356 / 480
青年期 292
しおりを挟む
「…ちょっと握手して」
「握手?」
女の子が唐突に右手を差し出して要求してくるので分身の俺は水を払うように手を振ってスライムの体液を払ってから握手する。
「…普通の手と変わらなくない?硬いからもっとゴツゴツした感じだと思ったのに…」
「ああ。ソレは結構言われるな」
「…ぐぬぬぬ…!」
女の子は手を握った後に驚くような感じで意外そうに言い、分身の俺は慣れたような対応を返すと女の子が急に手に力を入れて強く握り始めた。
「…痛い?」
「いや。全然」
「もっと力入れて良い?」
「おう」
女の子の力を入れながらの確認に分身の俺は女にしては意外と力が強いな…と思いながらも否定すると、女の子が暗に強化魔法を使用する事を確認するように聞くので了承した。
「…痛い…?」
「少し」
「じゃあ、これは…!?」
明らかに女の子の握る力の強さが変わり、ほんの少し痛みが出てきた事を告げると女の子は分身の俺の右手を両手で掴んで握り潰そうとする。
「あー…ちょっと痛くなってきた」
「これで、ちょっと…!?…ちょっと握り返してみて」
「はいよ」
分身の俺が報告すると女の子は驚愕したような顔で呟き、反撃を要求するので分身の俺は見た目通りに抑えたままの力で握り返す。
「…手加減してる?」
「手加減ってか、これが普段通りの力。日常生活に支障をきたさないよう普段は変化魔法で見た目通りの力に制限してる」
「…なるほど。じゃあダンジョン用だとどうなる…痛い痛い!分かった分かった!」
女の子の問いに分身の俺が説明すると納得して怖いもの見たさのような好奇心で提案し、制限を解いて軽く握り返しただけで女の子は痛みを訴えてギブアップした。
「まだあんまり力入れてねぇんだが?」
「やっば…もはや万力じゃん。手が潰れるかと思った…」
パッと手を離して伝えると女の子はヒいたように呟いて右手を振りながら呟く。
「…その見た目で…その殴ったり蹴ったら折れそうなぐらいの細さでこの握力は反則でしょ…強化魔法でバフかけてるのに危うく握り潰されるところだったし」
「だから普段は抑えてる。ダンジョンの中とか戦う時ぐらいだな、今みたいな元の力を使えるのは」
「…確かにそこまで強いと日常生活送れなさそう…なんでも握り潰すか割るとかで満足に物すら持てなそうな気がするし」
女の子がジト目のように見ながら言い、分身の俺が軽い感じで話すと女の子は納得したように頷いた。
「ってか変化魔法ってそんな事も出来るんだ?実はあなただけ違う仕様だったりしない?」
「そんな事言われてもな。他の奴がどうか知らないんだから確認のしようも無いだろ」
女の子は意外そうに言った後に笑いながら弄るように聞くので分身の俺は適当に返す。
「まあ確かに。変化魔法を使う人ってほとんど居ないからかなり珍しいみたいだし」
「この国では俺だけだしな」
「みたいだね。だから悪評の方もそこそこ多かった」
「…ま、しゃーねーわ」
女の子の納得したような同意にこの国の使い手の現状を教えると既に知ってたようで、ソレに関する悪い噂の方に言及するが分身の俺は気持ちを切り替えながら言う。
「そんな事より、今は握力だけじゃなくてピンチ力とか指の力も凄いぞ」
「へー、どのくらい?」
「どのくらい…そうだな…剣持ってる?壊れても良い安物のやつ」
分身の俺が話を変えると女の子は興味を持ったように食いつき、分身の俺は実演するために確認する。
「壊れても良いやつなら武器屋で買った量産品のがあるけど…はい」
「後で王都で新しいやつ買うからコレ壊しても大丈夫?」
「うん」
女の子は微妙な顔で呟きながら細身の剣を鞘ごと取り出して差し出し、受け取ってもう一度確認すると了承してくれた。
「…コレ、引っ張って引き抜けるかどうかやってみて」
分身の俺が鞘から剣を抜いて剣先の方を人差し指と親指でつまんで挟み、女の子に柄を指差して指示を出す。
「ええ、いくらなんでもこれは無理でしょ…ええ!?マジで!?ぐぬぬ…!!」
女の子は半笑いで剣の柄を握って軽く引っ張った後に両手で掴んで体重を後ろにかけ、綱引きのように思いっきり引っ張るも分身の俺がつまんでいる剣は微動だにしない。
「…でやー!」
「おっ!ってか強化魔法は反則だろ」
「でも離さないんだ…」
女の子が気合いを入れた掛け声を叫んで思いっきり引っ張り…予想外の力強さに分身の俺は一歩だけ前に進まされ、笑いながら文句を言うと女の子は驚いたように呟く。
「指でつまんでるだけでもソレってヤバくない?」
「足の指でも同じ事が出来るぞ」
「マジで!?」
「ちょっと足下見とけよ」
女の子の確認に自慢するように言うと驚かれ、証拠を見せるために足下を指差して足の指に力を込めると地面にピシッとヒビが入る。
「げっ」
「ちなみに壁も歩けるぞ」
「…もはや蜘蛛じゃん…素足じゃなくて靴を履いてるのに普通に壁歩けるとか…」
驚く女の子に分身の俺は壁に足を着けてそのまま上に向かって歩くとなんとも言えないような顔で呆れたように呟き…
「…えっ!?」
「流石に平らだと難しいが、これぐらいの凹凸があれば天井もいける」
天井を歩いてコウモリのようにぶら下がると女の子が驚愕するので、分身の俺は説明するように条件次第では可能な事を告げた。
「握手?」
女の子が唐突に右手を差し出して要求してくるので分身の俺は水を払うように手を振ってスライムの体液を払ってから握手する。
「…普通の手と変わらなくない?硬いからもっとゴツゴツした感じだと思ったのに…」
「ああ。ソレは結構言われるな」
「…ぐぬぬぬ…!」
女の子は手を握った後に驚くような感じで意外そうに言い、分身の俺は慣れたような対応を返すと女の子が急に手に力を入れて強く握り始めた。
「…痛い?」
「いや。全然」
「もっと力入れて良い?」
「おう」
女の子の力を入れながらの確認に分身の俺は女にしては意外と力が強いな…と思いながらも否定すると、女の子が暗に強化魔法を使用する事を確認するように聞くので了承した。
「…痛い…?」
「少し」
「じゃあ、これは…!?」
明らかに女の子の握る力の強さが変わり、ほんの少し痛みが出てきた事を告げると女の子は分身の俺の右手を両手で掴んで握り潰そうとする。
「あー…ちょっと痛くなってきた」
「これで、ちょっと…!?…ちょっと握り返してみて」
「はいよ」
分身の俺が報告すると女の子は驚愕したような顔で呟き、反撃を要求するので分身の俺は見た目通りに抑えたままの力で握り返す。
「…手加減してる?」
「手加減ってか、これが普段通りの力。日常生活に支障をきたさないよう普段は変化魔法で見た目通りの力に制限してる」
「…なるほど。じゃあダンジョン用だとどうなる…痛い痛い!分かった分かった!」
女の子の問いに分身の俺が説明すると納得して怖いもの見たさのような好奇心で提案し、制限を解いて軽く握り返しただけで女の子は痛みを訴えてギブアップした。
「まだあんまり力入れてねぇんだが?」
「やっば…もはや万力じゃん。手が潰れるかと思った…」
パッと手を離して伝えると女の子はヒいたように呟いて右手を振りながら呟く。
「…その見た目で…その殴ったり蹴ったら折れそうなぐらいの細さでこの握力は反則でしょ…強化魔法でバフかけてるのに危うく握り潰されるところだったし」
「だから普段は抑えてる。ダンジョンの中とか戦う時ぐらいだな、今みたいな元の力を使えるのは」
「…確かにそこまで強いと日常生活送れなさそう…なんでも握り潰すか割るとかで満足に物すら持てなそうな気がするし」
女の子がジト目のように見ながら言い、分身の俺が軽い感じで話すと女の子は納得したように頷いた。
「ってか変化魔法ってそんな事も出来るんだ?実はあなただけ違う仕様だったりしない?」
「そんな事言われてもな。他の奴がどうか知らないんだから確認のしようも無いだろ」
女の子は意外そうに言った後に笑いながら弄るように聞くので分身の俺は適当に返す。
「まあ確かに。変化魔法を使う人ってほとんど居ないからかなり珍しいみたいだし」
「この国では俺だけだしな」
「みたいだね。だから悪評の方もそこそこ多かった」
「…ま、しゃーねーわ」
女の子の納得したような同意にこの国の使い手の現状を教えると既に知ってたようで、ソレに関する悪い噂の方に言及するが分身の俺は気持ちを切り替えながら言う。
「そんな事より、今は握力だけじゃなくてピンチ力とか指の力も凄いぞ」
「へー、どのくらい?」
「どのくらい…そうだな…剣持ってる?壊れても良い安物のやつ」
分身の俺が話を変えると女の子は興味を持ったように食いつき、分身の俺は実演するために確認する。
「壊れても良いやつなら武器屋で買った量産品のがあるけど…はい」
「後で王都で新しいやつ買うからコレ壊しても大丈夫?」
「うん」
女の子は微妙な顔で呟きながら細身の剣を鞘ごと取り出して差し出し、受け取ってもう一度確認すると了承してくれた。
「…コレ、引っ張って引き抜けるかどうかやってみて」
分身の俺が鞘から剣を抜いて剣先の方を人差し指と親指でつまんで挟み、女の子に柄を指差して指示を出す。
「ええ、いくらなんでもこれは無理でしょ…ええ!?マジで!?ぐぬぬ…!!」
女の子は半笑いで剣の柄を握って軽く引っ張った後に両手で掴んで体重を後ろにかけ、綱引きのように思いっきり引っ張るも分身の俺がつまんでいる剣は微動だにしない。
「…でやー!」
「おっ!ってか強化魔法は反則だろ」
「でも離さないんだ…」
女の子が気合いを入れた掛け声を叫んで思いっきり引っ張り…予想外の力強さに分身の俺は一歩だけ前に進まされ、笑いながら文句を言うと女の子は驚いたように呟く。
「指でつまんでるだけでもソレってヤバくない?」
「足の指でも同じ事が出来るぞ」
「マジで!?」
「ちょっと足下見とけよ」
女の子の確認に自慢するように言うと驚かれ、証拠を見せるために足下を指差して足の指に力を込めると地面にピシッとヒビが入る。
「げっ」
「ちなみに壁も歩けるぞ」
「…もはや蜘蛛じゃん…素足じゃなくて靴を履いてるのに普通に壁歩けるとか…」
驚く女の子に分身の俺は壁に足を着けてそのまま上に向かって歩くとなんとも言えないような顔で呆れたように呟き…
「…えっ!?」
「流石に平らだと難しいが、これぐらいの凹凸があれば天井もいける」
天井を歩いてコウモリのようにぶら下がると女の子が驚愕するので、分身の俺は説明するように条件次第では可能な事を告げた。
111
お気に入りに追加
1,046
あなたにおすすめの小説

誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?
伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します
小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。
そして、田舎の町から王都へ向かいます
登場人物の名前と色
グラン デディーリエ(義母の名字)
8才
若草色の髪 ブルーグリーンの目
アルフ 実父
アダマス 母
エンジュ ミライト
13才 グランの義理姉
桃色の髪 ブルーの瞳
ユーディア ミライト
17才 グランの義理姉
濃い赤紫の髪 ブルーの瞳
コンティ ミライト
7才 グランの義理の弟
フォンシル コンドーラル ベージュ
11才皇太子
ピーター サイマルト
近衛兵 皇太子付き
アダマゼイン 魔王
目が透明
ガーゼル 魔王の側近 女の子
ジャスパー
フロー 食堂宿の人
宝石の名前関係をもじってます。
色とかもあわせて。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~
小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ)
そこは、剣と魔法の世界だった。
2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。
新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・
気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる