321 / 480
青年期 257
しおりを挟む
「…ご馳走様。美味しかった」
「そりゃ良かった」
「…で、そういや何の用で来たの?」
食パンを食べ終わった女の子が手を合わせて食事が終わった挨拶を言い、分身の俺が生肉やスライスチーズを片付けると女の子はふと思いついたように尋ねてくる。
「ああ、そうそう。明日帝国に連れてくからもう一度皇帝陛下に取り次いでくれね?」
「えっ!?皇帝陛下に!?」
「直接が無理なら元帥に頼むとかでもいいから」
「…努力はしてみる…けど、じゃあ今日の内に帝国に連れてってくれない?明日の朝イチに謁見できるよう一応交渉してみるから」
分身の俺のお願いに女の子は驚いたように聞き返し、分身の俺が妥協案を話すと女の子が少し考えて条件を提示して理由を告げた。
「オッケー。じゃあ行くか」
「待って!10分時間ちょうだい!みんなに私が離れてる間の指示を出さないといけないし」
「あー…じゃあ10分といわず準備が終わってからにしよう。別にそんな急ぐ事でもないし」
「さっすが!助かる!みんな、話は聞いたでしょ?」
分身の俺は了承して直ぐに行動に移そうとするも女の子に制止され、気を遣って準備の完了を待つ事にすると女の子が喜んで直ぐに会議を始める。
…その後、女の子を帝国へと送り…魔法協会の代表者である少女に杖を返しての翌日。
「おはよう」
「おはようございます」
まだ日が昇る前に少女の居る部屋を訪ね、ドアをノックして挨拶すると既に出かける格好をしている少女が出て来て挨拶を返す。
「んじゃ、行こうか」
「よろしくお願いします」
分身の俺が移動を促すと女の子は軽く頭を下げて礼儀正しく返すので…
あの女の子と同様に目隠しと耳栓をしてもらい、毛布で簀巻きにして帝国まで運んだ。
ーーーーー
「いやー、偉い人なのにこんな手荒な真似をして済まないね」
「構いません。ゼルハイト様ならば秘匿事項に価する技術をどれほど有しているのか分かりませんので。中には人には見られたくない…秘密にしておきたいモノもあるでしょう」
「…そう言ってくれると助かるよ」
帝都の近くで少女を解放して謝ると、気にしてないかのように返した後に理解を示している事を告げ…
分身の俺はなんか過大評価されてね…?と思いながら微妙な顔で返す。
「とりあえずコッチ」
「分かりました」
また何か言われる前にさっさと案内するかのごとく分身の俺は帝都を指差して移動する。
「ん?お前は…」
「やーやー、ご苦労さん」
「…昨日、連れが一人居ると言っていたな…ソイツか?」
「…まあいい。中将から通すよう言われてるんだ、とっとと入れ」
帝都の門の前に居た守兵に手を上げながら挨拶代わりに労いの言葉をかけると兵の一人が少女を不思議そうに見るが、もう一人の兵が面倒くさそうに通行許可を出した。
「…ゼルハイト様ともなると帝国の中心部にもこうも簡単に入れるのですね」
「ははは、まあね」
「あ、もう来たの?」
少女の驚きながらの発言に分身の俺が笑って返すと、女の子が目の前から歩いて来て若干驚いたように声をかけてくる。
「お。はよー、どうだった?」
「なんとかオッケーもらった。その子が?」
分身の俺が挨拶して確認すると女の子はオーケーポーズを取りながら返し、少女を見ながら確認し返してきた。
「そうそう。なんでも皇帝陛下に用があるんだとか」
「ふーん…じゃあ行こうか。待たせると面倒だし」
分身の肯定に女の子は珍しいそうに呟くも少女の素性について特に言及や追及はせずに案内するように先を歩き始める。
「…ゼルハイト様、彼女はご友人ですか?」
「んー…多分。つい先日知り合ったばっかだけど」
「流石の人望ですね」
「…まあね」
少女の小声での問いに分身の俺が若干困りながら返すと少女が褒めてくるので分身の俺は微妙な気分になりながら流すように返す。
…そんなこんな歩く事、20分後。
宮殿のような建物に着き、女の子が許可を貰って皇帝陛下の居るであろう最上階の奥の部屋へと向かう。
「…陛下。客人をお連れしました」
「入れ」
「失礼します」
「「失礼します」」
女の子がドアをノックして用件を告げると入室許可が下り、中に入ると…
部屋の外には近衛兵が二人居るにも関わらず、青年の両隣には元帥のおじさんとマスタークラスのハンターである男が控えるように立っていた。
「…突然何用だ?ゼルハイト殿」
「えーと…」
「…お初お目にかかります。私は魔法協会の当代代表者の座に就いております『アンネリーゼ・マーリン』と申します。以後お見知り置きを」
「「「なっ…!!?」」」「えっ!!??」
青年の問いに分身の俺が少女を見ながら呟くと少女が軽く頭を下げて自己紹介を始め、その場に居た帝国側のみんなが驚愕する。
「と、まあそういうわけでして…今回自分は仲介役や護衛として陛下に謁見を申し出た次第であります」
「よろしくお願いします」
みんなが固まる中、分身の俺は軽い感じで現状を説明するように話すと少女がそう言いながら青年の対面の椅子に座った。
「そりゃ良かった」
「…で、そういや何の用で来たの?」
食パンを食べ終わった女の子が手を合わせて食事が終わった挨拶を言い、分身の俺が生肉やスライスチーズを片付けると女の子はふと思いついたように尋ねてくる。
「ああ、そうそう。明日帝国に連れてくからもう一度皇帝陛下に取り次いでくれね?」
「えっ!?皇帝陛下に!?」
「直接が無理なら元帥に頼むとかでもいいから」
「…努力はしてみる…けど、じゃあ今日の内に帝国に連れてってくれない?明日の朝イチに謁見できるよう一応交渉してみるから」
分身の俺のお願いに女の子は驚いたように聞き返し、分身の俺が妥協案を話すと女の子が少し考えて条件を提示して理由を告げた。
「オッケー。じゃあ行くか」
「待って!10分時間ちょうだい!みんなに私が離れてる間の指示を出さないといけないし」
「あー…じゃあ10分といわず準備が終わってからにしよう。別にそんな急ぐ事でもないし」
「さっすが!助かる!みんな、話は聞いたでしょ?」
分身の俺は了承して直ぐに行動に移そうとするも女の子に制止され、気を遣って準備の完了を待つ事にすると女の子が喜んで直ぐに会議を始める。
…その後、女の子を帝国へと送り…魔法協会の代表者である少女に杖を返しての翌日。
「おはよう」
「おはようございます」
まだ日が昇る前に少女の居る部屋を訪ね、ドアをノックして挨拶すると既に出かける格好をしている少女が出て来て挨拶を返す。
「んじゃ、行こうか」
「よろしくお願いします」
分身の俺が移動を促すと女の子は軽く頭を下げて礼儀正しく返すので…
あの女の子と同様に目隠しと耳栓をしてもらい、毛布で簀巻きにして帝国まで運んだ。
ーーーーー
「いやー、偉い人なのにこんな手荒な真似をして済まないね」
「構いません。ゼルハイト様ならば秘匿事項に価する技術をどれほど有しているのか分かりませんので。中には人には見られたくない…秘密にしておきたいモノもあるでしょう」
「…そう言ってくれると助かるよ」
帝都の近くで少女を解放して謝ると、気にしてないかのように返した後に理解を示している事を告げ…
分身の俺はなんか過大評価されてね…?と思いながら微妙な顔で返す。
「とりあえずコッチ」
「分かりました」
また何か言われる前にさっさと案内するかのごとく分身の俺は帝都を指差して移動する。
「ん?お前は…」
「やーやー、ご苦労さん」
「…昨日、連れが一人居ると言っていたな…ソイツか?」
「…まあいい。中将から通すよう言われてるんだ、とっとと入れ」
帝都の門の前に居た守兵に手を上げながら挨拶代わりに労いの言葉をかけると兵の一人が少女を不思議そうに見るが、もう一人の兵が面倒くさそうに通行許可を出した。
「…ゼルハイト様ともなると帝国の中心部にもこうも簡単に入れるのですね」
「ははは、まあね」
「あ、もう来たの?」
少女の驚きながらの発言に分身の俺が笑って返すと、女の子が目の前から歩いて来て若干驚いたように声をかけてくる。
「お。はよー、どうだった?」
「なんとかオッケーもらった。その子が?」
分身の俺が挨拶して確認すると女の子はオーケーポーズを取りながら返し、少女を見ながら確認し返してきた。
「そうそう。なんでも皇帝陛下に用があるんだとか」
「ふーん…じゃあ行こうか。待たせると面倒だし」
分身の肯定に女の子は珍しいそうに呟くも少女の素性について特に言及や追及はせずに案内するように先を歩き始める。
「…ゼルハイト様、彼女はご友人ですか?」
「んー…多分。つい先日知り合ったばっかだけど」
「流石の人望ですね」
「…まあね」
少女の小声での問いに分身の俺が若干困りながら返すと少女が褒めてくるので分身の俺は微妙な気分になりながら流すように返す。
…そんなこんな歩く事、20分後。
宮殿のような建物に着き、女の子が許可を貰って皇帝陛下の居るであろう最上階の奥の部屋へと向かう。
「…陛下。客人をお連れしました」
「入れ」
「失礼します」
「「失礼します」」
女の子がドアをノックして用件を告げると入室許可が下り、中に入ると…
部屋の外には近衛兵が二人居るにも関わらず、青年の両隣には元帥のおじさんとマスタークラスのハンターである男が控えるように立っていた。
「…突然何用だ?ゼルハイト殿」
「えーと…」
「…お初お目にかかります。私は魔法協会の当代代表者の座に就いております『アンネリーゼ・マーリン』と申します。以後お見知り置きを」
「「「なっ…!!?」」」「えっ!!??」
青年の問いに分身の俺が少女を見ながら呟くと少女が軽く頭を下げて自己紹介を始め、その場に居た帝国側のみんなが驚愕する。
「と、まあそういうわけでして…今回自分は仲介役や護衛として陛下に謁見を申し出た次第であります」
「よろしくお願いします」
みんなが固まる中、分身の俺は軽い感じで現状を説明するように話すと少女がそう言いながら青年の対面の椅子に座った。
32
お気に入りに追加
1,046
あなたにおすすめの小説

誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?
伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します
小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。
そして、田舎の町から王都へ向かいます
登場人物の名前と色
グラン デディーリエ(義母の名字)
8才
若草色の髪 ブルーグリーンの目
アルフ 実父
アダマス 母
エンジュ ミライト
13才 グランの義理姉
桃色の髪 ブルーの瞳
ユーディア ミライト
17才 グランの義理姉
濃い赤紫の髪 ブルーの瞳
コンティ ミライト
7才 グランの義理の弟
フォンシル コンドーラル ベージュ
11才皇太子
ピーター サイマルト
近衛兵 皇太子付き
アダマゼイン 魔王
目が透明
ガーゼル 魔王の側近 女の子
ジャスパー
フロー 食堂宿の人
宝石の名前関係をもじってます。
色とかもあわせて。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~
小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ)
そこは、剣と魔法の世界だった。
2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。
新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・
気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる