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壮年期 7
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…それから二日後。
調印式も滞りなく無事に終わったらしく、これでライツとの同盟も正式に結ばれる…
と、いうところで衝撃の事実が判明した。
ーー
「…まじで?」
「…もしかして兄さんも知らなかったの?」
調印式に呼ばれていたらしい弟の報告を聞いて俺が驚愕しながら聞き返すと弟も驚きながら確認してくる。
「…ライツの王女本人からも全く何も聞いて無いぞ。この二日で話す…ってか確認?とかする時間はいくらでもあったはずだが…」
「ええ…でも『クライン辺境伯』って兄さん以外にあり得ないよね?」
「ありえんな。他の国はどうか分からんがこの国ではその名を名乗れるのは今んところは俺だけだ」
俺は思い出すように考えながら不思議に思って呟くと、弟がその様子を見て若干ヒいたような反応をした後に確認して来るので断言して肯定した。
「じゃあやっぱり兄さんがライツの第三王女と婚姻する事になるんだよね?」
「…今の話を聞く限りそうらしいが…当事者で張本人である俺が何も知らないってあり得ないと思うんだが」
「そうだよね…でも『両国の同盟の証としてクライン辺境伯との婚姻が決定した』ってダリーヌ公爵が大々的に発表してたし」
何度目かの弟の確認に俺は納得いかないまま肯定して不満を言うと弟も賛同しながら微妙な顔で告げる。
「…拠点に滞在の件もそうだったけど…ここまで来ると事後承諾で高圧的というか、威圧的というか…強引に無理やり物事を進めようとする姿勢が気に食わねぇな」
「兄さんだけじゃなくて相手側にも失礼過ぎるし、いくらなんでも今回の件は当事者に一切話を通さずに進めていい事じゃ無いよ。これじゃライツの王女様が可哀想だ」
俺が政府のやり方について不快感を露わにしながら反発して批判するように言うと弟も同意して姫の事について言及した。
「とりあえず式が終わるまでは何も出来んが…あれ?これ、ライツ側にバレたら結構な高確率で同盟破棄されねーか?」
「…可能性として十分に考えられると思う。自国の貴族に話を通さずに上辺だけで返事したのがバレたら面子が立たないだろうし、流石にここまで舐められてたら手を打たないワケにはいかないでしょ」
俺は対策を考えながら呟き、ふと思いついたヤバい展開の事を予想して話すと弟が少し考えてライツ側の考えを想定するように肯定する。
「『弱腰外交だ』と国内から批判されたらたまったもんじゃないし他の国もこれ幸いと攻めてくるかもしれないからな…」
「まあでも兄さんが断らずに受け入れれば例えバレてもそこまでの事態には至らないハズだけど…今度は兄さんの面子が危なくなるよ?」
俺がライツの対応を予想すると弟は俺の立場を心配するかのように聞く。
「まあ今の時点でめちゃくちゃ舐められてるわけだしな。いくら俺が平和主義で事なかれ思想を持ってるからといってなんでも容認するイエスマンと勘違いされたら困るぜ」
「兄さんだけの問題ならともかく、周りにまで影響があるわけだし」
「その通り。流石に黙ってはおけねぇわ」
俺は肯定しながらも反発すると弟が理解してるように返すので、同意しながら今後の対応を練る事にした。
「でもどうするの?婚姻拒否?」
「婚姻の話が本当なら式が終わった後にココに戻って来るだろうからその時に話をするしかないな。一応正妻の枠は空いてるとはいえ、アッチから断ってライツから政府に抗議してくれると助かるが…」
「…もし相手が断らなかったら?」
「そりゃもうそのまま結婚するしかなくね?特に断る理由も無いし」
弟の確認にまずは姫から対応する事に決めて最良の展開を話すと弟が別パターンの想定をして聞いて来るので、俺は諦めたように受け入れる事を告げる。
「…そうなると兄さんの子供がライツの王位継承権を持つ事になるのか…」
「そうなったら早い内から帝王学だか躾とかを厳しく叩き込まないと…わがままに好き勝手やって国民の反感を買った結果処刑、なんて事態になったら目も当てられない」
「…確かに」
弟が考え込むようにもしもの仮定の将来を想像して呟き、俺は前世の記憶による歴史の知識を思い出しながら最悪の事態を避けるように言うと弟も賛同した。
「といっても可能性がある、ってだけで高いわけじゃないから心配も要らないと思うが」
「どうかな?兄さんの子だよ?兄さんの知名度や功績を上手く利用すれば王にだって女王にだって仕立て上げられると思う。おそらく僕でもやろうと思えば出来る」
「…そりゃお前だから…と言いたいところだけど、そうか…ライツの奴らが利用価値に気づいて動く事もあるのか」
俺はどうせそうはなるまい…と適当な感じで言うも弟の話を聞いて考えて直し、子供が政争に巻き込まれるかもしれない危険性に気づいて呟く。
「正直な話、兄さんが他国の王女と結婚するとメリットもデメリットもかなり大きいから僕個人の意見からすれば今回の件は断って国内の貴族を正妻に迎えた方が分かりやすくなっていいと思う」
「…まあソレが一番だが…問題は相手の気持ちなんだよなぁ…嫌がってくれてれば後腐れなく断る事が出来るけども無感情とか無関心で打算しか考えてないと説得がキツイぞ」
「まあそこは頑張って?」
弟の面倒事や厄介事を避けるようなアドバイスに俺は肯定的にいいながらも自分一人の問題ではないので困りながら返すと弟が微妙な感じで笑う。
調印式も滞りなく無事に終わったらしく、これでライツとの同盟も正式に結ばれる…
と、いうところで衝撃の事実が判明した。
ーー
「…まじで?」
「…もしかして兄さんも知らなかったの?」
調印式に呼ばれていたらしい弟の報告を聞いて俺が驚愕しながら聞き返すと弟も驚きながら確認してくる。
「…ライツの王女本人からも全く何も聞いて無いぞ。この二日で話す…ってか確認?とかする時間はいくらでもあったはずだが…」
「ええ…でも『クライン辺境伯』って兄さん以外にあり得ないよね?」
「ありえんな。他の国はどうか分からんがこの国ではその名を名乗れるのは今んところは俺だけだ」
俺は思い出すように考えながら不思議に思って呟くと、弟がその様子を見て若干ヒいたような反応をした後に確認して来るので断言して肯定した。
「じゃあやっぱり兄さんがライツの第三王女と婚姻する事になるんだよね?」
「…今の話を聞く限りそうらしいが…当事者で張本人である俺が何も知らないってあり得ないと思うんだが」
「そうだよね…でも『両国の同盟の証としてクライン辺境伯との婚姻が決定した』ってダリーヌ公爵が大々的に発表してたし」
何度目かの弟の確認に俺は納得いかないまま肯定して不満を言うと弟も賛同しながら微妙な顔で告げる。
「…拠点に滞在の件もそうだったけど…ここまで来ると事後承諾で高圧的というか、威圧的というか…強引に無理やり物事を進めようとする姿勢が気に食わねぇな」
「兄さんだけじゃなくて相手側にも失礼過ぎるし、いくらなんでも今回の件は当事者に一切話を通さずに進めていい事じゃ無いよ。これじゃライツの王女様が可哀想だ」
俺が政府のやり方について不快感を露わにしながら反発して批判するように言うと弟も同意して姫の事について言及した。
「とりあえず式が終わるまでは何も出来んが…あれ?これ、ライツ側にバレたら結構な高確率で同盟破棄されねーか?」
「…可能性として十分に考えられると思う。自国の貴族に話を通さずに上辺だけで返事したのがバレたら面子が立たないだろうし、流石にここまで舐められてたら手を打たないワケにはいかないでしょ」
俺は対策を考えながら呟き、ふと思いついたヤバい展開の事を予想して話すと弟が少し考えてライツ側の考えを想定するように肯定する。
「『弱腰外交だ』と国内から批判されたらたまったもんじゃないし他の国もこれ幸いと攻めてくるかもしれないからな…」
「まあでも兄さんが断らずに受け入れれば例えバレてもそこまでの事態には至らないハズだけど…今度は兄さんの面子が危なくなるよ?」
俺がライツの対応を予想すると弟は俺の立場を心配するかのように聞く。
「まあ今の時点でめちゃくちゃ舐められてるわけだしな。いくら俺が平和主義で事なかれ思想を持ってるからといってなんでも容認するイエスマンと勘違いされたら困るぜ」
「兄さんだけの問題ならともかく、周りにまで影響があるわけだし」
「その通り。流石に黙ってはおけねぇわ」
俺は肯定しながらも反発すると弟が理解してるように返すので、同意しながら今後の対応を練る事にした。
「でもどうするの?婚姻拒否?」
「婚姻の話が本当なら式が終わった後にココに戻って来るだろうからその時に話をするしかないな。一応正妻の枠は空いてるとはいえ、アッチから断ってライツから政府に抗議してくれると助かるが…」
「…もし相手が断らなかったら?」
「そりゃもうそのまま結婚するしかなくね?特に断る理由も無いし」
弟の確認にまずは姫から対応する事に決めて最良の展開を話すと弟が別パターンの想定をして聞いて来るので、俺は諦めたように受け入れる事を告げる。
「…そうなると兄さんの子供がライツの王位継承権を持つ事になるのか…」
「そうなったら早い内から帝王学だか躾とかを厳しく叩き込まないと…わがままに好き勝手やって国民の反感を買った結果処刑、なんて事態になったら目も当てられない」
「…確かに」
弟が考え込むようにもしもの仮定の将来を想像して呟き、俺は前世の記憶による歴史の知識を思い出しながら最悪の事態を避けるように言うと弟も賛同した。
「といっても可能性がある、ってだけで高いわけじゃないから心配も要らないと思うが」
「どうかな?兄さんの子だよ?兄さんの知名度や功績を上手く利用すれば王にだって女王にだって仕立て上げられると思う。おそらく僕でもやろうと思えば出来る」
「…そりゃお前だから…と言いたいところだけど、そうか…ライツの奴らが利用価値に気づいて動く事もあるのか」
俺はどうせそうはなるまい…と適当な感じで言うも弟の話を聞いて考えて直し、子供が政争に巻き込まれるかもしれない危険性に気づいて呟く。
「正直な話、兄さんが他国の王女と結婚するとメリットもデメリットもかなり大きいから僕個人の意見からすれば今回の件は断って国内の貴族を正妻に迎えた方が分かりやすくなっていいと思う」
「…まあソレが一番だが…問題は相手の気持ちなんだよなぁ…嫌がってくれてれば後腐れなく断る事が出来るけども無感情とか無関心で打算しか考えてないと説得がキツイぞ」
「まあそこは頑張って?」
弟の面倒事や厄介事を避けるようなアドバイスに俺は肯定的にいいながらも自分一人の問題ではないので困りながら返すと弟が微妙な感じで笑う。
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