上 下
462 / 480

壮年期 36

しおりを挟む
「オオォ!」

「あ」


分身の俺がそろそろ動くか、と思ってとりあえず分身の俺の動きを抑え込もうと盾を押し付けてる魔物の魔石抜きをしようとしたら…


ボスの魔物が大剣を勢いよく振り上げて振り下ろし、剣圧による衝撃波で周りの魔物ごと分身の俺に遠距離攻撃を当ててきた。


「!周りの…味方ごとかい!?」


衝撃波の射線上に居た弓を持つ魔物や分身の俺の周りで袋叩きにしていた魔物達がボスの魔物のフレンドリーファイアでバラバラになって消えると、分身の女性が驚愕しながら信じられないような反応をする。


「ジェネラルがボスの魔物の中でも上位に位置している理由の一つです。召喚した魔物で足止めさせてその魔物ごと攻撃する…一人の場合ではマスタークラスに近いハンターしか倒せないと言われていますし」

「…あんな攻撃をされたら…でも個人でマスタークラスに近い実力者ってのは限られてるんじゃ…?」


分身のお姉さんの説明を聞いて分身の女性は困惑しながら呟いた。


「ったく…せっかく魔石抜きしようと思ったのに…魔物のくせにせっかちかよ」

「オオォォ…!」


分身の俺が呆れながらため息を吐いて言うとボスの魔物はまだ杖を持った魔物が二体居るにも関わらず大剣を地面に突き刺し…


杖を持った魔物達の姿が消えるとまた地面から新たな魔物達が湧き出てくる。


「ほう…?召喚技をこうも使ってくるなんて珍しい…今日の奴は当たりか?」


分身の俺は意外に思いながら呟き、また巻き込み攻撃される前に近づいて来た魔物達を順番に魔石抜きして倒していく。


「オオォォ!」

「おや?これはもしかして魔石稼ぎのフィーバータイムに突入したかな?」


ボスの魔物が大剣を高々と上に掲げるとまたしても地面から魔物達が湧き出て来たが…


予想外に最初の倍以上の大量の数の魔物が出てくるの分身の俺は嬉しくなりながら余裕の態度でボスの魔物を煽るような顔をした。


「…ほら、どうした?この程度じゃ数が足りねぇぞ?もっと頑張れよ」

「オオォ!」


分身の俺は素早く群がる魔物達を魔石抜きで倒した後に両手を広げながら無意味な煽りをするとボスの魔物は大剣を振り下ろすように投げつけ…


縦に回転しながら飛んで来た大剣は分身の俺に当たっても尚勢いを落とさずに後ろに飛んで行くと、同じ軌道で戻ってきて分身の俺を後ろから切りつけながらボスの魔物の手に収まる。


「…衝撃波以外にも遠距離攻撃があったのか」

「オオォ!」


分身の俺が軽く驚いて以外に思いながら呟くとボスの魔物は今度は大剣をブーメランのように横振りで投げつけてきた。


「…よ、っと。おお?」


分身の俺は上手くタイミングを図って大剣の柄を掴んでキャッチするも柄から大量の鋭いトゲが飛び出す。


「へー、主人以外には触られたくない、と?」


分身の俺がこの剣も魔物の一部か?と疑問に思うとボスの魔物が分身の俺に向かって手を向け、大剣が引っ張られるような感じになるので手を離す。


「オオォ!」

「おっと」


ボスの魔物の距離を詰めての振り下ろしを分身の俺は後ろに下がって軽く避ける。


「召喚技を使えよ。まあ初見の技なら許すけど」

「オオォ!」


…伝わないと分かりつつも上から目線で煽るとボスの魔物は大剣を渾身の力で振り下ろし続け、避ける度にドォン!ドォン!と地面が割れて地震のような少しの揺れが起きた。


「…うーん…もう終わるか」


それから10分ぐらい待つも一向に召喚は使ってくれず、分身の俺は諦めてボスの魔物が振り下ろした大剣を右手で掴んで受け止め…魔石抜きをして終わらせる。


「…あと二回ぐらい召喚技を使って欲しかったけど…まあ次の機会でもいっか」

「そうですね。少し残念ですが仕方ありません」

「…外から見てると地獄のような状況にしか見えなかったのに…」


分身の俺が少し落胆しつつ気持ちを切り替えるように言うと分身のお姉さんも同意し、分身の女性は微妙な顔で呟いた。


「とりあえずダンジョン出たら魔石を持ってかないといけないかな?」

「そう…ですね、支部の方が早く正確に詳細が分かるので出来るだけ早く渡す方が良いと思います」

「戦場の方はどうなってんのかね?まああたし達が居ても居なくても特に変わりはないと思うけど」


分身の俺の歩きながらの提案に分身のお姉さんは少し考えて肯定し、分身の女性が戦争の状況を気にしたように聞く。


「流石に昨日と一緒でしょ。大将がどんな考えをしてるか分からないけど一日で一気に状況が変わるような行動はしないと思うし」

「…それもそうか」

「必要になれば坊ちゃんに助けを求めるでしょうし…それまで私達のやる事はありませんね」


分身の俺が適当な感じで返すと分身の女性が納得して分身のお姉さんは静観を続けるような事を言う。


「…それなら別に戦場に出る必要も無いんじゃ?」

「それもそうだけど…宿営地にずっと居るってのも暇じゃない?」

「…確かに。でもどっちにしろ暇なんだよなぁ…」


分身の女性の確認に肯定しながら尋ねると分身の女性は同意した後に微妙な顔でボソッと呟く。
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!! 僕は異世界転生してしまう 大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった 仕事とゲームで過労になってしまったようだ とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた 転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった 住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる ◇ HOTランキング一位獲得! 皆さま本当にありがとうございます! 無事に書籍化となり絶賛発売中です よかったら手に取っていただけると嬉しいです これからも日々勉強していきたいと思います ◇ 僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました 毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

パーティー追放された者同士で組んだら、全員魔剣士だったけど割と万能で強かった件

微炭酸
ファンタジー
勇者見習い職とされる“冒険者”をしていたハルトは、ある日突然パーティーを追放されてしまう。 そして同じくパーティーを追放されたマナツ、モミジ、ユキオの3人とパーティーを組む。 しかし、4人の職業は全員“魔剣士”であった。 前衛も後衛も中途半端で決して良い待遇を受けない魔剣士だけのパーティー。 皆からは笑われ、バカにされるが、いざ魔物と闘ってみるとパーティーボーナスによって前衛も後衛も規格外の強さになってしまい―― 偏った魔剣士パで成り上がりを目指す冒険ファンタジー! ※カクヨム様・なろう様でも投稿させていただいています。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

処理中です...