子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 293

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「…よっ、と」

「…いくら足の指の力が強いからってやっぱ靴履いたままソレはヤバいって」

「素足だったら普通の壁や天井も余裕で歩けるからな。意味も必要性も無いけど」

「…確かに」


分身の俺が地面に降りると女の子が微妙な顔で言い、分身の俺は適当な感じで返すと女の子は納得する。


「あと、こんな事も出来る」

「…マジ?」


分身の俺は剣の腹を人差し指で貫いてそのまま剣を縦にクルクル回すと女の子が驚く。


「この程度の鉄なら簡単に削り取れるし」

「…指で鉄の剣を削り取るとかヤバっ」


穴から指を抜いて切先に近い方の剣の腹に人差し指を当ててそのまま削り取ると、鉄の破片が地面に落ちて女の子はソレを拾いながらドン引きしたように言う。


「そもそも俺の皮膚の方が硬いから簡単に握り潰せるし」

「…素手で抜き身の剣を握り潰すとか力自慢でもやらないよ」


分身の俺が剣の先の方を握ってそのまま握り潰したまま折り、手を開いて見せるとフェンシングで使う剣のように細くなってる鉄を掴みながら女の子は何とも言えないような反応をした。


「もっかい手ぇ見せて」

「手?」

「…やっぱり触った感じ私と変わらない普通の手にしか思えないけど…コレで鉄より硬いとか信じられない…」


女の子の要求に分身の俺が手を開いて見せると、女の子はまるで手相占いでもするかのようにマジマジと見て触りながら呟く。


「じゃあその折れた剣で俺の人差し指を斬ってくれ。剣の方が折れるから」

「…いや、でも私一応剣の心得はあるよ?流石に指が切り落ちるんじゃ…」

「大丈夫大丈夫。もし切れたら切断面が綺麗って事になるし、くっつけとけば治せるから」

「じゃあ…」


分身の俺は指をさすように人差し指だけ伸ばして指示を出すと女の子は躊躇うように拒否し、分身の俺がもしもの場合の事を話すと渋々ながら折れた剣を上段に構える。


「いくよ?」

「おう」

「ふっ!!」


女の子の確認に了承すると女の子は思いっきり分身の俺の人差し指目掛けて折れた剣を振り下ろし…


折れた剣が分身の俺の指に当たると同時にパキンと音を立てて更に綺麗に折れた。


「げー。指切り落とす勢いで斬ったのに逆に剣が切り落とされた…こんな風に綺麗に折れるなんて事ある?」

「はっはっはー、『手刀』ならぬ『指刀』だな」

「…まさに正しく『全身凶器』じゃん…」


更に短くなった折れた剣の切断面を見ながら驚いたように聞く女の子に分身の俺が笑いながら例えを挙げるとドン引きしたような反応をする。


「ってか本当に部位鍛錬だけでこうなるの?」

「俺は部位鍛錬と筋トレしかしてないけど」

「…マジ…?これならもはや素手が武器みたいなものだからガチで剣とか槍とか要らないじゃん」

「10刀流みたいなものだしな」

「足の指も含めたら20刀流じゃん。もう意味分かんない…」


女の子の疑うような確認に分身の俺が肯定して返すと何とも言えないような顔になり、笑いながら冗談を言うと女の子はツッコむように指摘して呆れたように呟いた。


「まあでも魔物の中にはここまで鍛えててもなお、素手では貫手が通らないヤツも居るんだが」

「ええ…そんな…じゃあやっぱり素手でも限界があるんだ…ここまでのレベルでも最終的には武器に劣るって悲しー」

「そもそも武器って殺傷を目的として特化してるからな。そりゃ元々殺傷を考えて作られてない人間の手じゃ勝てねーよ」

「…確かに。私達の手って他の動物や魔物と比べても明らかに爪の強度や鋭さとか足りないし」


分身の俺がそう話すと女の子はヒきつつも同情するかのように言い、違いを説明すると納得して自分の手を見ながら返す。


「だからたまに剣とか槍とか持ってたりするんだ」

「…まあそういう事だな」


女の子の思い返して納得したような発言に分身の俺はちょっと違うがまあいっか…と、訂正せずに流すように言う。


「…うわ、またスライムだ。…スライムは相性悪いからソッチに任せる」

「別に無理に相手せずに無視して進めば良くね?」

「…それもそうだ」


実演が終わったので先に進むと…


女の子が魔物を発見した後に分身の俺の後ろに隠れるように移動しながら言い、分身の俺が対処法を話すと納得して離れる。


「…そういやスライムの上位種とか見た事ある?」

「スライムの上位種?紫とか黒とかの?…まだ無いなぁ…」


魔物をスルーしながら分身の俺がふと思いついて聞くと女の子は例を挙げながら確認して否定するように呟く。


「じゃあ今の内に警告しとくけど…そいつらガチで危ないヤツだから手を出さない方がいいぞ。多分ソッチの貫通弾とか、戦車を貫通させるライフル弾でも核までは絶対に届かないから」

「…マジ?」

「紫のスライムは俺ですら体液に触れると骨だけになる」

「えっ!?」


分身の俺の注意に女の子は驚いたように聞き、その危険性を体験談を交えて話すと女の子が驚愕した。


「黒に至っては俺ですら体液に触れると跡形も残らないからな…弾丸を打ち込んでも多分体液に触れた瞬間溶けるハズ」

「…ソレ、ガチなやつなの…?」

「学生時代に紫に貫手突っ込んで右腕が骨だけになって、黒に突っ込んだら右腕が無くなったからな…流石に一瞬理解出来なくてビビったぜ」

「…一回欠損してるの?…ってか右腕あるじゃん、ってツッコんだらダメなやつ?」


分身の俺が予想を話すと女の子は驚愕したまま真偽を尋ね、経験談を告げると更に驚いたような反応を見せるも分身の俺の右腕を見ながら配慮したように聞く。


「ああ…これはなんとか治した。そこらのスライムに腕突っ込んで無理やり右腕を形成させてからの変化魔法で維持よ」

「…変化魔法は良く分からないけど、聞いた限りだとソレすっごい荒技じゃない?」

「普通の奴なら体液の痛みに耐えられないから無理だろうな」

「…ええ…」


分身の俺は誤魔化すようにわざと効率の悪い荒技を教え、女の子の指摘に肯定して返すと女の子はドン引きしながら呟いた。
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