子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 346

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「…夕食をお持ちしました」

「では一旦中断して食事に致しましょうか」


指定した時間に分身の俺がドアをノックして入室しながら用件を告げると少女は直ぐに食事の準備をする。


「…前菜のカルパッチョです」


分身の俺は人数分の皿を用意した後に空間魔法の施されたポーチから容器を取り出し、その場で皿に盛ると手伝いの協会員がお偉いさん達の前へと運ぶ。


「…美味しい!」

「…!美味い!」

「なんだこの肉は!今までに食べた事が無いような…!」


少女が真っ先に食べて感想を言うと他のお偉いさん達も食べ始めて当然のごとく『美味い美味い』とざわついた。


「…では次にムニエルを」


…みんなが食べ終わるのを待って分身の俺はまた空間魔法の施されたポーチから容器を取り出して料理を皿に盛って運ばせる。


「美味い…!」

「コレも絶品だ!」

「ただのムニエルでは無いな…」

「…メインとしてステーキを」


みんなが驚いたような反応をするが特に話しかけられる事は無く、折を見て牛肉のステーキを準備して運ばせた。


「…コレは…!もしや魔物の肉では!?持って来てないとお聞きしましたが…」

「なにっ!?」
「なんだと!?」
「魔物の肉、だと!?」

「いやいや、普通の…といっても一応上質なヤツではあるけど、ソレをただの調理の技術で柔らかくしただけ」


少女がステーキを一口食べて驚いたように聞くので周りの人達が勘違いしたように驚き、分身の俺は手を振って否定する。


「そう、でしたか…この柔らかさは魔物の肉以外にありえないと思いましたが……確かにコレは魔物の肉のステーキに比べて少し脂身の旨味が足りない気もします」


少女は意外そうに呟くと二口目はしっかりと味わっていつものヤツとの違いを話す。


「まあそりゃ普通の肉でも頑張れば魔物の肉に近づける事は出来るから。でも適当に焼いてもこんな感じでめちゃくちゃ美味いのが魔物の肉なんだけど」

「…なるほど…やはり魔物の肉というのは凄いのですね」


分身の俺が微妙な感じで言うと少女は納得したように呟き、ステーキを食べながらいつものと比較してるのか…しみじみと実感するように告げた。


「さて、次は…ふぐちりというか…鍋…海鮮鍋、ですかね」


分身の俺は容器を取り出しながら料理名についてどう伝えようかと考えて適当な感じで告げ、お椀に取り分けて運ばせる。


「鍋…という事はスープ料理ですね?コレは初めて見ました…」

「…美味い!具材に魚、か!コレは!」

「こんな美味い魚は初めてだ!」

「…ヴィアベスに近いけど…具材に魚介類が少ない…」


少女が意外そうに分身の俺を見ながら嬉しそうに呟くと他の人達は食べた感想を言い出す。


「…では最後にデザートを」

「デザート?」

「まだ、あるのか…」

「あ。そうだ、甘いものが嫌いだったり苦手な人はいますか?」


分身の俺の準備にお偉いさんの何人かが驚いたような反応をするので分身の俺はとりあえず気を利かせて事前に確認を取った。


「私は遠慮させてもらう」

「私もだ」

「甘味はどうも、な…」


すると三人の男達がデザートを拒否してくる。


「分かりました。では他の人達にデザートを」


分身の俺はその三人を除いての準備をすると…


「でしたら三名分、余りますよね?ソレをいただけないでしょうか?」

「…確かに」

「では私も…」


少女が確認を取って要求し、他の女達も賛同して要求するかのようなことを言い始める。


「まあ食べられるのなら問題はないですが…」


分身の俺はあんだけ食ったのによく入るもんだ…ちょっと量が少なかったかな?と思いながら微妙な顔で了承し、女達の皿にはレアチーズケーキを二切れ乗せた。


「…美味しい…!コレはレモンソース…しかもビスケットタイプではなく、クッキータイプ…!」

「…ほう、甘さは控えめか。しかしちょうど良い」

「もっと甘いものを想像していたが…このソースの酸味がサッパリとしていて美味い」


少女が一口食べて感想を言うと男達も意外そうな顔をしながら感想を告げる。


「…最後はフィナンシェです」

「フィナンシェ。…基本的には軽食として出されるものですが…食事の締めとしてはこの軽さがありがたく感じます」


食事の締めとしての最後のデザートを出すと少女は嬉しそうに立ち上がった後、直ぐに座って繕ったような感じで言う。


「…確かに食事の締めとしても紅茶と合うお菓子は申し分ないわね」

「うむ、重過ぎず軽過ぎず…バランス感覚が素晴らしい」

「いつもの料理と比べても全く見劣りしないな。作ったのはお前か?」

「はい」


他のお偉いさん達も少女の意見に賛同しながらデザートを食べていると… 


先に食べ終わったお偉いさんの一人が確認してくるので分身の俺は肯定した。


「このような料理を作れるのならばお前もさぞ名のある料理人だろう?名を名乗れ。覚えておいてやる」

「…えーと…」

「申し訳ございません。その方は私が連れて来た客人なので、本人の都合上あまり触れないでくれるとありがたいです」

「…ただの一般人だというのか…!?この腕前で…!?」

「…このような隠れた逸材を見抜くとは…流石ですな、マーリン様」


お偉いさんの偉そうな上から目線での命令に少女に気を遣うように見ると、少女が分身の俺を庇うように釘を刺して他のお偉いさん達が勘違いするが分身の俺はあえて訂正せずにスルーする。
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