子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

文字の大きさ
上 下
398 / 480

青年期 334

しおりを挟む
ーーーーー




「…ふう。やはりゼルハイト卿の料理を食べた後は満足感や充実感が素晴らしい」

「全くです」

「ありがとうございます」


デザートのみたらし団子や大判焼きを食べた後におっさんが紅茶を飲んで一息吐いて褒めてくると青年も同意し、俺は相槌を打つようにお礼を言う。


「さて。腹も膨れたし良い機会だ、中立であるゼルハイト卿が居る今ならお互いに冷静になれるだろう…そちらの派閥はなぜ第二王子を支持しているのか、その意見を聞きたい」

「ミャルマー王子は国防を重要視しています。我々のように国境を守る立場としては支持するのも当然かと」

「そうか。しかし国防は重要だが、より重要なのは国内を安定させる事だろう。国民がみな協力すれば外敵の排除は容易くなり、ひいては国防にも繋がる」


おっさんが話し合いを求めると青年は簡単な感じで答え、おっさんも理解を示しつつ第一王子を支持する理由を話した。


「…お言葉ですがファルフー王子は国をまとめ上げて統治する事に考えが行きすぎ、あまり国防の重要性を本当の意味では理解してないように思えます。文字や口頭での報告、そして損得の計算でしか見てない節があります」

「…確かに国防はココに居る我らに任せておけば問題無い、と思っているかもしれん」

「我々の意見を尊重して支援を惜しまないのであれば王子の信頼に応えるために頑張れましょうが…おそらく、現場を知らないが故の失敗を何回か繰り返して手遅れになるような気がします」

「…うむ」


青年の反論におっさんは俺を見ながら微妙な顔で返し、青年が個人的な意見を述べるとおっさんも思い当たる節があるのか受け入れるような反応をする。


「しかしミャルマー王子は国防に考えが行きすぎていて、国内をまとめ上げる器量については…」

「力づくで抑えれば良いと思っている節があるが、武力支配での統治など国民から反発を招いて治安が悪化するだけだ」

「おっしゃる通りです」


青年は何故か自分が支持してる王子の問題点を呟き、おっさんの警告のような指摘に賛同するように返した。


「…二人で協力してくれれば国は良い方に傾くと思うのだが…」

「それは難しいかと。今我々の意見が割れているように、必ず二択を迫られる時が来ます」

「うむ…お互いに重要視してるものが違う。いざという時にはお互い譲らないだろう」


おっさんがため息を吐いて呟くと青年も微妙な顔をしながら否定し、おっさんは二人体制で国を運営した場合の最悪の事態を想定して言う。


「…おっと、そうだ。ゼルハイト卿、あの大判焼きをお土産として貰えないだろうか?」

「あ、はい。いくつですか?」

「おっとそうだった。実は私も妻に頼まれてな…あの魔物素材で作ったパンをくれないか?」


話は終わったのか青年の思い出したような確認に俺が了承して個数を尋ねるとおっさんも思い出したように確認してくる。



…翌日。



「いやー、大変な事になったねぇ…まさかちょうど滞在中にこんな事が起きるなんて…」

「『共和国』が『帝国』にシフトした時よりかはまだインパクト薄いだろ」

「あー、まあ」


拠点に遊びに来た帝国の女の子の面白がっての発言に俺が比較するように返すと思い出すような感じで肯定した。


「ってか今思いついたが、故郷の共和国が帝国になるわ、他国へと滞在中に国王への反乱が起きるわ、そして王様の退位を知るわ…なんかソッチ中心に物語が動いてる感じがしない?」

「そう?…もしかしたら私主人公かもしれない」

「それかトラブルメーカーだな」


俺がふと思いついた事を言うと女の子は不思議そうに軽く首を傾げた後に冗談やボケを言うようにドヤ顔で言うので、俺は物語の主人公にありがちな属性を予想する。


「なにその人が疫病神みたいな言い方」

「さっさと国から出てってくれ。キングに進化して手がつけられなくなる前に」

「なんだと!お前の物件や土地を好き勝手に売り払ってやろうか!」


女の子の不満そうな言い方に俺がボケて返すと女の子は乗っかるように妨害行為を口にした。


「あ、そういやソッチから教えて貰った肉の巻き寿司、アレかなり好評だったぞ」

「え、マジ?ってか魔物の肉使えば料理法関係無くなんでも好評なんじゃ?」


俺が話題を変えるように料理の感想を教えると女の子は意外そうに返しながらも微妙な顔をする。


「海苔があればなお良かったんだが…どこを探しても取り扱ってないから全く手に入らんな」

「いやいや、海苔って日本人しか食べられないらしいよ」

「え、マジ?」

「うん。なんか外人は消化できないとか…あとは見た目が嫌とかだったはず」

「…マジか…」


本来の巻き寿司を作るには材料が足りない事に不満を感じながら言うと女の子は否定するように豆知識を話し…


俺が意外に思って確認すると肯定して理由を教えてくれたので俺は驚きながら呟いた。


「…じゃあ俺らも食べれなくね?」

「食べられはするんじゃない?多分消化出来ないからそのまま出てくるだけで」

「でも『あおさ』は売ってたぞ?乾燥してるやつだったけど」

「マジ?じゃあ中国とかそこらへんの大陸に近いトコから流れてきたとか?」


今の俺らの身体は明らかに日本人では無いので疑問に思って確認すると女の子は適当な予想を告げ、俺の思い出しての発言に意外そうに若干驚いたような反応をする。
しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?

伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します 小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。 そして、田舎の町から王都へ向かいます 登場人物の名前と色 グラン デディーリエ(義母の名字) 8才 若草色の髪 ブルーグリーンの目 アルフ 実父 アダマス 母 エンジュ ミライト 13才 グランの義理姉 桃色の髪 ブルーの瞳 ユーディア ミライト 17才 グランの義理姉 濃い赤紫の髪 ブルーの瞳 コンティ ミライト 7才 グランの義理の弟 フォンシル コンドーラル ベージュ 11才皇太子 ピーター サイマルト 近衛兵 皇太子付き アダマゼイン 魔王 目が透明 ガーゼル 魔王の側近 女の子 ジャスパー フロー  食堂宿の人 宝石の名前関係をもじってます。 色とかもあわせて。

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー 不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました 今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います ーーーー 間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です 読んでいただけると嬉しいです 23話で一時終了となります

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

処理中です...