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壮年期 39
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…翌日。
昼前に青年から手紙を受け取り、宿営地から離れた場所で変化魔法を使ってドラゴンへと変身して分身の俺らは首都へと移動する。
「報告は俺一人で十分だから宿屋から先に探そうか」
「分かりました」
「そうだね」
首都へと入った後に分身の俺が指示を出すと分身の二人は普通に了承し、宿を確保する事に。
そして宿屋の部屋を取った後に分身の俺一人で王城っぼい城へと向かう。
「…この部屋の中で少々お待ちください。直ぐに参られると思いますので」
…バッジを見せるとアッサリと城の中へと入る事ができ、メイドのような女性に応接室のような部屋へと案内され…
分身の俺がソファに座るとメイドのような女性はそそくさと退室していった。
それから約10分後。
「待たせてしまい、申し訳ございません。これでも忙しい身でして…用件は手短にお願いします」
「とりあえず先にコレを」
男が部屋に入って来ると謝りながらも迷惑そうな目を向けてくるので分身の俺は青年からの手紙を渡す。
「…シャット家の…?少々失礼します」
男は手紙の端に書かれた名前を見て不思議そうに呟くと一言断りを入れて手紙を読み始める。
「…なっ…!ヴェルヘルム軍との戦いに勝利しただと!?そんな報告は…!……国境の外に追い払い、守りを固める…か」
手紙を読み進めた男が驚いたように立ち上がり、信じられないかのように呟くと最後に青年の報告をそのまま声に出して読む。
「…ご協力感謝申し上げます。手紙を読む限りではクライン辺境伯のお力添えが無ければどうなっていたことか…」
「そんな大した事はしてないんだけど…もしかしたら一割二割ぐらいは俺の成果も含まれてるかも、しれないですね」
男は立ったまま姿勢を正すと頭を下げてお礼を言い出し、分身の俺は微妙な感じで若干の否定と若干の肯定をしながら返した。
「それで、ヴェルヘルム方面にはもう自分が居なくとも大丈夫、って事で次はどこに行けば?」
「…押されているセリィア方面に向かっていただけると幸いですが…あちらの指揮官からは必要無い、と拒否されてまして…」
「じゃあもう帰っても?」
「それは!それは…まだ、我が国の危機は去っておりませんので、それは…」
分身の俺が指示を求めると男は困ったように良く分からない事を言い出し、分身の俺の確認に男が声を荒げて拒否するように返すもどんどん声が小さくなる。
「…じゃあ…しばらくはココに滞在してますので、何かあれば呼びに来て下さい」
「…分かりました。助かります」
「ではこれで」
分身の俺は少し考えて先送りにするように言うと青年が安堵したような顔になり、話も終わったしさっさと宿に戻ろう…と思いながら別れの挨拶を告げて退室した。
「…どうでした?」
「しばらくこの首都に滞在する事になった。なんかこの前のところは援軍を拒否してるんだと」
「じゃああたしらが居なくても大丈夫なんだ」
宿屋に戻ると分身のお姉さんが尋ねてきて分身の俺の報告に分身の女性は意外そうな反応をする。
「それは…どうかな?帰って良いか聞いたらダメって言われたし」
「まあまだ敵の侵攻は続いてますからね…」
「でも前線に必要とされてないんなら居ても居なくても変わらないような気がするけど…」
「全くだ。とりあえずココに滞在しとくって言ったから観光でもして時間潰すしかないね」
分身の俺の微妙な感じでの否定に分身のお姉さんも微妙な顔で返し、分身の女性も同様に微妙な感じで呟くので分身の俺は同意して当面の予定を告げた。
「…でも猟兵隊を連れて来た方が早かったかもしれないね」
宿屋から出て市場に向かってる最中に分身の女性がふと思いついたように言い出し…
「どうかな?移動するだけで一月はかかるだろうし…確かに敵を追い返すのは一週間…二週間あれば済んだだろうけど…自分トコの守りが薄くなるし、万が一にでもこんな良く分からん異国の地で死人が出たら最悪じゃない?」
「…確かに。もしかしたらあたしらの戦力を削ぐのが狙いかもしれない…相手が誰とまでは言わないけど」
分身の俺が否定して反論すると、分身の女性は納得した後に狙いを察したように呟いて想定してる人物については曖昧にボカすように答える。
「あと帰るのにも同じ時間かかるので…往復に早くて二ヶ月近くかかるのならば『猟兵隊を連れて来た方が早い』とは言えないかもしれません。問題解決の点では現状最速の手ではありましたが」
「俺ら三人だけなら往復一時間半ぐらいで済むからね」
「…この国からしたら一刻も早く敵を追い返して欲しいとは思ってるだろうけど、あたしらの事情もあるからね」
分身のお姉さんは困ったように笑って補足のような説明をした後にフォローを付け足し、分身の俺が笑いながら冗談交じりで言うと分身の女性は微妙な顔で真面目な事を言い始めた。
「うーん…ソコもどうかな?体面を気にせずに問題解決を優先するならニャルガッズみたいに直ぐに俺らに兵を預けるでしょ。今回は多分『よそ者に好き勝手させてたまるか!』とか『よそ者に手柄を奪われたくない!』とかのプライド的なのが関わってこんな状況になってるんだと思う」
「…なるほど。結果よりも過程が大事、ってわけだ。国が危ない状況でもこれとは…」
分身の俺が否定しながら予想や想定を話すと分身の女性は理解したように返すと呆れたように呟く。
昼前に青年から手紙を受け取り、宿営地から離れた場所で変化魔法を使ってドラゴンへと変身して分身の俺らは首都へと移動する。
「報告は俺一人で十分だから宿屋から先に探そうか」
「分かりました」
「そうだね」
首都へと入った後に分身の俺が指示を出すと分身の二人は普通に了承し、宿を確保する事に。
そして宿屋の部屋を取った後に分身の俺一人で王城っぼい城へと向かう。
「…この部屋の中で少々お待ちください。直ぐに参られると思いますので」
…バッジを見せるとアッサリと城の中へと入る事ができ、メイドのような女性に応接室のような部屋へと案内され…
分身の俺がソファに座るとメイドのような女性はそそくさと退室していった。
それから約10分後。
「待たせてしまい、申し訳ございません。これでも忙しい身でして…用件は手短にお願いします」
「とりあえず先にコレを」
男が部屋に入って来ると謝りながらも迷惑そうな目を向けてくるので分身の俺は青年からの手紙を渡す。
「…シャット家の…?少々失礼します」
男は手紙の端に書かれた名前を見て不思議そうに呟くと一言断りを入れて手紙を読み始める。
「…なっ…!ヴェルヘルム軍との戦いに勝利しただと!?そんな報告は…!……国境の外に追い払い、守りを固める…か」
手紙を読み進めた男が驚いたように立ち上がり、信じられないかのように呟くと最後に青年の報告をそのまま声に出して読む。
「…ご協力感謝申し上げます。手紙を読む限りではクライン辺境伯のお力添えが無ければどうなっていたことか…」
「そんな大した事はしてないんだけど…もしかしたら一割二割ぐらいは俺の成果も含まれてるかも、しれないですね」
男は立ったまま姿勢を正すと頭を下げてお礼を言い出し、分身の俺は微妙な感じで若干の否定と若干の肯定をしながら返した。
「それで、ヴェルヘルム方面にはもう自分が居なくとも大丈夫、って事で次はどこに行けば?」
「…押されているセリィア方面に向かっていただけると幸いですが…あちらの指揮官からは必要無い、と拒否されてまして…」
「じゃあもう帰っても?」
「それは!それは…まだ、我が国の危機は去っておりませんので、それは…」
分身の俺が指示を求めると男は困ったように良く分からない事を言い出し、分身の俺の確認に男が声を荒げて拒否するように返すもどんどん声が小さくなる。
「…じゃあ…しばらくはココに滞在してますので、何かあれば呼びに来て下さい」
「…分かりました。助かります」
「ではこれで」
分身の俺は少し考えて先送りにするように言うと青年が安堵したような顔になり、話も終わったしさっさと宿に戻ろう…と思いながら別れの挨拶を告げて退室した。
「…どうでした?」
「しばらくこの首都に滞在する事になった。なんかこの前のところは援軍を拒否してるんだと」
「じゃああたしらが居なくても大丈夫なんだ」
宿屋に戻ると分身のお姉さんが尋ねてきて分身の俺の報告に分身の女性は意外そうな反応をする。
「それは…どうかな?帰って良いか聞いたらダメって言われたし」
「まあまだ敵の侵攻は続いてますからね…」
「でも前線に必要とされてないんなら居ても居なくても変わらないような気がするけど…」
「全くだ。とりあえずココに滞在しとくって言ったから観光でもして時間潰すしかないね」
分身の俺の微妙な感じでの否定に分身のお姉さんも微妙な顔で返し、分身の女性も同様に微妙な感じで呟くので分身の俺は同意して当面の予定を告げた。
「…でも猟兵隊を連れて来た方が早かったかもしれないね」
宿屋から出て市場に向かってる最中に分身の女性がふと思いついたように言い出し…
「どうかな?移動するだけで一月はかかるだろうし…確かに敵を追い返すのは一週間…二週間あれば済んだだろうけど…自分トコの守りが薄くなるし、万が一にでもこんな良く分からん異国の地で死人が出たら最悪じゃない?」
「…確かに。もしかしたらあたしらの戦力を削ぐのが狙いかもしれない…相手が誰とまでは言わないけど」
分身の俺が否定して反論すると、分身の女性は納得した後に狙いを察したように呟いて想定してる人物については曖昧にボカすように答える。
「あと帰るのにも同じ時間かかるので…往復に早くて二ヶ月近くかかるのならば『猟兵隊を連れて来た方が早い』とは言えないかもしれません。問題解決の点では現状最速の手ではありましたが」
「俺ら三人だけなら往復一時間半ぐらいで済むからね」
「…この国からしたら一刻も早く敵を追い返して欲しいとは思ってるだろうけど、あたしらの事情もあるからね」
分身のお姉さんは困ったように笑って補足のような説明をした後にフォローを付け足し、分身の俺が笑いながら冗談交じりで言うと分身の女性は微妙な顔で真面目な事を言い始めた。
「うーん…ソコもどうかな?体面を気にせずに問題解決を優先するならニャルガッズみたいに直ぐに俺らに兵を預けるでしょ。今回は多分『よそ者に好き勝手させてたまるか!』とか『よそ者に手柄を奪われたくない!』とかのプライド的なのが関わってこんな状況になってるんだと思う」
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