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青年期 238

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…数時間後の朝。


「…敵の中継基地を二つ破壊したから敵は兵站線の再構築を優先するはず」

「物資が無ければ戦いを続けられないからね」

「次はこの中継基地を狙うために今日は兵站の切れたこの町を取り返しに行こうかな」

「出撃の準備はいつでも整ってるよ」


分身の俺が地図を広げながら帝国側の動きを予想すると分身の女性も賛同し、分身の俺は他の中継基地を破壊する上で邪魔になる町を奪取する予定を告げると分身の女性がやる気満々で笑う。


「いや、出撃は夜にする。闇と霧に紛れた方が先手を取りやすいし」

「じゃああたし達は防衛だね?」

「ん。任せたよ」


分身の俺は別働隊で行動する事とその理由を告げると分身の女性が確認してくるので肯定して一旦寝直す事に。


その夕方。


辺りが薄暗くなってきた時間帯に分身の俺は変化魔法でドラゴンに変身し、標的の町や中継基地の近くを飛び回りながらマーメイドの技で霧を発生させる。


「…よし!行くぞ!」

「出撃する!」

「出撃だ!」


…日が落ちて辺りが暗くなってきた頃に少し早いが分身の俺は別働隊を指揮して目的の町へと向かった。




ーーーー




「…ちょっと俺が様子を見て来る」

「分かりました」

「お気をつけて」


…町の中の敵兵達をセイレーンの技で眠らせるため、分身の俺は別働隊の兵士達を町から少し離れた場所で待機させて一人で町の城壁へと近づき…


馬から降りた後に変化魔法を使い、両手をハーピーの羽に部分変化させて飛び上がって城壁を越える。


「…ほう、 変身したり部分変化で背中に翼を生やすよりも魔力の消費が軽い…下級の魔物だけあってゴブリンやスライム並みにコスパが良いな」


分身の俺は霧に包まれた町を飛び回って様子を確認しながら意外に思って呟き、変化魔法の並行変化でセイレーンの喉に変え…


「…なんだ…?歌…?」
「なにか聞こえる…?」
「どこから…?」
「…歌が…?」


セイレーンの技である『スリープソング』を使って町中の生物を強制的に睡眠状態へと陥らせた。


「…オッケー、大丈夫だった。行こうか」

「出撃する」

「町の奪還に行くぞ」

「遅れるな」

「見失って迷子になるなよ」


…変化魔法を解除した後に門の裏側に掛けれられていた丸太を外して普通に正面から町を出て味方の兵達と合流し、合図と指示を出して再び町へと向かう。


「…門が開いている…?」

「…霧の影響でどこで敵兵と遭遇するか分からん。警戒を怠るな」

「…守備兵が倒れて…」

「…寝ているようだが…」

「…倒れている敵兵は一旦その場で拘束しろ」


町の中に入ると指揮官達は現状に疑問を抱きながらもちゃんと兵に指示を出して町の制圧に動き始める。


「建物の中の確認も怠るな」

「どこに敵兵が隠れ、潜んでいるか分からないからな」


…5000人の兵士達が眠っている敵兵や帝国側の人達を拘束していく様子を見ながら分身の俺も万が一の事を考えてまだ起きてる奴が居ないかを探す。



「…報告します。敵兵達の拘束が完了したようです」

「お、早い…じゃあ3000名は町の守備を任せる。陣営への報告もよろしく」

「分かりました」

「残りの2000名は俺について来て。一時間ほど休憩した後に敵の中継基地から物資を奪いに行くから」

「では早速編成いたします」


日付が変わるまでまだまだ余裕がかなりあるぐらいの時間帯に指揮官達がやって来て報告をしてくるので、分身の俺が指示を出すと指揮官達が了承して動き出した。


そして一時間後。


「よーし、行くぞー!」

「出撃する!」

「出撃だ!」


休憩時間が終わり、分身の俺は2000名の別働隊を率いて中継基地を狙うために町を出る。


「…ここらでいいかな。じゃあ俺が様子を見に行くから一旦待機で」

「分かりました」

「お気をつけて」


…今度も中継基地の近くで兵達を待機させて分身の俺が一人で基地内の敵兵達を眠らせに行く。


「…オッケー。行こうか」

「行くぞ」

「周りの警戒を怠るな」


セイレーンの『スリープソング』で敵兵達を眠らせた後に味方の兵の下へと戻り、物資の強奪と敵兵達の拘束をするために指示を出して中継基地へと再度向かう。


「…やはり敵兵は寝ているか…」

「この霧のせいなのか…?」

「しかし周りの警戒は怠るなよ。まだ起きている敵兵が居るかもしれないからな」


指揮官達は中継基地の中に入ると寝ている敵兵達を見て不思議そうに呟くが、味方の兵達に用心を促して作業を開始する。


「…お。ココの倉庫にはめちゃくちゃ食料があるじゃん、ラッキー」


どうやらこの中継基地は食料庫として使われる予定だったのか剣や防具、銃に弾といった武器が一切見当たらずに食べ物が大量に保存されていた。


「…ん?でも町には最低限の物資しか無かったような…」


木箱に入った食料を荷車に乗せている作業中に分身の俺はふとさっきの町を取り返した事を思い出して呟く。


「…なるほど、そういう事か…」


…少し考えた結果、町が俺らに取り返された時の保険かもしれない…という予想に思い至ったので分身の俺は独り言を呟きながら納得する。
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