408 / 480
青年期 344
しおりを挟む
「…マジ?」
「当然、彼女のその発言を鵜呑みにする人などどこにも居ませんでした。当時の彼女を知る人ならば誰もが世界で一番強い、と断言出来るほどでしたので『勝てない相手に挑む愚か者など居ない』という風に世界中の人々は認識していたと思います」
「へー。人は見た目に寄らないものだ」
分身の俺の確認に少女が話を続け、分身の俺は女性の外見を思い出すように意外に思いながら返す。
「そこで彼女は実際に行動に移しました。宣言から約半年ほど後の事です」
「…え?」
「『憎しみ、怨みこそが人を強くする。挑む相手が居ないのなら自分で作り上げれば良い』…彼女の言葉です。私達がどれほど必死になろうと止める事は叶わず…様々な国で大きな被害が出てしまい…」
「…ま、マジか…」
少女は目を伏せて残念そうな感じで過去の出来事を告げる。
「『厄災の魔女』。彼女は封印前あの厄災の龍になぞられた名で世界中の人々から恐れられ、恐怖の象徴と化していました」
「…ん?止められなかったのに封印はできたの?」
「はい。彼女と交渉しました、『この時代に戦う相手が居ないなら後世に期待すれば良い』と」
「あー、なるほど。ソレで大人しく封印されてくれたわけだ」
少女の話を聞いて疑問に思った事を聞くと普通に答えてくれ、分身の俺は納得しながら返した。
「しかし…今になって封印が解けてしまったという事は…当代の担当者達が『封印を維持する』という務めを怠ってしまったようですね」
「まあ120年も経てば当時の脅威も忘れさられるでしょ。職務怠慢は責められる事だけど、仕方ない」
少女が呆れたようにため息を吐いて呟くので分身の俺はやらかした奴を軽くフォローするように言う。
「それに…今の時代なら遊び相手もいっぱいいるんじゃない?俺が知ってるだけで帝国に二人、ロムニアに二人、連邦に一人、めちゃくちゃ強い人の心当たりがあるよ」
「…そんなに、ですか…?」
「特にロムニアの二人には手も足も出なかった。でも結局耐久力の差で勝ったけど」
「…ゼルハイト様でさえ…!?」
分身の俺が過去に戦った相手の中でも上位に入る人達を挙げると少女は驚いたような反応をし、おそらく今の俺でも結果は同じだろう…と思いながら言うと少女が驚愕する。
「世界は広いからねぇ…多分昔から隠れた実力者は何人か潜んでると思うよ。まあ今挙げたのは全然隠れてないし潜んですら無いんだけど」
「…ゼルハイト様みたいに、ですか?」
「いやいや、名が売れてる時点で俺は当てはまらないでしょ」
分身の俺はまだ見ぬ強者達の存在を仄めかしつつ冗談を言うと少女も冗談で返すように言うのでツッコミを入れて否定した。
「まあそんな事はさておき。他の人達の安否確認した方が良いんじゃない?」
「そうでした。本当にただ眠らせてあるだけならばよろしいのですが…」
分身の俺が話題を変えるように聞くと少女は思い出したように言い、不安そうに呟いて隣の部屋へと向かう。
「…良かった。本当にただ眠らされているだけのようです」
…室内には多分お偉いさんであろう人達が床に倒れていて、少女は確認した後に安堵の息を吐く。
「どうやら悪人、ってわけじゃ無さそうだ。殺しに行かずに済んで良かった」
「ええ。本当に良かったです…」
流石にあの女性が今の時代でも無駄な虐殺や殺戮を繰り返してしまうのであれば世界の平和のために始末しないといけなかったので、分身の俺が不要な殺生をせずに済んだ事に安堵すると少女も同意する。
「…おそらく今回の議題では彼女への対応も挙がるでしょう…予定よりも時間がかかりそうなので宿を手配いたします。夜遅くまではかからないと思いますが…」
「大変だねぇ…夕食は俺が作ってあげようか?」
「!?よろしいのですか!?」
「今は魚肉しかないけど…まあ材料次第ではなんとかなるかも」
「ありがとうございます!食材や料理人など必要であれば全て自由に使用できるよう直ぐに手配致します」
少女の申し訳なさそうな報告に分身の俺が待ってる間の暇潰しとして提案すると少女は喜んでお礼を言った後に権限を行使するかのような事を言い出す。
「何時ぐらいに提供した方が良い?」
「そうですね…7時から8時の間、だと助かります」
「オッケー。じゃあ7時30分に合わせて作るよ」
「よろしくお願いします」
分身の俺が尋ねると少女は考えながら時間帯を指定するので分身の俺は了承してとりあえず厨房へと向かう事に。
「…さーて、何を作ろうか…」
今まで魚肉を使った料理はあまり作る機会が無く、今作れる料理も数種類しかないが分身の俺は考えながら呟いて廊下を歩く。
「お待ち下さーい!厨房はソコではありません!」
「ん?」
「…マーリン様より案内を任されました。こちらです」
「あ、そう。よろしく」
分身の俺が適当に歩いてると後ろから声が聞こえたのでとりあえず振り向くと少年が駆け寄ってきて…
目の前まで来ると息を整えた後に少女の指示である事を告げて先導してくれた。
「当然、彼女のその発言を鵜呑みにする人などどこにも居ませんでした。当時の彼女を知る人ならば誰もが世界で一番強い、と断言出来るほどでしたので『勝てない相手に挑む愚か者など居ない』という風に世界中の人々は認識していたと思います」
「へー。人は見た目に寄らないものだ」
分身の俺の確認に少女が話を続け、分身の俺は女性の外見を思い出すように意外に思いながら返す。
「そこで彼女は実際に行動に移しました。宣言から約半年ほど後の事です」
「…え?」
「『憎しみ、怨みこそが人を強くする。挑む相手が居ないのなら自分で作り上げれば良い』…彼女の言葉です。私達がどれほど必死になろうと止める事は叶わず…様々な国で大きな被害が出てしまい…」
「…ま、マジか…」
少女は目を伏せて残念そうな感じで過去の出来事を告げる。
「『厄災の魔女』。彼女は封印前あの厄災の龍になぞられた名で世界中の人々から恐れられ、恐怖の象徴と化していました」
「…ん?止められなかったのに封印はできたの?」
「はい。彼女と交渉しました、『この時代に戦う相手が居ないなら後世に期待すれば良い』と」
「あー、なるほど。ソレで大人しく封印されてくれたわけだ」
少女の話を聞いて疑問に思った事を聞くと普通に答えてくれ、分身の俺は納得しながら返した。
「しかし…今になって封印が解けてしまったという事は…当代の担当者達が『封印を維持する』という務めを怠ってしまったようですね」
「まあ120年も経てば当時の脅威も忘れさられるでしょ。職務怠慢は責められる事だけど、仕方ない」
少女が呆れたようにため息を吐いて呟くので分身の俺はやらかした奴を軽くフォローするように言う。
「それに…今の時代なら遊び相手もいっぱいいるんじゃない?俺が知ってるだけで帝国に二人、ロムニアに二人、連邦に一人、めちゃくちゃ強い人の心当たりがあるよ」
「…そんなに、ですか…?」
「特にロムニアの二人には手も足も出なかった。でも結局耐久力の差で勝ったけど」
「…ゼルハイト様でさえ…!?」
分身の俺が過去に戦った相手の中でも上位に入る人達を挙げると少女は驚いたような反応をし、おそらく今の俺でも結果は同じだろう…と思いながら言うと少女が驚愕する。
「世界は広いからねぇ…多分昔から隠れた実力者は何人か潜んでると思うよ。まあ今挙げたのは全然隠れてないし潜んですら無いんだけど」
「…ゼルハイト様みたいに、ですか?」
「いやいや、名が売れてる時点で俺は当てはまらないでしょ」
分身の俺はまだ見ぬ強者達の存在を仄めかしつつ冗談を言うと少女も冗談で返すように言うのでツッコミを入れて否定した。
「まあそんな事はさておき。他の人達の安否確認した方が良いんじゃない?」
「そうでした。本当にただ眠らせてあるだけならばよろしいのですが…」
分身の俺が話題を変えるように聞くと少女は思い出したように言い、不安そうに呟いて隣の部屋へと向かう。
「…良かった。本当にただ眠らされているだけのようです」
…室内には多分お偉いさんであろう人達が床に倒れていて、少女は確認した後に安堵の息を吐く。
「どうやら悪人、ってわけじゃ無さそうだ。殺しに行かずに済んで良かった」
「ええ。本当に良かったです…」
流石にあの女性が今の時代でも無駄な虐殺や殺戮を繰り返してしまうのであれば世界の平和のために始末しないといけなかったので、分身の俺が不要な殺生をせずに済んだ事に安堵すると少女も同意する。
「…おそらく今回の議題では彼女への対応も挙がるでしょう…予定よりも時間がかかりそうなので宿を手配いたします。夜遅くまではかからないと思いますが…」
「大変だねぇ…夕食は俺が作ってあげようか?」
「!?よろしいのですか!?」
「今は魚肉しかないけど…まあ材料次第ではなんとかなるかも」
「ありがとうございます!食材や料理人など必要であれば全て自由に使用できるよう直ぐに手配致します」
少女の申し訳なさそうな報告に分身の俺が待ってる間の暇潰しとして提案すると少女は喜んでお礼を言った後に権限を行使するかのような事を言い出す。
「何時ぐらいに提供した方が良い?」
「そうですね…7時から8時の間、だと助かります」
「オッケー。じゃあ7時30分に合わせて作るよ」
「よろしくお願いします」
分身の俺が尋ねると少女は考えながら時間帯を指定するので分身の俺は了承してとりあえず厨房へと向かう事に。
「…さーて、何を作ろうか…」
今まで魚肉を使った料理はあまり作る機会が無く、今作れる料理も数種類しかないが分身の俺は考えながら呟いて廊下を歩く。
「お待ち下さーい!厨房はソコではありません!」
「ん?」
「…マーリン様より案内を任されました。こちらです」
「あ、そう。よろしく」
分身の俺が適当に歩いてると後ろから声が聞こえたのでとりあえず振り向くと少年が駆け寄ってきて…
目の前まで来ると息を整えた後に少女の指示である事を告げて先導してくれた。
61
お気に入りに追加
866
あなたにおすすめの小説
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~
乃神レンガ
ファンタジー
謎の白い空間で、神から異世界に送られることになった主人公。
二重取りの神授スキルを与えられ、その効果により追加でカード召喚術の神授スキルを手に入れる。
更にキャラクターメイキングのポイントも、二重取りによって他の人よりも倍手に入れることができた。
それにより主人公は、本来ポイント不足で選択できないデミゴッドの種族を選び、ジンという名前で異世界へと降り立つ。
異世界でジンは倒したモンスターをカード化して、最強の軍団を作ることを目標に、世界を放浪し始めた。
しかし次第に世界のルールを知り、争いへと巻き込まれていく。
国境門が数カ月に一度ランダムに他国と繋がる世界で、ジンは様々な選択を迫られるのであった。
果たしてジンの行きつく先は魔王か神か、それとも別の何かであろうか。
現在毎日更新中。
※この作品は『カクヨム』『ノベルアップ+』にも投稿されています。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~
風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる