余計なことしなけりゃ良かった…お」
「お」
「お」


藤原が嘆くと同時にミノタウルスの王が倒れて別空間から戻って来た。


するとピロリロリン♪という軽快な音が頭の中に聞こえ、魔方陣が光り出し塞がれた入口が開く。


「やっとか。流石に長かったな」

「そだな。やっと帰れるぜ」


柴田と藤原が両手を上げて背筋を伸ばしながら言うので俺は兵士達に後片付けをさせる事に。


「お、なんだ?」


俺が倒れているはずのミノタウルスの王に近づくと…


なんと頭とマント、両刃の斧以外が見当たらない。


…いや、マントの下に爪らしき物は残っていたけど…それでもあんな大きな身体が跡形も無く消えていた。


「うわ…重っ!」

「どした?海」

「おっ!ミノタウルスの頭が残ってんじゃん!」


俺が頭を持つも、重くてとても持ち続ける事は出来ずに床に下ろすと藤原と柴田がこっちに来る。


「なんか頭を残すのは難しいらしいぜ」

「マジで?ってか超重いんだけど」

「…うわっ!マジだ。重っ!」


柴田の説明を適当に流して感想を言うと藤原も持ち上げようとして俺と同じ事を言う。


…とりあえず戦利品やキャンプ用品などは兵士に運ばせる事にして俺らは町へと帰る。


「そういやさっき変なメロディが聞こえなかったか?」

「そういや聞こえたな」

「俺も」

「なんだったんだろうな?アレ」

「さあ?」


馬車の中で藤原が思い出したように聞いて来たので、俺だけじゃなかったのか…と思いながら適当に返す。


「「「ん?」」」


すると馬車が町に入った瞬間、急に頭の中に『レベルアップ!スキルレベルが2になりました』という声が。


そして『範囲拡大』『兵数増加』という良く分からんメッセージが続く。


「あ?範囲拡大?」

「範囲拡大…?」

「範囲拡大?」


俺ら三人とも同じメッセージが聞こえたのか同じ単語を呟く。


「なんか知らんがスキルのレベルが上がったってよ」

「俺も」

「俺もだ」

「俺はレベル2だと」

「俺も同じだな」

「俺も」


俺の報告に柴田と藤原も同じく不思議そうな顔をしながら頷いた。


「どういう事だ?みんな同じタイミングって事か?」

「分からん。とりあえず俺は範囲拡大の他に『時間延長』ってのがあったけど」

「あ、俺も!」


俺が困惑しながら聞くと柴田も困惑しながら返し…


どうやら藤原の発言を聞く限り二人は内容が同じらしい。
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